YAJICO GIRLが分断の時代に投げかける、未来への微かな予感と祈り『アウトドア』
時代の空気と向き合いながら、最後には明るいバイブスを投げかける。これは他でもない、君に語りかける音楽だ。YAJICO GIRLの四方颯人は、今回のインタビューで次のように語っている。「自分の考えや価値観とは違うものを受け入れることが重要になっている時代」だと。そして、今こそ必要なのは「ファンク&ソウル」なのだと。SNSでの殺伐とした空気は、きっと誰もが感じているだろう。ニュースでは海の向こうの困難な現実と闘争が伝えられる。コロナ禍の社会の中で、誰もが疲弊している時代である。彼は開放感のある音に未来への期待と、今交わしたい言葉を託して歌を歌う。2年前にリリースされた『インドア』は、『YAJICO GIRL』にとって変化作と言える作品だった。それまでベースとしていたギターロックを封印し、フランク・オーシャンやチャンス・ザ・ラッパーと言った世界のポップカルチャーとリンクする音楽性を獲得。内省的なリリックには、同時に音楽家としての覚悟が滲んでいたように思う。新作の『アウトドア』は前作で獲得した音楽性を引き継ぎながら、再びバンドとしてのアイデンティティ強く意識した作品になっている。『アウトドア』のリファレンスとなったプレイリスト「Essential songs for OUTDOOR」を紐解きながら、四方颯人の胸中に迫る。