取材:道明利友

カラフルな色が混ざって世界にひとつの
“灰色”が生まれる

ニューアルバム『Paint your life gray』のタイトルにある“グレー”は、歌詞のフレーズに出てきますね。

長沼
タイトルの基となったのは、「DIC 954」の1回目のBメロ“溢れ出すイメージは 君がいないこの部屋を深いグレーに染めていくんだね”っていう部分ですね。好きな女性が自分の部屋から去ってしまい世界がグレーに染まっていくっていう。“DIC 954”っていうのも灰色の特色番号なんですよね。自分の好きな人が去っていった後の世界はどんくらい濃い灰色に染まって見えるのかなって、印刷に使うDICのチップを1から1000ぐらいまで見て探したんです(笑)。

えぇーっ!? 気が遠くなる作業だ(笑)。

長沼
“ちょっとこれは濃すぎる、これよりはもっと深いな”とか考えながら(笑)。その中で選んだこのDIC954はそんなに濃くはない灰色なんですけど、その灰色っていう世界がこのアルバムのひとつのキーワードかなと思って。今回は楽曲ごとにすごくそれぞれの色を持っていて、曲によっては激しい赤であったり、ちょっと冷たい青だったり…色があると思うんです。僕は絵を描くのも好きなんで、CDジャケットの絵も今まで自分で描いてきたんですけど、どんなにカラフルな絵を絵の具で描いたとしても、筆を洗うバケツの水の色って、だいたい灰色に濁っていくじゃないですか。“表面的にはどんなにカラフルでも、それがぐちゃぐちゃに織り混ざった時には世界にひとつの独特な灰色が生まれる”っていうのを後付けで考えました。でも、その灰色っていうのは、この10曲っていう10色を混ぜた時にしか出ないものなんですよね。曲を聴き込んでみて、いろんな色が織り混ざったVELTPUNCHの灰色っていうのを見つけてほしいなっていうところがキーワードになりました。

メンバーの個性も1曲の中で、さまざまな形で表れているような感じですよね。起伏豊かな展開とかでは特に。

長沼
そうですね。僕としても曲を作る中で、必ず他の3人の色を出したいと思っていて。自分はのっぺらぼうな存在で色や形がなくてもいいぐらい(笑)。アイコさんのすごくきれいなコーラスを前に出したいとか、逆に遠藤のすごく汚いしゃがれた声であるとかドラムの個性を出したい。姫野さんのギターワークのカッコ良いところを出したいとか、作品の中にメンバーの匂いや顔が見える音であってほしいっていうのが、個人的には強くあるんですよね。変な話、スタジオミュージシャンがバックを務めて、きれいに作った音は、いくら演奏が素晴らしくてもそれが他の人の演奏に入れ替わっても分からない。でも、VELTPUNCHは絶対にそうじゃなくて、各メンバーの匂いや顔を音の中から伝えていきたいっていうのが今はすごくあるんです。
ナカジマ
私はやっぱりメロディーというか、曲の良さですね。VELTPUNCHじゃなくて他の音楽を聴く時でも嫌なんですよ。“サウンドがすごくカッコ良いとか、イントロはすごくいいけど歌が始まるとちょっとね”みたいなものは、あんまり好きじゃなくて。だから、やっぱりメロディー重視で音楽を聴くので、自分が曲を作る上でもメロディーの良さは大事にしていきたいですね。

確かに、激しくディストーション・ギターが鳴っていてもメロディーの印象はかき消されないで強く響いてきますね。姫野さんは、VELTPUNCHになくてはならないものを改めて考えるとしたら何だと思いますか?

姫野
オリジナルメンバーはこのふたり(長沼&ナカジマ)だから、その世界観は欠けちゃいけないと思うんですよ。要は、男女ツインヴォーカルっていうことと、長沼の歌詞ですね。俺の中で、それは絶対なくてはならないし。今後もっと俺が曲を書くとしても、核にそれがあってこそじゃないかなって。俺は最後にバンドに入ったメンバーだから、そこはある程度客観的に見れるっていうのもありますね。もちろん、必要なものには遠藤のシャウトも、大味なドラムもありつつ(笑)。
長沼
ザツというかね(笑)。
姫野
遠藤が表現するものもVELTPUNCHの個性になってるから、エモ的な要素やギターロックうんぬんみたいな言い方が周りからあったとしても、俺の中ではそういうのは一切関係ないですね。VELTPUNCHのメンバーとして集まった自分以外の3人の個性をずっと見続けて、俺も曲を作っていけたらなと思ってるだけで。
長沼
アルバムでいうと3~4枚目ぐらいまでは、楽曲をバンドに持っていく前段階で、僕の中で完成形の9割ぐらいまでのイメージを膨らませちゃってたんですよ。ギターがもう1本ここにこう乗っかって…みたいな、CDに近い完成形まで突っ走っちゃうところがあって、メンバーと編曲していく時もどうしてもその基準に近づけていく感じになってたんですけど、今回のアルバムに関してはそれはもうまったくなくて。各メンバーのミュージシャンとしての個性をやっと認められるようになってきたというか、すごく魅力的だなと思えるようになりました。音楽性が広がっても、この4人で音を作ればVELTPUNCHの音になるんだっていうような自信が、10年ぐらいやってきてやっと掴めるようになってきたんですよね。
VELTPUNCH プロフィール

USオルタナティヴ直系の歪んだサウンドを強力な音圧で繰り出すVELTPUNCH。3ピースというタイトな編成を活かした、ソリッドでスピード感あふれるナンバーは瞬時に耳を奪う。また、泣きのフレーズをもつメロディは、UKギター・バンド好きにも充分アピールできるだろう。VELTPUNCHオフィシャルサイト
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OKMusic編集部

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