取材:石田博嗣

敢えてひねくれたいみたいな気持ち

今振り返ると、前作『ニライカナイ』はどんな作品ですか?

ソロデビュー10周年だったので、ひとつの区切りに向ってラストスパートしたようなアルバムですね。集大成というものではなくて、“締め”という感じで。飲んだ後のラーメンみたいな(笑)。その後の全国ツアーも、今までソロではデカい規模のツアーをやったことがなかったので、見えてなかったのものが見えたし、見てなかったものも見れたし、すごくいい経験ができましたね。

12月24日にLUNA SEAの一夜限りの復活ライヴがあったのですが、あのステージに立った感想は?

終幕してから7年ぐらい経っているのに、あれだけの人が興味を持っていてくれて…ライヴ会場に来れなかった人も含めて、あんな多くの人が自分たちがやってきたことを未だに愛してくれているっていうのは、“感謝”という言葉に尽きるし、今までの音楽人生の中でも、すごく大きな出来事ではありますね。

今年の3月にはTourbillonとして、『仮面ライダーキバ』のオープニングでもあるニューシングル「Break the Chain」を発表しましたよね。

作家さんが作った曲なので、そこに自分たちらしさをどう込めるかっていうのがテーマでしたね。自分たちが知らない世界はいくらでもあるっていうのが分かったような気がする…だから、今後もいろんなことにチャレンジしたいと思いますね。それは10周年だったからじゃなくて、LUNA SEAをやったからじゃなくて、仮面ライダーをやったからじゃなくて、それら全てをやったからそう思うというか。

…と話していただいように、この1年間忙しく活動されていたのですが、ニューアルバムがリリースされるという。やはり早い段階から構想とかはあったのですか?

いや、構想はまったくなかったですね。できたものを全部詰め込もうって。コンセプトとか考えてもリアルじゃないと思ったんですよ。等身大の自分というか、ナチュラルなものを入れた方が、絶対に後々で誇れるだろうし、いい課題も見つかりそうだし。

10周年からの“次”という意識もなく?

作る前は考えたりしてましたけど、そんなこと考えても仕方ないと思って、結局は“現在の自分を出し切る”ってことに落ち着きましたね。それが音楽を作る上での正当な動機だと思うし。“今はこれをやりたいからやってるんだ”っていうすごくシンプルなところで作っていきました。

収録曲はバラエティに富んでますが、自分のアンテナに引っかかったものを曲にしたという感じですか?

アンテナが立っていたって言うよりかは、自分の中にあるものだったという感じですね。“これはやってはいけない”っていう縛りはないんで、いろいろミックスできるようなものなら、自分が持っているものをどんどんミックスしてみたいし。

今作では吉田美智子さんと葉山拓亮さんが作詞で参加しているのですが、なぜ他の人に歌詞を書いてもらおうと思ったのですか?

別にソロって言っても周りにはスタッフがいるわけで、ひとりでやってきた気がしないし、歌詞にしても、曲にしても自分でやらないといけないっていう決まりもないから…それこそ仮面ライダーでやったようなチャレンジをやってみたかったんですよ。他の人が書いた歌詞を歌うっていうね。

アルバムにはテーマがないということなので、歌詞を書いてもらう時も完全にお任せで?

そうですね。何曲か聴いていただいて、イメージが浮かんだもので書いていただいというか。

でも、吉田さんが書かれた「Cheval's palace is here」はフェルディナン・シュヴァルの生き様を例に“自分の信じた道を生きろ”と示唆していて、INORANさんが書いた「I'll」や「Rightaway」にも通じるものがありますよね。

そうですね。きっとそれは…例えば、自分がオーダーを受けて曲を作る立場だとすると、相手のイメージにないものは作らないので、僕が歌うことを考えて書いてくれたと思いますね。

では「Cheval's palace is here」の歌詞を読んだ感想は?

素晴らしいと思いましたね。僕が持っていないものを持ってるし…シュヴァルの理想宮の話も知らなかったし、もう1曲の『Regret』にしても僕には戦争という題材でリアルなものは書けないですから。そういう言葉を与えくれたことで、僕もその世界に入ることができるようになるんで、お願いして良かったと思いますね。

葉山さんが手がけた「千年花」は?

同じですよね。まさしく曲を10倍、20倍、100倍、1000倍良くしてくれるような歌詞に感動しました。だから、歌詞に合わせてアレンジを若干変えたりもしましたね。

INORANさんが書かれた歌詞ですが、今作はメッセージ色が強いのでは?

そうですか? 『Cheval's palace is here』に影響されたというのはあるかもしれないですね。でも、メッセージではないですね。現在の自分が思っていることです。そういう自分が曲に吹き込んだ想いが、聴いてくれた人の中で、その人自身の想いとして置き換えてくれるものになったらいいですけど。

今作はどんな作品が作れましたか?

まだ客観的には見れなくて、全体像が分からないんですけど、悔いはないです。作ってすぐに気付く課題はありますけど、大切なものを自分に与えてくれるアルバムになりましたね。これがみんなのものになった時も、そういうものであってくれればいいですね。
IONRAN プロフィール

イノラン:2000年に活動を終了したLUNA SEAのギタリストとして活躍。以後、ソロと並行し、FAKE?(05年に脱退)やTourbillonを立ち上げ、音源制作やライヴ活動を精力的に行なう。ソロデビュー10周年だった昨年は4thアルバム『ニライカナイ』を発表し、初の全国ツアーも成功させた。また、LUNA SEAも一夜限りの復活を果たした。INORAN Official Website
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OKMusic編集部

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