【HAN-KUN】継承していかなきゃいけ
ないレゲエの文化がある

熱いフロウでレゲエシーンを牽引するHAN-KUN。湘南乃風のメンバーでもある彼が、自身のルーツからレゲエの未来への思いも込めた、4枚目のソロアルバム『VOICE MAGICIAN IV ~Roots&Future~』を完成させた。
取材:土屋恵介

4枚目のソロアルバム『VOICE MAGICIAN IV ~Roots &Future~』は、ルーツを継承して未来につなげていくというテーマの作品となりましたが、どういうきっかけでイメージが浮かんだのですか?

1stから3rdでは、自分のアーティスト性を突き詰めて構築するってテーマの三部作的なアルバムだったんです。ちょうど去年、湘南乃風として10周年を迎えて、自分の中であった心の葛藤とか、いろんなものが清算された感覚があったんですね。メンバーとも出会った頃の友達のような新鮮な気持ちで、楽しくツアーを回れたし。その時に一番思ったのが、このメンバーとやれてきたこと、サポートしてくれるスタッフ、家族、お客さんに感謝しかないなって。愛を持って何事にも接することが一番だってところに立ち返れたんです。そうした全てに出会わせてくれた自分のルーツ、音楽に向き合う時間がすごくあって。自分がレゲエのシーンでやり始めた頃は、とにかく先輩を追い越す、一番になるって気持ちしかなかったけど、いつしか若い後輩がいっぱいの状況になってた。今までは“自分が自分が”だったけど、それだけじゃなく、自分が先輩に見せてもらってきたことを、その子たちにも伝えたい、と。自分なりの解釈だけど、継承していかなきゃいけないレゲエの文化があるなって思えたんです。そういう立ち位置に自分がいるのかなって思えたし。

キャリアを重ねて、やるべきことが客観視できたと。

そういう意味でも、自分の背中に“Future”を背負って、自分の胸に“Roots”を刻んでっていう、自分の決意を大切にしたくて今回のタイトルとコンセプトが生まれました。

確かに、決意と責任感が詰まってますね。レコーディングは、ジャマイカのボブ・マーリーが使っていたTUFF GONG STUDIOで行ない、シャギーのバックを支えるシャギー・バンドとセッションして制作したそうですが。

制作過程は今まで通りですね。レゲエを世界に広めたという意味ではボブ・マーリーはルーツだし、自分がレゲエと出会ったルーツでもあるし。ボブの使ってたTUFF GONG STUDIOで音楽をやらしてもらうのは、自分の中で一番大切な時間なので。それに、現行でレゲエを世界に広めてるフューチャーがシャギーじゃないですか。シャギー・バンドとは前からやってるけど、今作の意味付けとしては理にかなってるなって。

新作のサウンドは、ルーツレゲエから現行のダンスホールも入ってるし、全部がリンクしてますね。アルバムの柱になった曲を挙げるとすると?

タイトル曲の「Roots&Future」はルーツ色が強いんですけど、今ジャマイカで一番流行ってるインストなんです。ジャマイカに自分のルーツを追い求めに行ったら、ルーツサウンドが流行ってた。でも、作ってるのは新進気鋭のプロデューサーで、今のサウンドが盛り込まれて、今のジャマイカのシーンに新しいものとしてデリバリーされてる。自分の思ってたテーマと重なって、このオケを聴いた時に、自分の思いが初めて“Roots&Future”って言葉になったんですよ。現地のプロデューサーに会いに行って、この作品に至ったんです。なので、この曲がアルバムの核になるのかなって思いますね。

歌詞は、先ほど言われてた思いが込められてますね。

もらったものを継承しなきゃいけないってことですね。自分が歌い手として一番大事にしてるのは、聴いてくれてる人フロアにいる人をいかに盛り上げるかなんです。曲作りでも、全部現場の爆発する瞬間と直結する作り方をしがちなんですが、自分が初めてレゲエを好きだと思った曲ってところに戻ると、みなさんが知ってる心地良い“ピース”“アイリー”“ワン・ラブ”みたいな言葉を連想させるスローティブな楽曲なんです。リリックはもちろんメッセージしていくけど、フィーリングミュージックとして、グルービーでキャッチーな音楽を追求したいなって。そもそもレゲエは“間の音楽”だから、自分の中でも間の音楽を昇華して見せていけたらなって、挑戦した曲でもあります。

もちろん、「Up&Live」「Dancehall King」「Revolution」などのアッパーな曲では、燃えて前に進んでいくパワーがたぎっていますよね。

基本、燃えてますね(笑)。ただ、「Up&Live」にしても、単に“パーティーしようぜ!”ってだけじゃなく、ステージに立つまでの自分のルーツが見え隠れすることを歌詞に打ち込みたかったんです。“現場で楽しかったあの曲の歌詞はどんなだろう?”って、家で歌詞カードを見たら“こんなメッセージが入ってたんだ!?”って思ってもらえる作りは考えました。

ほとんどの曲で、そういう刷り込み感がありますね。あと、感謝の思いが伝わるバラード「Give Thanks」もあれば、ラストの「Just The Way You Are」では人との出会いの喜びを歌っているという。

実際、今の友達がいなければ今の自分もないし、レゲエに会わなければここにもいないし。別れの歌ではあるけど、それも出会いの始まりだし。全部含めて、最後に“出会えて良かった”と言ってこのアルバムは終わりたかったんです。

まさに今回のアルバムは、HAN-KUN自身の過去現在未来が見える、そして、レゲエ、音楽としても前進していきたいという思いが詰まった作品ですね。

レゲエは日本ではまだマイノリティミュージックですけど、広げていきたいんです。でも、自分のスタイルを変えてまでやるのは違うかなって。それよりも、自分の音楽性をもっとブラッシュアップして、かつ聴きやすいかたちをデリバリーしたほうが、自分が背負ってる仲間たち、これから出会うであろう人たちとも、敬意を持って接せられるし、将来良い音楽が生まれるんじゃないなって。それがほんとの意味での、俺の中での“Roots&Future”かなって思います。
『VOICE MAGICIAN IV ~Roots&Future~』2014年07月02日発売TOY’S FACTORY
    • 【初回限定BOX(DVD&GOODS付)】
    • TFCC-86478 10800円
    • 【通常盤】
    • TFCC-86479 3000円
HAN-KUN プロフィール

ハンクン:湘南乃風メンバー、Voice Magician。マイク一本で自己表現していくダンスホールレゲエDee Jayでハードコアな掛け合いもできてサビも歌える、自分だけのスタイルを極めようとメッセージする歌い手。また、RUB-A-DUB(ラバダブ)と呼ばれるダンスホール特有のフリースタイルも得意としている。08年7月に待望のソロ1stアルバム『VOICE MAGICIAN』をリリースした。HAN-KUN オフィシャルHP

湘南乃風 プロフィール

ショウナンノカゼ:人間の持つ喜怒哀楽を魂で歌う4人組クルー。2000年~2003年、自らのレーベル『134RECORDINGS』を立ち上げ、合計4本に及んだオリジナルミックステープを携えて全国ワンボックスツアーを敢行。当時のテープの1本に『湘南の風』という表題があり、後の湘南乃風というクルー名の起源となった。03年、アルバム『湘南乃風 ~Real Riders~』でデビュー。“風伝説”と呼ばれる4人のストーリーを紡ぎ続けている。湘南乃風 オフィシャルHP(アーティスト)
湘南乃風 オフィシャルHP(レーベル)
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