【雪乃】心を120パーセント開いて、
広げて歌えました

ポップ、そしてスコーン!と抜けていくような解(開)放感。1stアルバム『VOCALIZE』のリリースから1年3カ月を経て、地続きでありながらも確かに新しいステージに立った彼女。楽しさも切なさも躍動する、この季節必聴の一枚だ。
取材:竹内美保

ここに至るまでの1年3カ月という月日。何を感じ、どのような思いを抱いて、今作の制作へと臨んだのでしょうか?

『VOCALIZE』を出して、「RanTiKi」という曲に出会えて、海外を含めいろんなところで歌わせていただいたり、いろんな経験をさせていただいたんですけれど、その中で思ったのが、“もう1回、自分が歌を始めた時の気持ちを思い出したいな”ということで。もちろん“歌が好き”という気持ちはあるんですけれど、すごく純粋だったものがどこかで“歌わなければいけない”みたいなものに変わってしまった自分がいたので、1回自分の心をリセットしたんです。で、学生時代に歌のために時間とお金を費やしてしまって、したくてもできなかったことを、その期間にいっぱいやってみて。そうしたことで今回のミニアルバムに向けて充実した日々を送れたし、視野も広がったことで、私っていう人物をはっきり伝えられるようなアルバムを作ることができたんじゃないかと思います。本当にやりたいことをやらせてもらった一枚…そういう作品を作るためにもすごく必要な1年3カ月でしたね。

“歌が好き。歌しかない!”みたいなところから、“いろんなことを経験したけれど、やっぱり歌が一番好き”への変化なんでしょうね。だからこそ、改めて一番大切なものを確認できたし、新たな大きい1歩を今作で刻み込めた。何らかの糧になるなら無駄なことはひとつもない、というか。

そうですね。ほんと、自分の歩んできた道に無駄はなかったと思いました。これまでは歌う時に肩に力が入っていたし、心が開くまで時間がかかっていたんですけれど、今回は心を開いて、心を広げて歌うことが120パーセントできた作品になりましたし。楽曲もいろんなジャンルがありますけれど、私なりにまとめられたというか、今まで自分が蓄えてきたものを少しずつ出せてきてるんじゃないかって思います。

一曲一曲聴いていくと、“この曲、愛されてるなー”ってすごく感じられます。それも重くなくて、軽やかに。

めちゃくちゃ愛してますね(笑)。楽器を弾いてくださっている方たちも笑いながら弾いていて…みんなが楽しく演奏してくださっていると、やっぱり私もさらにモチベーションが上がりますし。“もっと楽しく、もっとカッコ良くしたい!”っていう純粋な気持ちだけで歌えたので、良かったです。

雪乃さんってアレンジにも少し関わっていたりします? この作品を聴くと、何となくそんな感じがするのですが。

アレンジに関してはみなさん私の好みを熟知しているので“お願いします”のひと言で通じるというか。例えば、「恋しくて」は最初は王道J-POP風のバラードだったので、“もう少し洋楽風にしてもらえませんか?”ってお願いしたものの、まさかこんな斬新なアレンジになるとは思っていなかったので(笑)、ビックリしましたけれど。「Driveway」も最初はもうちょっと軽めの曲だったのがスティーヴィー・ワンダーっぽくなって、“もうどうしよう! こんな楽しい曲ないよ!”と思うくらい(笑)。

「Driveway」のサウンド、すごいですよね。1曲の中でどんどん変化して動いていく。

そうなんですよ。すっごい凝っていて。ブラスもカッコ良いですし。初めてゆったりで盛り上がる曲を歌わせてもらったので、それも新しいなと思いましたし。

「Betty」のジャジーな感じもカッコ良いです。

そう! 私、「Betty」大好きで。演奏者の方たちにめちゃくちゃ遊んでもらって…“なんて楽しいんだ!”って。ジャジーになったり、ラテン調になったり…ベースもすごいプレイをしてるじゃないですか。私、今回の制作で“ほんとに音楽好きだな”と思ったのが、自分が歌う歌詞を覚えるより先に全部のパートのメロディーを覚えちゃったっていう(取材現場爆笑)。先に歌メロ覚えろ!って怒られました(笑)。

それ、すごい(笑)。素敵ですよ。

「Betty」は歌詞の主人公も自分に似ていますし…この曲と「A -エース-」は音楽に出会った私が表現されてると言えますね。小学生の時にエアロスミスに出会って、“私、音楽好きだ!”って思った瞬間があって。歌詞にあるように、隕石にぶつかったような衝撃を受けたんです。それでおばあちゃんの形見の杖にスカーフ付けて振り回して(現場爆笑)。髪の毛も三つ編みをほどいてソバージュにしたり、ジーンズをはさみでめっちゃ切ったり。すごくスティーヴン・タイラーになりたかったんです(笑)。でも、そこから歌手になるための人生を歩んできて…まだ始まったばかりですけれど、私の音楽に対する気持ちをうまく表してくださっているので、この曲は今の自分にはもちろん、これからの自分に対しても、今の気持ちのまま歌わせてもらいたいなってすごく思います。

テンプテーションズの「My Girl」のカバーはアコースティックを基調としていて、これも新鮮でした。

「“ふぇ!?”ってなりますよね(笑)。すごく不思議な感じ、今まで聴いたことのないアレンジだったので。モータウンの曲をこんなふうにアレンジするのはすごい…私は“ア~!”(モータウンのコーラスグループのポーズで)ってやるつもりだったんですけれど(笑)。

と思えば、ラストの「恋はやめられない」がモータウンサウンドで。このバランス、面白いですね。不意も突かれたし。

ありがとうございます! この曲は歌詞もまたすごく面白くて。一生伝わることのない切ない思いが表現されているんですけれど、この主人公がどういう存在なのかは聴いた方に好きなようにとっていただければと思っています。

制作チームの心の行き交いもすごく感じる一枚でした。

周りの立ち居振る舞いで自分も変わりますし、自分の立ち居振る舞いで周りも変わるんだなって気付けましたし、ほんとにいろんな人の手がかかってこの一枚ができたんだと思うと、すごく温かくて。ただ作っただけではなく、自分の背中を押してくれる…そういう一枚になりました。
『A -エース-』
    • 『A -エース-』
    • COCP-38609
    • 2014.06.18
    • 1728円
雪乃 プロフィール

ユキノ:1991年7月8日に福岡に生まれ、横浜で育つ。小学生の時にエアロスミスに出会ったことがきっかけで歌の道を志し、学生時代にはアルバイトで得たお金でボイトレを受けるなど、本格的にヴォーカリストへの道を歩み出す。特徴的な声色と抜群の歌唱力が注目を集め、CDデビュー前からテレビ番組のテーマ曲に多数起用され、12年2月にミニアルバム『You make me blue』でメジャーデビューを果たした。

雪乃 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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