【岡平健治】みんなに“頑張っていこ
うよ”って明確に歌いたかった

2年振りとなる新曲「勇者のウタ」が完成! 自分で車を運転してたったひとりで全国を回るという自走ツアー。もはや岡平健治しかなし得ない自走距離74836.2キロメートルの旅。このスタンスでひとりひとりのファンに歌を届けてきた彼だからこそのポジティブなメッセージが詰まった一曲である。
取材:石田博嗣

ブログをFacebookに移す時の“沢山の人達に見てもらう時代は終わり、皆が好んで選び、音楽、映画や商品を選択する時代がやってきました。僕は将来の展望をそう見ます”というコメントが気になっていたのですが。

なんかカッコ良いこと言ってますね(笑)。けど、もう2003年くらいからそういう時代になってきたなって思っていて、今、まさにそういう時代になったというか。たくさんの人に届けたいって気持ちはありますけど、目の前の人…“より相手を見なければ歌い続けられない”って状況になっていると思います。

そういう気持ちが新曲「勇者のウタ」の《君だけに、君の為に生きている》というフレーズに直結しているのかなと思ったんですよ。

そうですね。僕は誰もが勇者になる権利があると思うんですね。みんなそれぞれに“壁”ってあると思うんです。それが恋という悩みの壁だったり、仕事がうまくいかないというものだったり、経済的な面とかいろいろあると思うんですけど、そういう壁と闘っている人の背中を押せる曲が初めて書けたと思いますね。

まずは、「勇者のウタ」が生まれたきっかけからうかがいたいと思います。

ある日、虹を見た時にすごい感動して…前回の第6回目の自走ツアーを走り切った直後だったんで、自分に対するご褒美かなって。3〜4分で消えちゃったんですけど、歌詞にある通り、中野坂上のハーモニータワーから甲州街道のパークハイアットまで新宿を全部を包み込む、きれいな半円を描いていたんですよ。そんな虹を見るのは僕は生まれて初めてで、もう涙が出てきちゃって。で、いきなりギター持ってその晩に作っちゃったという感じです。すごい短い小節の中でサビがオクターブ上にいっている不思議な曲で…僕もこんなに短い曲でオクターブ上にいけた曲を作れたのが初めてだったから、すごく嬉しかったです。きっと衝動で作ったからでしょうね(笑)。

歌詞はあとから?

歌詞とメロディーが同時に出てきた感じですね。歌詞の内容もあまり変わってないです。ポジティブで分かりやすい曲を作りたいなっていう気持ちはあったんですけど…僕自身が悲しいこととかを1回リセットして、前に進むんだ!っていう気持ちになれてるということもあって。

その“前に進む”がキーワードというか、テーマになっていますよね。

そうですね。基本的に僕は普通の人よりかなりポジティブだと思うんですよ。めげない…めげるんですけど、めげる期間が短い。次の日起きたら“頑張るしかない! 前に進むしかない!”って思ってるので。

そんな自分だからこそ、壁と闘っている人の背中を押してあげられる?

そうですね。それこそファンレターだったり、Facebookのコメントだったり、会社に届くメールもそうですけど、みんないろんな壁があるなって思ってですね…もちろんハッピーな報告とかもたくさんあるんですが、みんなに“頑張っていこうよ”って明確に歌いたかったんです。

そういうメッセージがあって、聴き手に呼びかけるような曲だけに、いい意味で人間臭い印象があり、すごく体温を感じました。

頑張ってよ”っていう気持ちだったんで、あえてそういう感じにしました。洋楽テイストを入れれば売れるかもしれないけど、時代を裏切って90年代初頭のハッピーな感じの曲を書いてみたっていうか。こういう分かりやすい曲を、自分で車を運転して、全国を回って届けるというほうが、僕はロックだと思うし、めちゃくちゃメロコアだと思うんですよね。

そこにリアリティーや説得力があると。

はい。今回、僕の鼻ふうせんの音が入っているんですよ(笑)。それを消さなかったんです。普通だとノイズは…例えば、ネックレスとかの音はきれいに消すんですけど、今回は息とかもそうですし、とにかく雑音も全部入れたんです。それこそが音楽じゃないのかなと思って、そういう変な音もそのまま使ったというか。なので、服のシャカシャカっていう音も入ってます。

ありのままを録ったという感じですね。

だから、あえてカッチョ良いものを入れなかったです。音楽的に難しいものも求めてなかったし、今回のレコーディングでは。全てが自然というか、ナチュラルに楽曲ができたという感じですかね。

カッコ付ける必要がなくなったという感じじゃないですか? 自走ツアーとかで聴き手とより深く1対1の関係になっているし。

多分そうだと思いますね。ファンもそう思ってると思うんですよ。デビューして17年が経って、健治はカッコ付けてるよりもそのままのほうがいいって。で、より自然体で背中を押してくれるものを求めてるのかなって。僕にはまだ背中を押せる余裕があるし、みんなには元気になってほしいし…まぁ、東京には半年いませんが(笑)。

自走ツアーに出てしまいますからね(笑)。

はい。けど、そういうスタイルでやっていかないと、僕は大好きな歌が歌えないというのが正直な意見で。本当はドームツアーをして、飛行機で移動してってのがカッコ良いスタイルだというのは分かってるんですよ。でも、ここまでしなきゃ僕の音楽は続かないし、伝わらないから。超現実主義者なんでしょうね。

そんな「勇者のウタ」ですが、他に2バージョン入っていて「勇者のウタ~joins chibachang~」と「勇者のウタ〜らいぶれんしゅうばーじょん〜」とがあるのですが。

「勇者のウタ」は作り込んだらめちゃくちゃ面白い楽曲になると思ってるんですよ。だけど、ライヴと音源がより近いものにしたかったので、“こういうアレンジをしても楽しく聴こえるよ”っていうものが「勇者のウタ~joins chibachang~」ですね。ストリングスの音とか、SEとかも入ってたり…足音とかもね。2度楽しんでほしいなっていう。で、「勇者のウタ〜らいぶれんしゅうばーじょん〜」は絶対に入れたいと思ってたんですよ。“これで練習してライヴに来て”っていうか、“CD買ったんなら来いよ”みたいな(笑)。

(笑)。2曲目の「光合成」ですが、これも最近作った曲になるのですか?

去年ですね。会社の観葉植物の土換えを全部したんですけど、その時にすごく大事な人からもらった観葉植物が元気なくて。で、いろいろあの手この手で栄養剤を買いに行ったり、土も新品に換えたり、土の状況とか調べたりして、ようやく最近ちょっと元気になってきたんですね。そんな“元気がないな”っていうところからできた歌です(笑)。それと、人間の気持ちを掛け合わせてね。植物って喋らないじゃないですか。だから、“こんなこと思ってるんじゃないかな?”とか思って植物の言葉も入れたというか。

気になったのが《在りし日の太陽よ》というフレーズだったのですが、これが意味するものは?

これはね、ちょっと深いんですよ。今、太陽に異変が起きていて、それが原因でエルニーニョ現象やフェーン現象が地球に起きているんですね。太陽フレアが今安定してないんです。だけど、安定してた時期もあるじゃないですか。なので、《在りし日の太陽よ》なんです。安定ってないんだなって。

それが《もう振り返らない。振り返りたくもない。》というフレーズにつながる?

そうですね。「勇者のウタ」でも言っていることなんですけど、嫌なことは振り返りたくもないし、前に進むぞ!って。だから、ちょっと後ろ向きな曲だけど、「勇者のウタ」のカップリングだと面白いかなっていう。ライヴでも盛り上がるかなと思ったし。

では、タイトルからしてちょっと意味深な3曲目「愛し愛され意図しき愛」ですが、これも最近作った曲になるのですか?

「勇者のウタ」と同時期ですね。ちょうど友人の恋の相談に乗っていましてですね…彼女のほうも彼氏のほうも友人だったんで、お互いの意見が僕に集中するんですよ(笑)。それで“どう伝えたらいいんだろう?”って悩んで書いた歌です。なので、ふたりの性格をしっかり描写しています。

友人は“恋”という壁にぶつかっているわけですね(笑)。

そうですね(笑)。

そんな今回のシングルに収録されている3曲は、いずれも迷っている人だったり、前に進めないでいる人に向けて歌っている印象がありました。

あっ、そうですね。気持ちに余裕ができたかもしれないです、いろんな意味で。迷ってた時期もあったんですけど、それが全部払拭された…それがデカいかもしれないです。絶えず思っていることではあるんですけど、本当に周りの人に助けられているなっていうことを実感したし。なので、今度は自分がちょっとでも助けられたらいいなと思ってたんですよね。

今回のこのシングルですが、どのような手応えを感じていますか?

“もう最高”って。今死ねるっていうかね(笑)。いろんな思いを込めて作ったし、何も悩みはなかったし。あと、3B LAB.☆Sの「光」に《光る虹をみつけた一番最初に 教えたい 教えたい》という歌詞があるんですけど、7年後にそれを実行できたのが嬉しかったです。

ジャケットでも虹を描いてますしね。

はい。虹にしてみました。この間、実家の愛犬が亡くなって、一週間ぐらい落ち込んでたんですよ。そしたら友達が『虹の橋』の話を教えてくれて。で、“あぁ、虹っていろいろあるなぁ”と思ったりして…あと、僕を気遣ってくれた行為もすごく嬉しかったんですよね。

そして、今年もまた自走ツアーに出るんですね。

今、唯一悩んでることがあるって言ったら、今年の自走ツアーは52公演もあるから無事に回れるかなって(笑)。全47都道府県を回るのは最後にしたいなぁって思ってます、今年も(笑)。“あそこ、きちんと走れるかなぁ”って運転のイメージトレーニングを絶えずしてますからね。回り切って、生きて帰ってきたいです(笑)。
「勇者のウタ」2014年04月02日発売ビクターエンタテインメント
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • VIZL-639 1800円
    • 【通常盤】
    • VICL-36886 1200円
岡平健治 プロフィール

オカヒラケンジ:1998年に19としてデビュー。数々のヒット曲を生み、01年には3B LAB.☆を結成。02年の19解散後、3B LAB.☆を本格始動させ、05年に新メンバー加入に伴いバンド名も“3B LAB.☆S”に変更。07年11月21日には、3B LAB.☆Sを継続させながら、アコースティックギター1本でソロプロジェクトを開始することを宣言し、健治自身が車を運転し、弾語りで音楽を届ける自走ツアー『岡平健治ソロ全国47都道府県 弾語り自走TOUR2007→2008』に旅立つ。そして、14年5月より全国47都道府県52公演を回る、7度目となる自走ツアーが予定されている。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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