【城南海】暗闇に差す、ひと筋の光で
あれたら

喜びにあふれる時も、悲しみにくれた時も、聴き手の心にそっと寄り添い抱きしめてくれる。そんな温かい歌が13曲集まった城南海の2ndアルバム『綾蝶〜アヤハブラ〜』が完成した。
取材:桂泉晴名

ニューアルバムをじっくり聴いて、城さんの歌から深い温もり、包み込むようなやさしさを感じました。

嬉しいです。今回は月や暗闇、そして光が見えてくる曲があったので、それをもとに曲順を考えました。夕方から夜の闇になり、その後だんだん明け方の光が差してくるイメージで曲を並べてみて。そうやってつないで聴いたところ、バラバラに思えた曲も、同じ方向に向かっていることに気付いたんです。重いテーマの曲でも、最後は必ず光に向かう終わり方になっていて。やっと“ここだったんだ”と分かりました。

前作から4年半、思い出深い曲ばかりですよね。

中でも「夢の地図」はずっとライヴで歌っていて、デビュー曲「アイツムギ」より長いんです。音源としてリリースしていなかったので、ぜひアルバムに入れたくて。今回は4年半の声が詰まっているから、自分でもそれぞれ声の響き方が違うことを感じるし、その時の感情や出会った人など思い出が巡ってきて…武部聡志さん、一青窈さん、河野丈洋(GOING UNDER GROUND)さんなどたくさんの方々の曲を歌わせていただいて。環境が自分の声を作っているんだと改めて思いました。

新曲は3曲収録、「ハルカゼ」は軽快でアップテンポで。

かわいらしい曲ですよね。私はアイリッシュが好きなので、アイリッシュ・ダンスを踊っている感じで楽しく歌いました。

また、「私大陸」はタイトルがハッと目を惹きます。

この曲は作詞家の haru-A さんと話し合い、“自分探し”をテーマに詞を書いていただいたんです。最後に《光を目指し 今 歩いてる》という歌詞があって、自分自身の中で葛藤しながらも、希望に向かっている様子を歌詞で表現していただきました。曲に関しては、アップテンポだけれど土着的な感じにしたかったので、サンポーニャという笛を吹いてもらっています。最後のほうは私がグイン(奄美大島の歌唱法)を使い、サンポーニャとコーラスをしているんですよ。

最後は「ヒカリあれ」ですが、静かな信念を歌っていて、デビュー曲の「アイツムギ」と非常に近いものを感じました。

自分の分岐点として川村結花さんが作ってくださった「アイツムギ」「夢待列車」、そして「ヒカリあれ」の3作がつながっていると思います。“ヒカリあれ”というタイトル自体がこのアルバムのテーマだと感じていて。この曲をレコーディングした時のことは、歌っていて泣きそうになったことしか覚えていないんですよ。いい意味で“無”になって歌えました。

アルバムタイトルは10曲目「兆し」の詞でも使われている“綾蝶〜アヤハブラ〜”で、これは奄美大島の言葉だそうですね。

やはりタイトルは自分のルーツ、エッセンスが入った言葉にしたかったんです。“綾蝶”は奄美大島では“きれいな蝶”という意味ですが、このアルバムは一曲一曲が美しい蝶で、それが集まって出来上がっているイメージがあるんです。また、奄美大島には「綾蝶節」というシマ唄があるのですが、シマを出ていった若者に対して“待っているからいつでも戻っておいで”という内容の曲なんです。私にとってとても支えになっているシマ唄でもあるので、このタイトルに決めました。

このアルバムを通して、何を一番伝えたいですか?

私の中にも暗闇のようなものはあるし、みなさんの中にも悩みや痛みといったものがあると思うんです。でも、いつか必ずひと筋の光が差して夜明けを迎える。暗闇の中に淡く差し込むやさしい光。それが自分の歌だったらいいなと思っています。
『綾蝶~アヤハブラ~』
    • 『綾蝶~アヤハブラ~』
    • PCCA.3998
    • 2014.02.26
    • 3150円
城 南海 プロフィール

キズキミナミ:平成元年、鹿児島県奄美大島生まれ。奄美民謡“シマ唄”をルーツに持ち、2009年1月にシングル「アイツムギ」でデビュー。14年7月にテレビ東京『THE カラオケ★バトル』へ初出演以来毎回高得点を叩き出し、番組初の10冠を達成。デビュー10周年となる19年は1月に地元奄美大島で『10周年記念ふるさとコンサート』を奄美文化センターで開催し、5月にベストアルバム『ウタツムギ』、さらに12月にはオリジナルアルバム『one』をリリース。20年にはディズニー実写映画『ムーラン』の日本版主題歌「リフレクション」の歌唱が決定。日本版の訳詞も担当し、21年1月に10枚目となるアルバム「Reflections」をリリース。城 南海 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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