日本、イラン、ロシア、スペインと多国籍なバックグラウンドを持ち、エキゾチックな魅力を放つMay J.。そんな彼女の最新アルバム『FAMILY』は、大切な“家族”との絆を描いた温もりを感じる作品だ。
取材:金澤隆志

『FAMILY』はとてもバランスが取れていて、楽曲が自然に染み入ってくるアルバムでした。

“みんなにとって聴きやすく”というのが今回のキーワードだったんです。これまでは、洋楽に近い、英語をたくさん詰め込んだダンサブルなR&Bものをやるという目標があったんですね。それはそれで果たすことができたと思うので、今回はそれとは異なった自分のベースになった部分を表現したくて。例えば、クリスティーナ・アギレラとかマライア・キャリーといったポップスや、ディズニー映画『アラジン』の音楽まで、私にはとても大切なもので、むしろそこがメインであることに気付いたんです。今回はそこを表現したかったんです。

歌詞が日本語中心になっただけでも、ずいぶんと親しみやすくなりましたね。

そうですね。これまでのMay J.のイメージだと、ちょっと取っつきにくいと感じる人も多かったと思うんです。それで、歌詞を日本語中心にして、より親しみを持ってもらえる自然体の私を出しました。

自然体という部分は、アルバムのタイトルにもなっている「FAMILY -Interlude-」に通じますね。

ええ。血のつながった家族だけでなく、友達、スタッフという自分の周りにいる全ての人がファミリー。そういった人たちに支えられて今の自分がいるという感謝の気持ちと大切さを歌っています。

「FAMILY -Interlude-」と「Unity -Outro」の2曲では、ピアノをバックに英語での語りが入っていて、そうした思いが語られていますね。

メッセージをストレートに伝えるには、この方法が一番いいかなと思って。しっかりと言葉にしなければ、アルバム全体を通じてメッセージ性を持たせるのは難しいから。『FAMILY -Interlude-』は本当の家族の大切さを、『Unity -Outro』はより広義でのファミリーについて表現しました。実は、これは自宅でお父さんにレコーディングしてもらい、ディレクションをされながら録ったんです。バックのピアノも私が弾いてます。

10年前にヒットしたSugar Soul feat. Kenjiの名曲「Garden」のカバーを入れようと思った経緯は?

当時、私は10歳で洋楽ばかり聴いていたんだけど、この曲はいろんなところで流れていたのでよく憶えていて。去年久しぶりに聴いたらすごく懐かしくなって、“カバーしたい熱”が急上昇したんです(笑)。それに加えて、Kjさんには前のアルバムで1曲プロデュースしていただいたことがあったし、Sugar Soulさんは事務所の先輩だったということで運命を感じ、これはやるしかないなと(笑)。このアルバムは私にとって再出発だと思っているんで、こういう運命付けられた曲をやるなら今しかないと思ったんです。

原曲よりもアップなアレンジになっていますね。カバーする上で意識した点はありましたか?

とても元気が出る曲だったので、その感覚をみんなに伝えたくてテンポを上げ、キーも若干上げました。有名な曲だけに原曲のイメージを崩さないようにはしたんですけど、メロディーラインをそのまま歌っただけで、自分らしいテイストが出たように感じます。トラックを作ってくれたDJ KAORIさんも言っていた“May J.のYoung & Freshなイメージ”に合った仕上がりになりましたね。

「もし君と…with キマグレン」では、キマグレンが作詞作曲を手掛けているという。

キマグレンのおふたりとはとても仲良くさせてもらっていて、音楽的に学ぶことが本当に多い方たちなんです。私にとってはお兄ちゃんのような存在ですね。

ブラジリアンなリズムに乗った同曲は、とても疾走感がありますね。

ロックっぽい歌い方に挑戦してみました。そこに、バックグラウンドにもあるスパニッシュやブラジリアンのサウンドやリズムをエッセンスとして入れることで、いつもとは違う私の側面が見せれたんじゃないかな。

「旅立つ君に」は女性同士の友情を歌った曲ですが、あらゆる関係に置き換えれるかもしれないですね。

そうですね。仲の良い女友達同士が、卒業とともに離れ離れになってしまうけど、違う場所にいてもお互いの夢に向かって頑張っていこう、という内容です。私の親友がオーストラリアに留学してしまい、歌詞とまったく同じシチュエーションだったり、レコード会社の移籍などもあって不安な時期だったので、自分と重ね合わせて感情移入できましたね。どの曲にも言えることなんですけど、私自身の歌詞ではないにもかかわらず、私が生活を通じて抱いた感情や出来事が反映されているように感じて。その分、言葉に重みが備わっているように思います。

ラストの「Crescent Moon」は、「旅立つ君に」の英訳カバーなのですが、曲調はまったく違うのに、世界観がとても似ているのが面白い。

歌詞を書いていただいた松尾 潔さんの言葉の力をすごく感じたので、可能な限り彼の言葉を直訳するように意識しました。歌詞の場合、日本語と英語では音節の違いなどがあるから、そのまま訳すのは難しいんだけど、原曲の歌詞のイメージを上手く保てたと思います。

では最後に、このアルバムを漢字1文字で表すと?

“結”。今の私は“FAMILY”“Unity”があってこそ。その結束、団結力があったからこそ完成したアルバムですし、聴いてくれた全ての人をファミリーに迎え入れたいですね」「そうですね。個人的には今の音楽シーンって、元気がないように感じるので、その中でストレートに支持されるような良い曲をって。それをメンバーみんなでアレンジしたら、ある種ジャンク感のあるアメリカのグランジっぽいロックになっていった感じですね。
『FAMILY』2009年05月27日発売rhythm zone
    • rhythm zone
    • RZCD-46137/B 2940円
    • CD
    • RZCD-46138 2100円
May J. プロフィール

1988年生まれ。
日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。日本で生まれ育ちながらも、家庭環境により培われた語学力、和の心を持ちつつ様々な経験によりソングライティングやダンス・パフォーマンス、ピアノの弾き語りをもこなす。

2006年にミニアルバム「ALL MY GIRLS」でデビューし、現在までにシングル3枚、ミニアルバム1枚、アルバム1枚、DVD1枚をリリース。
自身の作品では、Verbal(m-flo)、KEN-U、TARO SOUL等と共演、REMIXではSTUDIO APARTMENT、FPM、BUZZER BEATS、 DJ WATARAIらも参加。また、feat.での参加作品はZEEBRA、DJ PMX、”E”qual、 WISE、クレンチ&ブリスタなどのHIP HOPシーンから、キマグレン、鈴木雅之などのポップフィールドまで、多くのアーティストと共演する。

ずば抜けた歌唱力と表現力、また彼女独自のエキゾチックなフレイヴァを武器に、2008年、rhythm zoneに移籍。また、同年より世界180の国と地域に放送されているNHK WORLDの音楽番組「J-MELO」のVJを務める。(NHK総合テレビでも放送)May J. オフィシャルHP(アーティスト)
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