L→R 山田貴洋(Ba&Vo)、後藤正文(Vo&Gu)、喜多建介(Gu&Vo)、伊地知潔(Dr)

L→R 山田貴洋(Ba&Vo)、後藤正文(Vo&Gu)、喜多建介(Gu&Vo)、伊地知潔(Dr)

【ASIAN KUNG-FU GENERATION】今こそ
必要な“個の爆発”としてのロック

“何やっても無駄じゃん”と“できたら
良くしたい”の狭間で

「踵で愛を打ち鳴らせ」もそうですけど、特に今回、言葉とビートにフォーカスを絞っている感じはありますよね。

うんうん。今回、作曲クレジットに潔(伊地知 潔/Dr)が登場している通り、アイツの音楽的な成長みたいなものはあるんじゃないですかね。それが全面的にまとまってきてるとは思わないけど、いろんなところでいい意味で放射してるエネルギーがあるので。アレンジの時はスムーズですね、理解が早いので。セッションでたくさん曲を作ったのも良かったですね。頭の中で作ってない感じというか。みんなで“ああ、気持ちいい”って思ったものが正解っていう。

セッションで曲を作るっていう方向にシフトしたのも意識的なもの?

うーん…震災後、いろんなものがめちゃめちゃだったんで、スタジオの環境も含め。そう考えると、自分の作業場に籠ってちくちく曲作ってる場合じゃないっていうか。病んじゃうから、そんなことしたら。作業のスピード感を上げたいっていうのもあったから、みんなでスタジオに集まってウワッてやっちゃったほうが、自分たちの性にも合ってたし。何つっても、誰かと話したい時期でもあったから、震災後って。ひとりで画面に向かってネットで調べてるとね、泣けてきたりしたから。“なんていう時代になったんだ”って。それは震災より原発事故の問題のほうが大きいけど…そういう中、みんなで集まって何かを作るっていう環境があることが、精神衛生的には良かったと思うんですけどね。

「All right part2」のラストで次々に転調していく部分とか、ああいう音楽的マジックもセッションで生まれていったもの?

ゲラゲラ笑いながら作ってましたけどね。『N2』のブリッジのところとかも、“これU2の『Vertigo』じゃね?”みたいな(笑)。あの曲が入ってるのは“How To Dismantle An Atomic Bomb(原子爆弾解体新書)”っていうタイトルのアルバムじゃないですか。そこから引用して、曲名が“No Nukes”で“N2”ってめちゃめちゃ面白いじゃん、とか。そういうのが、日本のロックに必要だと思う。必要っていうか、俺はそれが面白いと思うんですよね。でも俺、基本的に、どれほど原発に反対でも“原発反対”とだけは歌いたくないわって。それは“頑張ろう”って書いちゃうのと同じじゃん、曲の中で言いたいこと最初に言っちゃダメでしょ、みたいなノリなんで。自分の考えてたり思ってたりすることを、いかに“直接言わない”かが、詞を書くことでもあると思うんで。どう喩えていくか、見ている風景をどういう言葉で書き写すのか。それが作詞の美醜を決めると思ってるんですよね。

バンドとしての肉体性を重視したからこそ、ゴッチ自身のそういう気分を楽曲に開放できたのも大きかったわけですね。

うん。だからもうほんと、悪口みたいなことも歌ってるし。でも、それでいいのかなって。僕、こういうフリーペーパーとか、雑誌とかも、ひと通り見るんですよ。“他のみんなは何を歌ってるのかな”とか“どんなこと言ってんだろう”って思って(笑)。ただまあ、僕の場合、世界観みたいなものはすでに終わってるっていうか。それは俺が決めることじゃないなって。見える景色をグイグイ書いていくしかない、嫌味なこといっぱい言おう!って(笑)。だから、より僕らしい歌詞かもしれないです、性格的には。

面白いですよね。歌ってる内容はゴッチの“個の爆発”的なロックなんだけど、最終的には自分のエゴの実現のためには歌ってないというか。時代の“その先”への希望を見せていくために、“俺は皮肉も何もかも自分をそのまま歌う必要がある”みたいなバランス感も、ゴッチの中にはある気がするんですけど。

うんうん。すごい難しいですよね。自分が生きているっていうことに対しては“素晴らしいな”って感動するんですよ。ライフ・イズ・ビューティフルみたいな感覚ってあるんだけど…人間たちがやってることとかを考えると、とてもじゃないけど僕は性善説みたいなものは唱えられないなと思って。“半分終わってんじゃん”や“何やっても無駄だろ”みたいな気持ちもどこかに抱えてて。でもなんか、虚無を歌うっていうのはそもそも矛盾してるっていうか。虚無を歌うぐらいなら黙ってろよって(笑)。だから、諦めてないところがあるんでしょうね。“できたら良くしたい”っていう気持ちがあって。ダークな部分もありつつ、でも全面的にネガティブじゃないから。

冒頭の「All right part2」から「N2」の流れには、その両極がはっきり出てますよね。

まあ、いきなり『N2』はねえなっていうのもあるし(笑)。本当は“大丈夫だよ”って言いたいところはあるんですけどね。全然大丈夫じゃないんだけど。でも、ロックンロールは“大丈夫だよ”って言ってほしいっていう気持ちはあるんだよね。苗場(『FUJI ROCK FESTIVAL’12』)のあんなにでかいステージで、ストーン・ローゼズが、もうおっさんになって、スゴい演奏でーー。

(笑)。

《俺は憧れられたい(I wanna be adored)》って歌ってて。でも、それですげえ感動するわけじゃないですか。それがロックンロールなんじゃないかなって。デタラメだけど、全部持ってっちゃう感じ? そういう感じも好きなんですよ。『All right part2』の歌詞もデタラメなんですよ、はっきりと。あいうえお作文じゃん!って(笑)。ロックはそういう役割もあるし。だけど、ちゃんとブルースみたいに日々の悲しみを歌ったりとか、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンみたいに告発することもできるし。そっち側のロックも好きだしね。改めて歌詞って難しいなと思いましたね。だから、今回、聴いてくれる人にどう響くのかな?っていうのがすごく気になってて。俺は1年かけて考えて言葉にしたけど、これがどう響くか想像できないですね。対象化できないっていうか。

でも、ゴッチの“できたら良くしたい”っていう気分が、終盤の「レールロード」「踵で愛を打ち鳴らせ」「アネモネの咲く春に」の流れには出てると思いますね。

そうだよね。前半で毒吐き狂ってるから、バランスをとってる…のかな?(笑) 皮肉なんか言いたかねえんだよ!っていう気持ちもあるんですよ、どっかに。そりゃそうですよ、言わないに越したことないんだから!って(笑)。でも心配なのは、みんなアルバムを最初から聴いていって、5曲目まできてやっと心配するんじゃないかな?って。“あぁ、良かった。これアジカンだった!”って(笑)。言葉遊びが4曲目まで続くんで。

“そういう言葉遊びからも自分は出るんだよ”みたいな吹っ切れ感も、このアルバムでは大切な気がするんですよね。

ユーモアがあったほうがいいと思うんですよ、歌詞には。00年代ってユーモアがなかったのかなって。ガチガチの内面世界だった人が多いし、リスナーたちもそれを聴きたかったっていう。そうじゃなくて、もっと気持ちを外に出してあげるっていうか。『1.2.3.4.5.6. Baby』をシンガロングする喜びって絶対あると思うし。そういうのをみんなで、合唱厨とか言わないでやりたいですよね(笑)。だって、ストーン・ローゼズがマンチェスターでライヴやったら、何十万人が一緒に歌うわけで。イアン・ブラウンよりみんなのほうが歌上手いじゃん!みたいな(笑)。みんな歌ったらいいと思うし。普通に家で大声出したら気持ち悪がられるし。ライヴハウスとか大きいところでしか歌えないんだからね。
『ランドマーク』2012年09月12日発売Ki/oon Music
    • 【完全初回限定盤(アナログ盤&特製ブックレット付)】
    • KSCL 2118〜9 6980円
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • KSCL 2120〜1 3800円
    • 【通常盤】
    • KSCL 2122 3059円
ASIAN KUNG-FU GENERATION プロフィール

アジアン・カンフー・ジェネレーション: 1996年に関東学院大学の音楽サークルで結成されたロックバンドで、愛称は“アジカン”。2002年にミ二アルバム『崩壊アンプリファー』が話題を呼び、03年にキューンレコードよりメジャーデビューを果たす。以降、精力的に作品を発表し続けている。音源のリリース、ツアー、主催イベント『NANO-MUGEN FES.』と精力的に活動を展開。これまで多くの作品がタイアップに起用され、21年には劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の主題歌、挿入歌を手掛け話題となった。同年、結成25周年を迎え、22年3月に10枚目となるアルバム『プラネットフォークス』をリリースし、全国ツアーを開催する。ASIAN KUNG-FU GENERATION オフィシャルHP

OKMusic編集部

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