【PUSHIM】自分の目で見て思うことが
真実だってことを伝えたかった

ひとりの母となったレゲエシンガーPUSHIMが、いよいよ本格的に活動を再開し、約2年振りとなる新作『MESSENGER』をリリースする。新曲の話題を中心に、彼女の今の思いを訊いた。
取材:土屋恵介

昨年、お子さんを出産されたそうですが、音楽を作っていく上での変化はありましたか?

多少変わったとは思います。でも、まだ1年ぐらいしか経ってないので、今が自分の中で変わっているのか、この先もっと変わっていくのか分からない感じですね。

今の時点での、歌に対する心構えは?

そんなに変わらないですね。ただ、良い時に子供を宿したと思ってるんです。30歳を越えて、年齢に合う歌を歌っていこうとか、歌に対して悩んだり考えてた時期でもあったんです。そんな時に子供ができたのは、自分を見つめ直せる良い時間にもなりました。母親として、歌い手として、何かを与えられたのかなって感じはしますね。

公私ともに、自然と新しいところに向かっていくことができたと。そうした経験を経ての、復帰作となるミニアルバムですが、タイトル曲「MESSENGER」は“困難があってもそれがやがて力に変わる”と歌う、穏やかでメロディアスなナンバーでした。

最初は違う曲を出す予定だったんです。でも、震災があって、この曲の方が今の世の中に響くんじゃないかなと思ったんです。もともとは自分の子供に向けて作った曲で、次の世代に向けて希望や未来を想像してほしいって意味を込めて作った曲なんです。

希望を描いた楽曲はこれまでも歌ってきましたが、特に込めたかったことは?

やっぱり人生って人との付き合いですよね。そこでいいこともあれば、悲しいこと、裏切りとかいろんなことがある。それでも自分を愛してくれる人はいる。自分の目で見て思うことが真実で、それを信じてほしいってことを一番に伝えたかったんです。単に頑張れとか、未来は絶対明るいって歌ではないんですよね。サビの《言えよ 未来はBeautiful》っていうのも、そうであってほしい、そう願おうよって気持ちで歌ってるんです。

サウンド面では、アコースティックギターがすごく良い音で印象的ですが、歌と優しいメロディーとの絡みが絶妙ですね。

曲の雰囲気から、アコースティックギターをメインにしようと思いましたね。ゼロからミュージシャンと音を作ったので、いろんな面ですごくマッチしてると思います。

ヴォーカルも、人間味のあるいい生っぽさが出てるなと。

これは一発で録る気持ちで、感情を重視して録ろうと思ったんです。あまり細かいことは気にせず、気持ちのおもむくままに歌うのが一番いいんじゃないかって。

それで、人の温もりを感じられる曲になったわけですね。

そう聴こえてくれてたら嬉しいです。この曲は自分が経験してきたことを、人に、次の世代に伝えたいって思いが込められてるので、それでタイトルを“MESSENGER”にしたんです。

なるほど。あと、カップリング曲ですが、伊藤由奈さんの「Endless Story」のカバーには驚きました。すごくいいラバーズのアレンジになってますね。

やっぱり意外でしたか?(笑) ジャマイカやUKのレゲエのシーンって、過去の曲だけじゃなく、今流行ってる曲をカバーすることが多いんですね。それを日本でやったら面白いんじゃないかと思ったんです。すごくいい歌だし、これはレゲエにマッチする、ラバーズになるって確信があったんですよね。もともとの歌がとてもいいので、ストレートに歌いましたね。

すごくハマってますね。あとは、ユニコーンのトリビュート盤に収められた「珍しく寝覚めの良い木曜日」、フィーチャリングで参加したMIGHTY CROWNの「ひとりじゃない」と、MIGHTY JAM ROCKの「ONE BLOOD」が収録されているという。

新曲とカバー、あと去年一昨年にやったものが一枚に入ってるので、いろいろ楽しんでもらえたらいいなと思ってますね。

ここから、活発に活動するPUSHIMさんが見れそうですね。

今、アルバムを作ってるんです。実は、妊娠する前から作ってたんですよ。そういう意味では、独り身の時と妊娠出産の流れを経験した中で作った作品になるので、今までとはまた違った、面白いものができるかなと思ってます。

次のアルバムは、ひとつの分岐点になりそうですね。

そういう作品になると思います。待っててほしいですね。あと、義援金を募るチャリティーではないんですけど、震災後にみなさんを応援したいって気持ちから、縁のある人、尊敬する人と一緒に私の曲『A Song Dedicated』を歌ってもらったんです。

PUSHIMさんの呼びかけで、音楽で気持ちを応援する曲を歌ったのですか?

ハイ。ラジオで流れたり、動画サイトで聴いてもらえるようになってるんです。歌詞は、被災地や戦争などとは離れた場所から何ができるんだろう?って内容なんです。その思いを15人のアーティストと一緒に歌ったんです。ほんと、聴いてもらって、心が温まったり、ほっとしてもらえたらなって思いますね。参加してくれた方も、みんな心をひとつにして歌ってくれたので。

いろいろな方の心の支えになってくれたらいいですね。では、最後に改めて、『MESSENGER』を聴いてくれる人へのメッセージをお願いします。

音楽って生活の中で温度をもたらしてくれるものだと思うんです。この曲を聴いて、生きてく中、生活してく中で、温かい気持ちになってくれればいいなと思うし、希望の光が見えたらいいなと思います。私のできることって、ほんと歌うことだけなんですよね。悲しい出来事にあって、心で音楽を聴きたいと思ってる人たちも多いと思うんです。そういう人たちの安らぎのひとつになったらいいなと思ってます。
『MESSENGER』
    • 『MESSENGER』
    • KSCL-1778
    • 2011.06.08
    • 1850円
PUSHIM プロフィール

プシン:2000年3月に1stアルバム『Say Greetings!』(Greetingsはジャマイカで“初めまして”の意味)をリリース。朝本浩文とのコラボレーションや雑多なジャンルを飲み込んだスケールの大きい世界を展開し、サウンドの隅々から主張をみなぎらせている。ダンスホールやヒップホップ、R&Bまで歌いこなす器のデカさは、いわゆるディーヴァ系の括りには収まりきらない。デビュー15周年を経た16年1月、自身が新たに設立したレーベル“groovillage”より、アルバム『F』をリリース。PUSHIM オフィシャルHP

OKMusic編集部

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