【UNICORN】より明確にそれぞれの芸
風が出てきた
再結成後、2枚目のアルバムとなる『Z』が完成! メンバーの個性とバンドの一体感が絶妙のバランスで混ざり合った本作。そして2年振りの全国ツアーについてメンバー5人にたっぷり(ゆるゆると)語ってもらった。
取材:森 朋之
絶対に他ではあり得ない、濃密で自由なバンドサウンドが詰まったアルバムだと思います! まず“Z”(ゼーット)というタイトルについて教えてもらえますか?
奥田
“なんとか~ゼット!”って言えば盛り上がるし。
戦隊モノみたいな感じで。
川西
『服部』(’89年リリースの3rdアルバム)みたいなもんかな?
阿部
ホントにね、若い時の映像とかやめてほしい。カッコ付けちゃって、最悪だよね。殴ってやりたいもん。
奥田
(笑)。偉そうなこと言って、周りにもやらせてたんだもんねえ。
『服部』の頃のユニコーンも最高ですけど、2011年のユニコーンはさらに素晴らしいと思います。阿部さんが作詞・作曲した「Z LIFE」にも“愛する時は今 美しいのは今”っていうフレーズもあるし。
奥田
阿部Bの曲は前向きっていうか、まじめな歌詞が多いかもね、今回。だから、ちょうどバランスがいいんじゃないかな、と。
「手島いさむ物語」もすごいですよね。本格的なハードロックなのに歌詞が“荒れた心には 散歩がええんじゃ”っていう…。
手島
こういうのが芸風になってきてますね。5人でスタジオに入ると、まずこの曲をやるんですよ。
奥田
テッシーはね、自分に何を求められているかイマイチ分かってないんですよ。さわやかな曲とか作ってきたりするから、“それは違うんだ”ってことを分かってもらうために、この曲から始めるんです(笑)。
では、EBIさんが作った「AGONY」はしっかりとメンバーから求められていることを分かった上で…。
EBI
ええ、そうですね(笑)。民生くんには“変な曲だな”ってしみじみ言われましたけど。
ブルースっぽくもあり、ラウンジっぽくもあり、サイケ感もあり。確かにユニークですよねえ。
奥田
“変わってる”っていうのは“いい”ってことですからね。まぁ、でも、より明確にそれぞれの芸風が出てきたのかもしれないですよね。棲み分けっていうか。
民生さんの「頼みたいぜ」はすごくシンプルなロックンロールですね。
奥田
僕は曲作りのスタートが遅れちゃったから、みんなの曲を聴いてから書き始めたんですよ。個人的には“シンプルなのがいいな”って思ってましたけどね。あと、みんなでワーッと歌える感じとか。
なるほど。じゃあ、EBIさんと川西さんがラップをやってる「さらばビッチ」は…。
奥田
求められてたんじゃないですか? 世間から求められてるかどうかは置いといて。あと、これは(作曲者の)阿部Bの優しさですよね。
阿部
ははははは! やらせとくか、っていう(笑)。予想通り、張り切ってやってくれましたけどね。
EBI
川西さんがグイグイ引っ張ってくれて(笑)。ずっと歌詞書いてたよね?
川西
最初から“さらばビッチ”っていうタイトルだったんですよ。阿部Bに“これ使って”って言われたから、そのまま使いました(笑)。
個人的には阿部さんの作曲、民生さんが歌詞を書いた「ライジングボール」がめちゃくちゃグッときまして。“想像の上をいく”“強い強いボール”っていう歌詞が、まさに今のユニコーンだな、と。
奥田
それもね、阿部Bのデモに入ってたんですよ、“ライジングボール”って。
手島
でも、これはいい曲だよ。“ライジングボール”もそうだけど、阿部Bの大作がいくつかあるでしょ。感動するよね。ぜひ売れてほしいです!
(笑)。すごく濃密ですよね、ホントに。
奥田
段取りいいなあ(笑)。でも、テッシーはよく喋るようになったよね。前はそんなに喋らなかったのに。
前回のツアーは再結成直後だったし、“まさかユニコーンのライヴが観れるなんて!”という驚きもあったと思うんですが。
奥田
うん、そうですよね。じゃあ、今回は…“観るんじゃなかった”っていう感じを出していこうかな(笑)。
手島
いやいや(笑)、面白いと思いますよ。濃密な6月、7月になると思います!
・・・
『Z』2011年05月25日発売Ki/oon Records
- 【初回生産限定盤(DVD付)】
- KSCL-1796〜7 3570円
- 【Blu-spec CD】
- KSCL-20011 3200円
- 【アナログ盤】
- KSJL-6159〜60 3500円
奥田民生(vo&g)を筆頭に、阿部義晴(key)、手島いさむ(g)、EBI(b)、川西幸一(dr)と現在も第一線で活躍中の名うてのミュージシャンを輩出したことでも知られるロック・バンド。85年、広島にて結成しその2年後、アルバム『ブーム』にてデビューを飾る。89年の大ヒット曲「大迷惑」を収録した3rdアルバム『服部』より、徐々にその音楽的才能/造詣の深さが顕在化し『ケダモノの嵐』『ヒゲとボイン』にて、さらにその屈強なるアーティスト性に拍車がかかっていく。奥田のフェイヴァリットである後期ビートルズを意識したサウンド・プロダクツ、シリアスな中にも遊び心を忘れない詞世界、鬼才トッド・ラングレンを思わせる珠玉のメロディ・ライン……。こうして当代随一のポップ・ミュージック集団へと華麗なる変貌をとげていったのだ。しかし、続く『スプリング・マン』制作途中に川西が脱退。アルバム完成後1993年9月に解散を発表。解散から15年後の2009年元旦に奥田、阿部、手島、堀内、川西の5人がオフィシャルサイトで新年の挨拶ムービーで再結成を発表。アルバム『シャンブル』のリリースと全国ツアーを行うことを明らかにした。UNICORN オフィシャルHP(アーティスト)
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