L→R 喜多建介(Gu&Vo)、山田貴洋(Ba&Vo)、後藤正文(Vo&Gu)、伊地知 潔(Dr)

L→R 喜多建介(Gu&Vo)、山田貴洋(Ba&Vo)、後藤正文(Vo&Gu)、伊地知 潔(Dr)

【ASIAN KUNG-FU GENERATION】アジカ
ンの“フラッシュバック00年代”

映画『ソラニン』のメインテーマであり、“原作者=浅野いにお作詞”“宮﨑あおいが劇中で歌う”という異色コラボが実現したストレートな名曲「ソラニン」。アジカンにとって初体験尽くしの今作を4人全員で語る!
取材:高橋智樹

『ソラニン』の原作漫画を読んだのはいつ頃?

後藤
連載の時にちょこっとだけ読みましたね、『ヤングサンデー』で。“あ、面白そうだな”と思って。でも、別に漫画雑誌を定期的に読んだりしないので、後から単行本を…『素晴らしい世界』(同じく浅野いにお原作の漫画)か何かと一緒に買ったっていう感じですかね、映画の話とは別に。“ひとりの面白い漫画家がいる”みたいな感じで読み始めたと思うんですけど。

でも、『ソラニン』には忘れられない何かがあったと。

後藤
面白いなあと思いましたね。“この感じはなんか似てるな、俺らの青春時代に”って(笑)。大袈裟な事件は起きなかったけど、漠然とした未来に対する不安があって、ぬめーっと続いてく感じ。懐かしい感じもするっていうか、“この気持ち分かるなあ”って。そういうのが強かったですね。
伊地知
バイトしながら音楽やってたりするのも、まさに自分たちもそうだったし。たぶん今、バンドやりつつ仕事して、ああいうふうにやってる人って相当いると思うんですよね。

そんな「ソラニン」の作曲に当たって考えたことは?

後藤
まあ、あんまり邪魔にならないように、映画の(笑)。でも、“自分たち以外が歌う”っていうのが一番難しいところでしたよね。歌詞が先にあるのも初めてだったし。本当の意味での書き下ろしって、たぶん初めてだと思うんですよね。『鉄コン筋クリート』にしても、好き放題やって作った曲を使ってくれる…っていう話だったから(笑)。その分、今回は新鮮っていうか、いい経験だったなと思いますね。

カップリングは「ムスタング(mix for 芽衣子)」。「ムスタング」自体、『ソラニン』の影響を強く受けてる曲ですよね。

後藤
影響ありますね。これを使ってもらえるのはうれしかったし、新しく音を足したりとかするのも楽しかったし。もう1回聴いてもらえるチャンスをもらえたのはうれしかったですね。

今回の映画『ソラニン』では、バンドのフロントマンだった主人公の種田の死によって、残された登場人物たちがバンドとして結束して覚醒する…という局面があるわけですが。仕事しながらバンドを続け、ついにはデビューを果たし…という中で、アジカンがバンドとして覚醒したタイミングってどこだと思います?

後藤
建ちゃんが仕事辞めた時なんじゃないのかな。
山田
建ちゃんが覚醒した時?
後藤
建ちゃん、まだ覚醒してないけど(笑)。
伊地知
今も?
後藤
覚醒待ちっていうね。
喜多
…じゃあ、“まだ”っていうことで(笑)。
後藤
まだ(『ドラゴンボール』の)フリーザで言うところの第2形態ぐらい(笑)。でも、バンドに対して建ちゃんが消極的な時期とかあったから、その後“仕事辞めてやる”ってなった時は、結構みんなの気持ちが集まってきてた気がするしね。
山田
メジャーに来て最初のプリプロで怒られた時とか?
後藤
あったね。“練習しに来てんじゃねえぞ”って(笑)。あの時はまだ覚醒前ってことか。いつなの、じゃあ? “覚醒してない説”が今、有力視されてきたね(笑)。これを読んでる人も、そろそろ“もしかして…!”と思い始めてる頃だと思うよ。

いやいやいや!(笑)

後藤
なんか世代のせいなのか、そういう“覚醒する”とか“しない”とか、分かんないっていう感じなんだよね。地続きでいくもんだと思っちゃってるから。劇的に何かものすごい変化が起きるとかっていうのは難しいですよね。筋トレみたいなもんだから。1日やったぐらいじゃ筋肉付かねえよっていう。でも、そういう煮え切らん感じもまた、『ソラニン』と似てんのかもしれないし…だいたい、ドラマティックなことなんてないでしょ? アジカンを続けてく上で。誰かが建ちゃんを殴ったとか、そういうのないからね。せいぜい“ゴッチが練習途中で帰った”ぐらいでしょ? “ちっちゃ!”って感じだもんね。殴り合いにもなんないっていうかさ(笑)。

でも、今こうやって『ソラニン』とアジカンが組んでるっていうのは運命的な感じがしますけどね。他のバンドには、ここまで『ソラニン』の世界は描けなかったと思うし。

後藤
語弊があるかもしれないけど、00年代っぽい漫画だと思うし。俺たちも00年代っぽいバンドだから。でも、“この感じ”はもう終わっていくんだよね、きっと。2010年からは、もうちょっとアツい感じになっていくんだろうね。だからこそ今、映画にするのかもしれないしね。ちょっと前の話を観る、みたいな感じなのかなあって気がするんですけどね。

それこそ00年代の間だと、曲として対象化できない?

後藤
笑えないっていうね(笑)。切なすぎちゃう、みたいな。でも、この感じはもう客観視していい気がするんだけどね。去年「新世紀のラブソング」を出した時に、すでに“これが新しい10年に対するひとつのメッセージだ”と思ってるから。「ソラニン」はサウンドに関しても、下書きしないで描いてる感じっていうか。今までやってきたものを踏まえつつフリーハンドみたいな。だから、今のモードと結び付けて話すのは一番難しい曲だと思う。でも、どっかで何か関わりがあるんだろうなっていう気はするんだけど…今は忙しくて考えてる暇がないから、今後明らかになってくるのかなっていう(笑)。

それだけ今は、次のアルバムに意識が向かってると。

後藤
そうそう。それができてみて、ツアーをやってみないと分からないっていう。だから、本当は「ソラニン」出して、「新世紀のラブソング」出したほうが、流れとしては順当なんだろうね。ちょっと“フラッシュバック00年代”みたいなのはあると思うけど、俺たちの気持ちは「新世紀のラブソング」で2010年代に突入してるから…もう、いろんな壁がもっとぶっ壊れてく時代になってほしいなっていう。音楽はとにかく、全体的に対流してくれたらいいなと思ってる。オーバーグラウンドとアンダーグラウンドもそうだし、ジャンルもそうだし。いろんな音楽が混ざっちゃって、そこからものすごいエネルギーがボコッと出てくるのも面白いと思うし、夢のあるものが出てくるかもしれないし。そういう10年になってほしいと思いますね。
「ソラニン」
    • 「ソラニン」
    • KSCL 1575
    • 2010.03.31
    • 1020円
ASIAN KUNG-FU GENERATION プロフィール

アジアン・カンフー・ジェネレーション:1996年、大学のサークルにて結成。02年にUNDER FLOWER RECORDSより発表したミニアルバム『崩壊アンプリファー』で注目を集める。そして、03年に同作をキューンレコードから異例の再リリース。その後も音源のリリース、ツアー、主催イベント『NANO-MUGEN FES.』と精力的に活動を展開。エモーショナルでポップ、詩情的かつメロディックなギターサウンドで多くのロックファンから高い支持を受けている。ASIAN KUNG-FU GENERATION オフィシャルHP

OKMusic編集部

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