取材:高橋美穂

夢も自由も向こうからは来てくれない

まず、10周年を振り返ってみてどうですか?

長かったようで短かった…っていうのはご挨拶程度で(笑)。でも、この10年は自分の音楽生活の中で一番ちゃんとしてるなと(笑)。ソロの前はワイワイしながらやってたら、知らない間にあぁいう環境になってたし。また、2000年代になって音楽状況も変わってきたじゃないですか。今までは会場が用意されてパーティーやってきて、それはそれで楽しかったけど、それだけじゃなくて、自分たちでパーティー会場を組んだり、後片付けができるようになってきたのが、ここ最近だと思うんですね。そういうのも含めて音楽なのかなって。人任せじゃなくなって、初めて文句も言えると思うし、こういうことを俺たちは当たり前にやってたけど、裏ではこんな大変だったんだとか気付けるし。

やってないことに挑戦してきた10年だったんですね。

要はそこなんですよ。だから、一番ちゃんと音楽をしてる感じがするんだと思う。

ソロという形態に関しても、この界隈では10年前は新鮮でしたけど、冒険っていう意識はありましたか?

いや、僕は逆にラッキーと思ってましたけどね(笑)。確かにバンドを見てて、羨ましいと思ったりしますよ。チームワーク良くて。でも、SUPER STUPID(以下SS)が活動停止っていう時に、何もしないわけにもいかないから、最初はできるタイミングでソロをやろうって思ったんですけど、今は逆に感謝してるところがありますよ、活動停止に。

でも、ソロとバンドでは楽曲の作り方そのものも全然違うわけじゃないですか。

そうですね。バンドの良さもあると思うんです。曲に自分にはない息をメンバーが吹きかけてくれたり。でも、それは吉と出る時もあるけど、凶と出る時もあるじゃないですか。そこから、“ここは引けない”とかの駆け引きもあるし。ソロになるとそれがなくて寂しいところもあるんですけど、やり易いところもあるし。誰かのせいにしなくて済むっていうか。だから、よく“一人でやってて大変ですね”って言われるけど、全然大変じゃないです。逆に好きだもん(笑)

そういったご自分の楽曲への自信は、ベスト盤を聴いてても伝わってきますね。1stの楽曲も今も新鮮ですもん。

いいこと言うねぇ~!(笑)

(笑)。ずっとライヴでもやってらっしゃいますしね。

SSの時からそうなんですけど、その当時は評価されないかもしれない…変な言い方かもしれないけど、逆にそれぐらいがちょうどいいんじゃないかって気持ちで1stアルバムを作ったりしてたし。だから、今でも音が老けないというか。自分でもマスタリングして10年前の曲を聴いた時に、全然フレッシュだったんですよ。ライヴでずっとやり続けてたのもあると思うんですけど。ライヴって、最新アルバムが中心になる場合が多いじゃないですか。僕、結構バランスよく網羅してるので。お客さんの立場になっても、鉄板やんなきゃダメでしょって思いますからね。例えば、曲調を変えると、“あのアーティスト変わっちゃったね”って言われたりするじゃないですか。でも、僕がいろいろやっても、最初から手を出しすぎてるので(笑)、そう言われないんですよね。それもラッキーっていうか。

ちなみにBEAT BREAKERのライヴでSSの楽曲をやるようになったのはなぜでしょうか?

なかなか難しいじゃないですか、前のバンドの曲をやるのって。僕もずーっと封印してたんですよ。でも、06年にDVDを出した時にやったライヴで、ケニー(KEN YOKOYAMA)が参加してくれて、ケニーに“(SSの曲)やんないの?”って言われて、俺はやらないって言ったんですけど、一度だけスタジオで合わせてみたんです。それでも本番ではやるつもりはなかったんだけど、ケニーに本番中にやろうって言われて、じゃあやりましょうって(笑)。で、いい意味で封印が解けたというか。自分のメインの曲が、(SSの曲に)押されたら嫌だったんですけど、今の自分の曲に封じ込められるくらいの力があればいいと思って。よく考えたら自分で作った曲だし、軽い気持ちでできるようになりましたね。

すごくいい状況で10周年イヤーを迎えたんですね。

そうですね。始めた時は、まさかこんなにいっぱいCDを出すとは思わなかったなって。でも変な話、1stの頃からベスト盤はこの時期に出したかったですね。クサい言い方かもしれないですけど、夢だったのかもしれない。

夢を叶えたとはいえ、決して急にワープしたわけではなく、そこには10年間の活動が詰まってますもんね。

イエス!(笑) 良かった俺が言わなくて済んだ(笑)

(笑)。シングルの新曲2曲も素晴らしいですね。

ありがとうございます(笑)。10年やってきた中で、ありそうでなかった曲かなっていう。すごく裸になれたというか。

「BETTER」の歌詞で書かれた“自由”という言葉からは、10年やってきた重みを感じることもできるなあって。

やっぱ人によって自由の捉え方って全然違うじゃないですか。楽しいことが自由なのかなって思うかもしれないけど、辛いことをクリアしての自由もあると思うし。“楽”と“楽しい”は違うからね。みんなメリットばっか先行しちゃうのかもしれないけど、求めるだけじゃダメだと思うし。夢も自由も向こうからは来てくれないからね。
LOW IQ 01 プロフィール

ロウアイキュー・イチ:10代の頃から数々のバンドでベースやヴォーカルなどを担当。20歳でアポロスにSAX 奏者で参加。その後、曾田茂 一(EL-MALO、FOE)とアクロバットバンチを結成。94年にはHi-STANDARDと並ぶ『AIR JAM』世代を牽引したバンド、SUPER STUPIDを結成。99 年にソロ活動を開始し、07年にメジャーデビュー。ソロ活動20周年に向けて、17年に約3年振りとなる7枚目のフルアルバム『Stories Noticed』を発表。LOW IQ 01 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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