取材:宮本英夫

音だけ良くても駄目だし、ライヴだけ良
くても駄目

LOW IQ 01という男をひと言で言うならば、90年代以降の日本のパンク、ミクスチャー、オルタナティヴシーンの生き字引である。10代から数々のバンドでベースやヴォーカルなどを担当し、20歳でサックスプレイヤーとしてアポロスに参加し、その後はアイゴンこと曾田茂一とACROBAT BANCHを結成。さらに94年にはギタリストのジャッキーらとSUPER STUPIDを結成し、Hi-STANDARD、COKEHEAD HIPSTERS、RUDE BONESらとともに、後に訪れるメロコア/パンクムーヴメントの土台を築く。Hi-STANDARDが主催した伝説の野外イベント『AIR JAM』で常に重要な位置を占めていたことからも分かる通り、音楽がパンクというより“姿勢がパンク”とも言うべき音楽的独創性と、ファッショナブルで軽妙なキャラクターによってミュージシャン仲間からの信頼も非常に厚い。カリスマ性あふれる男である。
99年のソロデビュー以降は特にその個性が縦横無尽に発揮され、これまでに『MASTER LOW』『MASTER LOW 2』『MASTER LOW 3』『MASTER LOW FOR…』の4枚のオリジナルアルバムをリリースし、全てが高い評価を受けてロングセールスを記録している。特に07年にcutting edgeに移籍後は活動がより活発化し、最近では三つの形態のバンドを使い分けながらライヴ活動を重ね、20年近くに及ぶ長いキャリアの中でも最も脂の乗った時期を過ごしていると言えるだろう。そんな彼の最新ライヴDVDが『LOW IQ 01 SUPER DOUBLE SHOWS at EXCITING PLACES』だ。ふたつのバンド形態で行なったライヴの模様を丸ごと収録した本作について、LOW IQ 01は“ベストライヴだと思います”と自信たっぷりに語る。

初のライヴDVDは、どんな作品になったと思いますか?

その時の一番いい状態を収められました。ちょうどアルバムを出した後だったし、選曲もベストだし、ベストライヴだと思います。だから、DVDを出そうと思ったんですよね。

まったく違う形態のバンドによるライヴ映像が2本入っているという、ちょっと変わった構成ですね。

LOW IQ&MASTER LOWは大人数でやりますけど、LOW IQ&THE BEAT BREAKERはツネ(恒岡 章/CUBISMO GRAFICO、Hi-STANDARD)とふたりだけ。ギターとドラムだけで自分の曲をどこまで変えられるかなと思ってやり始めて、どんどん進歩していったのが今の形なんですよ。最初は思い付きみたいな感じだったけど、やっていくうちにどんどん形になっていって、ワンマンまでできるようになっちゃった(笑)。MASTER LOWは大人数だから、観る人も新鮮だったんじゃないですかね。そもそもMASTER LOWを始めた時もそうだったんですよ。それまで3ピースのSUPER STUPIDをやっていたのが、“うわ、こう来る?”みたいな。その感覚がまたこの年になって味わえたのがうれしくて。そうなると可能性はいっぱいあるなと思った時に、もうひとつできたのがLOW IQ&THE RHYTHM MAKERSで。これはMASTER LOWとTHE BEAT BREAKERの間というか、もしかしたら一番スタンダードなバンドに近いのかもしれない。結局、僕のやりたかったことが全部できてるんですよね。

さかのぼると、10年前にソロの1stアルバム『MASTER LOW』を出した時には、ライヴはまったく考えていなかったというのは本当ですか?

そうなんです。SUPER STUPIDが活動停止したので、そのまま止まってるのもシャクだなと思って、自分の思い出アルバムぐらいな感じで、今まで聴いてきた好きな音楽をそのまま出せればいいなと思って作ったのが1枚目。そしたら、自分で言うのも変ですけど結構評判が良く、ライヴもやってみないかと言われて急遽MASTER LOWという編成を組んだんですけど…気が付いたら10年経ってましたね(笑) 。

今回のライヴDVD、特に大編成のMASTER LOWの方は、視覚的にもすごく楽しいです。例えば、全員が和服姿で演奏するところとか。ああいうアイディアも自分で考えるのですか?

要するにセルフプロデュースが好きなんですよ。ミュージシャンである以上、そこまでしたいなと思うし。いい曲を作ることだけでも立派なことですけど、音だけ良くても駄目だし、ライヴだけ良くても駄目だし、全部の点と線がつながらないと満足しないので。だから、ライヴが決まる前から妄想してるというか、常に半年後のことを考えてますね。10代や20代の頃は“まいっか、明日考えれば”みたいな感じだったんですけど、だんだん自分にそういうところがあるのが分かってきたんですよ。しつこいぐらいに考えたりするクセが。それがあるから続いているのかもしれないです。

音楽的には、ちょっとやそっとの知識やテクニックでは真似できない、高度なミクスチャーだと思います。それでいて、あくまでキャッチーでノリやすいのがすごいなと。

自分ではシンプルなつもりでいたんですけど、たまにほかのミュージシャンとセッションすると、“意外と難しいんだ!?”と思うことが多いです(笑)。スタンダードからはみ出しつつ、スタンダードなこともできるというのが理想ですね。すごい抽象的な絵を描いてる画家が、実は何を描かせてもうまいとか。できるけどあえてそこをやらないみたいな、そういう感じのクセモノ感が好きなんです。

今年はソロ活動10周年にあたりますが、どんな活動を予定してますか。

今年はライヴもバリバリやっていきたいし、人様の前に立ちたい気持ちが強いんですよ。自信があるから言えるんでしょうけど、“もっと知ってもらいたい、もっと観てもらいたい”という気持ちがあって、そのためにはこっちがやらないと駄目ですからね。そういう感じでやっていければ、いい意味でギブ・アンド・テイクになれればいいなと思います。
LOW IQ 01 プロフィール

ロウアイキュー・イチ:10代の頃から数々のバンドでベースやヴォーカルなどを担当。20歳でアポロスにSAX 奏者で参加。その後、曾田茂 一(EL-MALO、FOE)とアクロバットバンチを結成。94年にはHi-STANDARDと並ぶ『AIR JAM』世代を牽引したバンド、SUPER STUPIDを結成。99 年にソロ活動を開始し、07年にメジャーデビュー。ソロ活動20周年に向けて、17年に約3年振りとなる7枚目のフルアルバム『Stories Noticed』を発表。LOW IQ 01 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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