【スネオヘアー】このアルバムは、1
曲1曲が短編小説みたいな感じです

1年9カ月振りの6thアルバム到着! 歌詞に意味深なドラマを盛り込んだ新機軸の先行シングル「共犯者」を始め、サウンドも過去最高にバラエティ豊かでフレッシュな逸品だ。
取材:宮本英夫

久しぶりのアルバム、楽しませていただきました。以前よりもギターが前面に出た、タイトでシンプルなロックバンドの曲が多い、というのが第一印象です。

僕にとってギターが一番身近な楽器だということと、細かいアレンジを実際にプレイしながらドラム、ベースと三人で合宿で作っていったので、そんなふうに聴こえるのかなという気はしますね。

その合宿はいつ頃のことですか?

去年の9月です。家で作ってあった細かい曲の素材を全部持っていって、アレンジしていきました。そこから、このアルバムはスタートしていると思います。

「歪んだ二人」はスネオヘアー史上最もハードなギターロックチューンで、いい意味で驚きました。

頭の中で架空のステージを想定して…というのが、ひとりの作業の中でのライヴ感なんですけど、それだけだと音が平面的になるんですね。でも、今回はもっとグルーヴを感じながら作業を進めたいと思って、実際に音を出しながら進んでいったので、具体的に見えてきたんです。タイトなリズムにハードなギターが良いね、みたいな。そのへんの感じが出たんだと思います。

とはいえ、ここ数作のモードでもあったキーボードを入れたグルーヴィーな楽曲もあるし、1stに戻ったようなアコースティックギターと効果音だけのような曲もある。デビュー以来の音楽的サイクルが一周したような印象があります。

これまでを踏まえて今回はこうです、というアルバムではないです。これはこれ、というか…1曲1曲、いいメロディーをやりたいというところを楽しみながらやっているというスタンスはずっと変わらないです。ただ、バンドのグルーヴも聴きたいし、ひとりで演奏したようなものもやりたいし、欲が深いんです(笑)。特にデビュー当時はそういう気持ちがすごく強くて、今もやっぱりそういう気持ちでやっているので、どこかで1stに通じるところはあるかもしれないです。

サウンド的には、これまでの集大成プラス新しい試みがあって、非常にバラエティ豊かだと思います。そしてもうひとつ、今回の注目は歌詞だと思うんですよ。ひょっとして全曲、ラブソングを意識して書いたんじゃないですか?

あ、そんな感じします? それ、友達にも言われたんです(笑)。でも、そういうテーマみたいなものは特になかったんですよ。やっぱり…自分の中にそれしかないんじゃないですかね?(笑)

特に先行シングルにもなった「共犯者」はすごいです。ドラマチックなストーリーで、深い事情がありそうな男女が追っ手から逃れてゆく逃亡劇で、演歌でいう道行きもののような、今までのスネオヘアーにはない和風の世界観を強く感じました。

もうまさに、今言ってもらった感じです。そういうものをやりたい、という意識の基にやってますね。曲のアレンジをしているうちに、なんとなく“和”のイメージが浮かんできたんですよ。70年代の刑事ものみたいな(笑)

ああ、なるほど(笑)。そっちの匂いもありますね。犯罪に巻き込まれたふたり的な。

アレンジの決まった曲を何回も聴くうちに、これは犯罪とか、手を出してはいけないところに手を出して、同じように汚れてしまったふたりの話だ、というイメージがどんどん沸いてきて。おこがましいですけど、阿久 悠さんみたいな感じで(笑)。これを書いた時、“俺、作詞家としてもうちょっとイケるな”と思いましたね(笑)。このアルバムは1曲1曲が短編小説みたいな感じで、『共犯者』はそれを牽引するような曲だと思います。

アルバムタイトルにもなった「バースデー」はどんな曲ですか?

地方のホテルで移動日に3時間ぐらいで書いた詞なんですよ。求めるばかりでは、きっとどこまで行っても変わらないというか…もしかしてお金持ちになったり、宝くじの一等が当たっても、それが本当に求めている幸せなのかと。今を生きていないと明日がないし、“いつかこうなりたい”ではなくて、今気持ちを切り替えれば、いろんなことが変わるんじゃないかということを、実際に実行したいというような気持ちを書いたんですね。

12月から来年2月にかけて、久しぶりの全国ツアーがありますね。最後に、抱負をひとこと。

アルバムの曲は合宿で組み立てられているので、ライヴでやってもわりとすんなりできると思います。例えば『バースデー』はもう何回かライヴでやっているんですけど、CDになったテイクよりも、力が出てきているんですよ。ライヴで歌うことで自分もどんどん曲を理解できるし、どの曲も、もっと強くなっていくと思います。
『バースデー』
    • 『バースデー』
    • ESCL-3126
    • 2008.11.12
    • 3059円
    • 「共犯者」
    • ESCL-3125
    • 2008.10.29
    • 1020円
スネオヘアー プロフィール

新潟県長岡市出身の渡辺健二による一人プロジェクト。2002年メジャーデビュー。自身の音楽活動の傍ら、YUKI、新垣結衣、坂本真綾らへの楽曲提供やサウンドプロデュース、サントラ/CM音楽の制作や映画出演などでも幅広く活躍。その独特の存在感は音楽界のみに留まらず、各界のクリエイターや俳優・タレントからも注目を集めている。役者としても、『犬と歩けば~チロリとタムラ』(2003年/篠崎誠)、『非女子図鑑』(2009/豊島圭介:エピソード「占いタマエ!」)、『つむじ風食堂の夜』(2009年/篠原哲雄)など多数出演。2015年6月、自身の作品を発表する場、新しいプライベート・レーベル「Tundra」を立ち上げ、アルバム『ツンドラ』発売(会場・通信販売限定発売中)。2016年5月には、9枚目のフルアルバム『0(ラブ)』をキングレコードよりリリース。オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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