撮影:平野タカシ

福岡のストリートでアコギをつま弾いていたYUIが日本武道館に立つ。サクセスストーリーの通過点として。ハイスピードで聖地に立つ彼女の想いは、何を魅せてくれるのだろう…。花道をギターケース片手にゆっくりと歩み、あぐらで座り込み、ロウソクに火を灯す。これまでの道程を確認するかのように思えるその姿は、“とまどい”を隠すのには十分すぎるほどに彼女の成功を優しく魅せる。派手なオープニングより、“いつも通り”で彩るのが似合っている。意表をつかれたのか、静かに息を飲み聴き入る観客の方が不思議と緊張の空気を醸し出していた。やられたけど、うれしい…という感じか。聖地とファンにあいさつを終え、華のメインステージへ。スクリーンに、くしゃくしゃ顔のYUIが幾度となく映し出される度、忘れかけた一生懸命さの熱が大人心をいましめ、同世代の心は“私だって”と揺さぶられる。「LOVE & TRUTH」ではストリングスをバックに歌い上げ、エレキギターを持ち始めて得た「Rolling star」等はバンドサウンドを際立たせる。きらびやかな照明、映像のコラボレーション、姿を見せないキャラクターとのトーク演出、さまざまな角度で喜怒哀楽を表現する中、手抜きのあり得ない全力疾走で本編を終えた。制覇した聖地に旗を立て、2度のアンコールに応え、ラストにファンおなじみ、原点回帰の「TOKYO」弾き語り。緊張が解けたのか、一瞬歌をつまらせギターの音色だけが余力を感じさせる中、”がんばれ?!“を投げかける何人ものファンの想い。キュンとした。これが、彼女の強さだと実感した。決してロックスターや華を振りまくアイドルのカリスマ性ではない、同じ歩幅のナチュラルスターなんだと。
YUI プロフィール

“天使の琴声”と呼ばれるその歌声、そしてあぐらをかいてアコースティック・ギターをかき鳴らしながら歌うその姿が特徴的な女性シンガー・ソングライター、YUI。一部では「尾崎豊の再来」とも言われるほどの才気溢れるアーティスト。アーティスティックな才能に溢れ、同世代を中心に、広い世代に絶大な支持を得ている。
福岡出身の彼女は、高校時代から博多天神の路上で弾き語りライヴ活動をしていた。後にソニーミュージックグループの“SDオーディション”に応募、05年に1stシングル「feel my soul」で見事デビューを飾る。この曲はフジテレビ系月9ドラマ『不機嫌なジーン』主題歌に抜擢され話題を呼んだ。

翌06年には映画『タイヨウのうた』に初主演し女優デビューも果たす。太陽の光を浴びることができないXPという病を抱えながらも、音楽を追求するストリート・ミュージシャンという役柄が本人とシンクロ。劇中の役名である“YUI for 雨音薫”名義でリリースした主題歌「Good-bye days」はロング・ヒットを記録した。

07年1月に発売された7thシングル「Rolling star」では軽快なロックンロール・サウンドを披露し、アコースティックのみに留まらない彼女の新たな魅力をアピールした。続く、3月にはau『LISMO』CMソングに起用された大ヒット・シングル「CHE.R.RY」を含む、2ndアルバム『CAN'T BUY MY LOVE』をリリース。バンド形態の楽曲をはじめ、前作よりロック色の強い作品となった本作で、シングル・アルバム通じ、自身初のオリコン週間アルバムチャート1位を獲得した。同年11月には、初のライヴDVD『Thank you My teens』の発売に加え、日本武道館での初ライヴも大成功させた。

そして08年8月、カップリング集に新曲を加えた4thアルバム『MY SHORT STORIES』を以って、次年の活動に向けて制作活動に専念するためのリフレッシュ休暇を取ることをYUI自身の日記で発表。その4thアルバムは、女性のカップリング・ベスト・アルバムのオリコン初登場1位記録を塗り替え、約25年ぶりの大記録を樹立した。YUI Official Website

アーティスト

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