【中村中】中村中 渋谷C.C.Lemonホー
ル 2007年11月25日

text:石田博嗣

彼女がまだアマチュアだった19歳の時に、C.C.Lemonホールと改名される前の渋谷公会堂のステージに立ったことがあるということで、その思いを込めた曲や“この場所でどうしても歌いたい”という曲も披露され、1曲1曲、まるで短編映画を観ているように、リアルな彼女の歌世界を肌で感じていた。また、それは一人芝居を観ているような感覚でもあった。もちろん、ライヴが演劇チックだったわけでも、コンセプチュアルなものだったわけでもない。当然のようにステージには生のバンドがいて、フロントマイクの前で歌うというものだったが、彼女の一挙手一投足に目が離せなかったのである。それが中村 中というアーティストの存在感であり、カリスマ性だと言える。つまり、物語の中の登場人物に成りきって演じる役者と歌詞の中の主人公に成りきって歌うシンガー、その距離感が限りなく近いのだ。ロックやポップス、ジャズなどのテイストはあるものの、古き良き時代の歌謡曲の色が強い彼女の楽曲には、憂い、哀しみ、孤独、葛藤、苦悩…といった感情が満ちており、その歌詞の主人公は彼女自身だった。そして、切々と歌い上げる声には説得力や包容力、スケール感、さらには艶、潤い、色気、深みなどが感じられ、歌詞の一節一節が生命力を持って、聴く者の胸の奥にダイレクトに訴えかけてくるのである。だからこそ、客席を埋めているのも老若男女さまざまで、性別や年齢など関係なく、多くの人の心を惹き付けて離さないのだろう。ライヴはまさに、そんな彼女の独擅場だった。

アーティスト

OKMusic編集部

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