撮影:Hajime Kamiisaka/取材:ジャガー

“上手にやるんじゃなくて、心を込めてやる!”それがYUKIのライヴでのモットーであり、姿そのものである。 レーザーの緑光が客席に向かい、一直線に広がっていく中、腰をくねらせながらYUKIが登場。音に合わせ、光に合わせ、会場中の誰よりも待ちわびていた様子で、1曲目の「メランコリニスタ」から楽しげに踊る。4月から行なわれてきたツアーも、明日を含む武道館2daysのみとあって、YUKIも観客も異様なまでにテンションの高い幕開けとなった。間髪入れずポップでキュートなナンバーを次々に繰り出し、MC第一声では、“ハロー! YUKIです。こんばん…ニャー!”と、一瞬にして観客の心を奪う。そうやって和ませた後に、「プリズム」などのミディアムバラードを丁寧に歌い上げ、大人のYUKIを演出するのだった。 舞台ソデに消え、衣装チェンジして戻った彼女は、ステージ上段にセットされていたDJブースから登場。新しいおもちゃを買ってもらった子どものように、目を輝かせながらキュキュッとスクラッチする。そしてDJ YUKIが選曲した「舞い上がれ」には、ひときわ大きな歓声が上がり、1万人がリズムに合わせて踊った。ゆきんこの形をしたテルミン、通称“ユキミン”を使った演奏や、このツアーでできることに気付いたという『うる星やつら』のテンのモノマネ、さらには巨大なスプーンを持ってきて、マジシャンのごとくスプーン曲げをしてみたりと、随所に心くすぐるエッセンスが散りばめ、たしかなエンターテインメント性を魅せつけた。 アンコールは、故郷から上京してくる時の希望に満ちた二十歳の自分を歌ったという「汽車に乗って」を披露。心地いいメロディーに乗せられた言葉は、寂しさや悲しみを経て、それよりも追い求める夢に向かう強さを感じさせる。この曲に対して、“ここ何年かは、自分じゃない人が歌っても成立するようなポップスを目指していた。だから、自分のことを歌うのを止めてみようと思った。でも、最近になって、また自分のことを歌ってみようと思って作った曲です”と、MCで語った。強烈なキャラクターに満足することなく、ストイックにグッドミュージックを生み出そうとする彼女だからこそ、こんなにも心揺さぶられるに違いない。最後に聴いた「歓びの種」は、本編が色鮮やかに楽しい雰囲気に満ちていただけに、終わりを惜しむちょっとセンチメンタルなエンドロールとなった。 しかし、ここで終わらないのが彼女らしい。ステージ中央にYUKIを先頭にメンバーが縦並び。何をするかと思えば、EXILEでお馴染みの振り付けをやりながら、“ユキザイルでした?”のひと言。そう、結局最後にはみんなを笑顔でHappyな気持ちにしてくれる。カッコ良いし、かわいいし、たくましいし、でもおバカだし…自由に何でもやってみるのが彼女の魅力であり、そんな彼女と同じ時間を共有できたことをうれしく思った。
YUKI プロフィール

JUDY AND MARY解散後も、倉持陽一(YO-KING)との結婚、Charaやちわきまゆみとのガールズ・バンドMean Machineの活動などなど、話題を振り撒いてきたYUKI。そんな彼女が、シーガル・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハーの日暮愛葉による全面プロデュース・シングル「the end of shite」で02年にソロ・デビュー。
枯れた音質の中に淫靡な艶かしさを育むガレージ・サウンドとYUKIの新境地、低音ヴォイスが絶妙に絡み合う。また、愛葉によるエロティックな女の直情を吐露した歌詞がYUKIの口から発せられる瞬間、熟した果実をほおばるごとき欲情をそそられ昇天必至。そして、同年3月、待望の1stアルバム『Prismic』を発表。愛葉だけでなく、ミト(クラムボン)、ズボンズ、スピッツ、ラッセル・シミンズ(ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン)など豪華ゲスト陣を迎え、YUKIの煌びやかなアーティスト性が一気に開花した好盤となった。
03年3月には早くも2ndアルバム『Commune』をリリース。プロデューサーの會田茂一(FOE)らしい、ざっくりとしたギター・サウンドを軸に、変化に富んだサウンドが展開され、YUKIも気持ちよさそうに歌っている。05年には3rdアルバム『joy』をリリース、より音楽を楽しむことを追求したこの作品は、チャート首位を獲得するなど大ヒットを記録している。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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