【Spitz】Spitz さいたまスーパーア
リーナ 2009年1月17日

撮影:橋本 塁/取材:土内 昇

Spitzほどのビッグネームともなれば、さいたまスーパーアリーナでライヴをやるのは特に珍しいことではない。しかし、客席との距離感だったり、大会場特有の音響等の問題から“武道館ではライヴをしない”と公言し、今までアリーナクラスでのライヴをメンバー自身が頑に避けていたとなればどうだろうか? オークション等で入手困難なチケットが高額で売買されたりする現状を重く見て、昨今の機材やシステムの発達により音響等の不安が解消されたこともあり、結成22年目にして初のアリーナコンサートが実現したのである。 当然のことながら、チケットは完売。満杯のオーディエンスが見守る広いステージには、アリーナならではの大掛かりなセットというよりも、いくつものビジョンが設置されていた。遠い席の人にもメンバーの表情が分かるようになっているわけだが、そんなところからも客席との距離を埋めるためのバンドサイドの配慮がうかがえる。そして、記念すべきライヴは、約1万8000人の大歓声を受けて「ルキンフォー」で幕を開けた。スーパーアリーナの巨大な空間であっても、バンドの音が鳴らされ、そこに観客の気持ちが乗った瞬間に、揺るぎないSpitzの世界が会場の隅々にまで広がり、やらかくて温かい空気が客席を包み込んだ。その後も「桃」や「不思議」など最新アルバム『さざなみCD』からのナンバーを中心に、「チェリー」や「ロビンソン」などのヒットナンバーや定番曲がプレイされていく。いい意味で、そこにお祭り感はなく、普段と変わりないテンションでライヴが展開されている。それこそが22年目のベテランバンドの貫禄なのだろう。MCでも草野マサムネ(Vo&Gu)がこの空間にいることについて“ほんとにいいんだろうか? 俺たち”と照れくさそうに話すシーンもあったが、それに田村明浩(Ba)が“いつも通りでいいんじゃない?”と返していた。 ここが2万人を収容する会場であろうが、3000人クラスのホールであろうが、新宿ロフトであろうが、観客を酔わせるのは瑞々しい草野のハイトーンヴォーカルと心に染み渡る豊潤なメロディーであり、青春期にフィードバックさせられる歌詞であり、タフなバンドサウンドである。1万8000人分の一体感というのはアリーナ独特の空気だと言えるが、楽曲がバンドと客席をコミュニケートしていることには変わりない。今後もアリーナライヴが行われるかどうかは分からないが、再び行なわれたとしても、そこには普段通りにライヴをしている4人がいるということだけは言えるだろう。

OKMusic編集部

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