フレンズ躍進の秘密に最新作『コン・
パーチ!』を通して迫る

結成から3年、どこまでもオープンマインドなバンド像と巧妙なポップネスを帯びたクオリティの高い楽曲をもって、急スピードで躍進している5人組・フレンズ。彼らの音楽エンターテインメント性が全面的に解放された1st Full Album『コン・パーチ!』が完成した。以下のメンバー全員インタビューは、ここに至るまでの流れとアルバムの話を軸に置きながら、フレンズ論が浮かび上がる内容になっている。
──満を持してリリースする1st Full Albumと言っていいですよね?
長島涼平:フルアルバムという位置づけをどうするか難しいところなんですけど、去年『ベビー誕生!』というアルバムを出していて。あれはフルアルバムとは言ってないんですよ。
ひろせひろせ:曲数も9曲だし(笑)。
──でも、今は7曲でもフルアルバムと言いえる時代ですからね。
おかもとえみ:そうなんだ! まだ曲ができてないなか、4月の野音のときに「フルアルバムを出します!」って言っちゃったんですよ。そこからフルアルバムを作るというモードになった感じですね。
ひろせ:9月後半からワンマンツアーを回ろうということが先に決まっていて。そうなったときにアイテムを携えてその世界観を広げるライブをしたいという思いがあって、じゃあフルアルバムを作ろうと。それで俺がみんなに「フルアルバムって何曲だと思います?」って訊いてみたんですよ。そこで10曲か12曲かなとなって。「9曲入りのアルバムを出してるから、それ以上の曲数を入れないとフルアルバムにならないよね」って。こういう会場でこういう規模感の曲をやりたいっていう思いで曲ができていった気がします。
──あらためて、この5人がそろってからここまでの3年間はどういう時間でしたか?
長島:早かったし、記憶に残ってないようなこともたくさんあるんですけど。でも、まだまだフレンズとしてやっていないことがいっぱいあるので。意識はわりとそっちに向いてますね。またここから始まりそうなことに。
フレンズ 撮影=菊池貴裕
──そもそもめちゃくちゃデカい目標を立てているしね。
長島:東京ドームですよね。ザックリ言えば東京ドームでライブをするための逆算で動いているようなところもあるんだけど、すげぇ濃い3年間だったのは確かです。最初に下北沢THREEでやったワンマンとか、曲数が少なくてみんなで──
ひろせ:大喜利大会をやったり(笑)。
長島:そう(笑)。そういうところから始まってるので。
──大喜利大会って、それ大丈夫なんですか?(笑)
長島:大丈夫ではなかったんじゃないですか(笑)。でも、そのときはそれがよかったんだと思います。そのときどきの最善の策を探って、それで終わるんじゃなくてずっと正解を探しながら動いてきたという自負があって。そういう3年間を過ごしてきたから今があるのかなって。
──言われてみれば、このアルバムを聴くと、たとえ東京ドームでライブをしても大喜利をやっていそうな気もしますけどね。
長島:5万人の前でスベるのかぁ(笑)。
──いや、5万人が集まってる時点でスベらないという説もありますけどね。
ひろせ:確かに(笑)。
長島:だから、これから先が楽しみなんですよ。常に一歩先の挑戦権を得ながら前に進んでいると思うので。今はまだ挑戦権がいっぱいある状態だと思ってるから。
──LOUIEくんはどうですか?
SEKIGUCHI LOUIE:野音のステージにしてもフレンズでは涼平くんしか立ったことがなかったので。楽しみ半分、不安半分みたいな感じもありましたけど、今はすべてのことが楽しいなと思えてますね。
──なんでここまでのスピード感でフレンズは躍進できたんだと思いますか?
SEKIGUCHI:もちろん、ひろせやえみそんさんの曲がいいというのもあると思いますけど。あとはライブが面白いというのもあるのかもしれない。あんまりそこは深く考えてないですね。自分たちが楽しんでることが中心にあるので。変な話、お客さんより楽しんでやろうと思ってるところもありますし。
フレンズ 撮影=菊池貴裕
──ひろせくんはどうですか?
ひろせ:ほんとに助けられてきたなと思ってますね。自分の中のアイデアを100%形にするために曲を書いてるつもりだったんですけど、今は自分が0から1まで作ってメンバーが100にしてくれるということを、どんどん感じられるバンドになってきた。ライブの運び方もそうだし、今回のアルバムもまさにそうなんですよ。そうすると、自分もこの3年間でどんどんメンバーのことを考えて曲を作れるようになってきて。今はそれがすごく楽しいんです。
フレンズは、まずこのバンドを新しく作るってなったときに涼平さんが最初に言った「俺たちはバンド1年生だから」って言ったワードがデカいと思っていて。たとえばステージが大小2つあったときに、結成したてのときに「デカいほうの1番手をお願いします」というオファーを受けたことがあって。俺はテンションが上がって喜んでたんですけど、涼平さんが「いきなりデカいステージに立ってもしょうがないじゃん」「デカいステージに向けて5年、10年がんばってる人たちに負けるに決まってるじゃん」って。「小さいステージに呼んでもらえるのもまずうれしいんだから、そこでちゃんと結果を出してデカいステージのトリをやれるようにがんばったほうがいいんじゃない?」って言ってもらえたのはすごくデカいですね。
あとは結成当初に誘ったもらったイベントでも、the telephonesThe Mirrazをやっていたメンバーがいることで呼んでもらえてるなと思うものもあって。そんなときにも涼平さんは「出ようよ。お客さんが10人しかいなくても、その10人を自分たちのお客さんにすればいいという気持ちでやろうよ」って言ってくれて。そういう夜もありましたね。そういうときも経て、下北沢THREEで初ワンマンをやったら即完して。
──だから、もともとみんな別のバンドをやっていたメンバーだけど、ここまで来るまでに飛び級してないということですよね。
ひろせ:そういう気持ちはありますね。俺はthe telephonesの野音を観に行ってたし、今度のツアー初日のTOKYO DOME CITY HALLは──
長島:telephonesの活動休止を発表した会場なんですよ。
──そうでしたね。
長島:だからその日は泣いちゃうかもしれない。
ひろせ:この前やったZepp DiverCityもそうだし、一つひとつハンコを押してるような気持ちなんですよ、俺は。うれしいです、ほんとに。
──三浦くんはどうでしょう?
三浦太郎:バンドに入ってすぐのころはヘルプくらいの気持ちでやってたんですけど、2016年に入ってそろそろ俺もメンバーっぽくなってきたなと自覚が出てきて。でも、2017年の頭くらいから記憶がなくて(笑)。
長島:おじいちゃん(笑)。
三浦:そこからずっと、いかにバンドで楽しく過ごせるかということを考えてきているので、目まぐるしいんですよね。フレンズの規模感が、前にやっていたHOLIDAYS OF SEVENTEENの規模感を更新し続けているので。それで感慨深くなるときはありますけどね。音楽を続けてよかったなって。
──えみそんは?
おかもと:結成当初よりもフレンズでいる自分──フレンズとしての歌い方だったり、曲ということをすごく考えるようになって。バンドにおける自分の立ち位置を意識するようになりましたね。お客さんから見えるフレンズの色というのもどんどん濃くなってきていると思うし、そことも向き合うようになりました。
──フレンズにおける歌唱のあり方が明確になったのは大きいですよね。
おかもと:まさにそうですね。ソロで歌っているときとはまた違った、フレンズだからこそ歌える歌を、この『コン・パーチ!』でも表現できたなと思うし。別の人間ではないけど、ここにいる自分が見えてきましたね。
フレンズ 撮影=菊池貴裕
──あらためて、急ピッチに曲作りを進めなきゃいけない状況で、ひろせくんはどんな全体像を描いてこのアルバムのソングライティングを進めていったんですか?
ひろせ:ライブのイメージはもちろんあって。5人の顔が浮かぶアルバムにしたいと思いましたね。フレンズというバンドをまだよく知らない人たちにもこの5人の魅力を伝えたいと考えたときに、まずメインボーカルである、えみそんが活きる曲を作りたいと思って。ライブではMCのときの涼平さんのツッコミの精度がどんどんすごいことになってきていて。
長島:そうなの?(笑)
ひろせ:そうですよ。そういう意味でもそれぞれのキャラクターが想像できるアルバムにしたいと思いました。音楽的にこだわるというのは大前提の話で。その先のエンターテインメントとして我々がやりたいことも増えてるから。このアルバムでそれを伝えられたらなと思ってます。
──後半の流れがけっこうカオスで。組曲のコントみたいな7曲目(「元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~」)とか、スタジオで爆笑しながらレコーディングしていただろうなと想像に難くないというか。で、続く「またねFOREVER」、これ、完全にBARBEE BOYSのオマージュだなと(笑)。
ひろせ:そうっすね(笑)。
──そのあと「シルエット」というえみそんの歌力が際立つバラードがきたと思えば、「fisherman」でまたふざけるという(笑)。
ひろせ:俺、けっこう「元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~」みたいな曲って、「なんだこの曲、よくわからねぇな」って聴き飛ばされることを想定していて(笑)。俺が小学生くらのときに買ったCDってふざけ倒したアルバムがけっこうあるんですよ。突然、会話が入ってくるとか。俺は小学生のときにそういう曲を飛ばしてたんです。「そんなことよりテレビで聴いたあの曲を聴かせてくれよ!」みたいな気持ちがめちゃめちゃあって。「元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~」もそういう存在だと思うんですけど、大人になって昔のアルバムを聴き返したときに「あの曲って大切なやつだったんじゃないか?」ってじっくり聴いちゃうんですよ。そういうものになればいいなと思って。「fisherman」は涼平さんが作った曲なんですけど。
長島:初の作曲。めちゃくちゃ恥ずかしくないですか? クレジットが「長島フィッシャー涼平」って(笑)。
──間違いなく恥ずかしいですね(笑)。でも、えみそんの間奏のコーラスがムダに壮大だったり、そういうちゃんとしたスキルがあったうえでの遊びが随所に盛り込まれているのが重要なわけで。フレンズの音楽エンターテインメントがどういうものなのか提示したアルバムになっていると思います。
ひろせ:そうですね。そもそもフレンズというバンド自体が音楽をストイックに追求しようぜって始まったのではなくて、一つの曲に魅力を感じてメンバーが集まったから。やっぱり常にワクワクしていたいという気持ちが強いんですよね。だから、「fisherman」というタイトルを見て、「魚の曲!?」ってなって、クレジットを見て「長島フィッシャー涼平」って確認した時点がゴールなんですよね。
フレンズ 撮影=菊池貴裕
──ただ、LOUIEくんはこれだけいろんなタイプのサウンドプロダクションのビートを叩くのは大変じゃないですか?
SEKIGUCHI:確かに以前やっていたサウンドよりは振り幅が広いですね。でも、楽しんでやっているから大変という感じではないです。もっとプレイヤーとして向上したいという気持ちはすごく持ってますけど。
──それこそ、「元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~」なんか相当カオスですよね。
SEKIGUCHI:構成だけで言ったら「ボヘミアン・ラプソディ」みたいですよね(笑)。
──間違いない(笑)。1曲目のリード曲(「常夏ヴァカンス」)もポップスの構造としてすごく複合的で。アシッドジャズとモーニング娘。の合わせ技みたいな。
SEKIGUCHI:ハウスっぽい要素もありますよね。
ひろせ:この曲はまさに共同アレンジャーがモーニング娘。をやっている方(大久保薫さん)で。今回、大久保さんにアレンジに参加してもらったのには理由があって。俺がいろんなアーティストに楽曲提供をしてみて、そのアレンジが返ってきたときに「餅は餅屋」だなって思った瞬間が何回もあったんです。
──専業のアレンジャーの力量を感じたというか。
ひろせ:そう。大久保さんと打ち合わせをして、「えみそんが作詞作曲した曲なんですけど、ちょっと聴いてもらっていいですか」って「常夏ヴァカンス」を聴いてもらって。正直、大久保さんのアレンジをバンドに落とし込んだらどうなるのかなという不安もあったんですけど、同じくらいワクワクもして。演奏チームにはレコーディング前日にアレンジしたオケを送ったので、それを覚えてもらうのはすごく大変だったと思います。でも、俺の中にあるサウンドのイメージにもっていくために俺が仕切らなきゃと思って。涼平さんのベースがやっぱりめちゃくちゃよくて、でも涼平さんなりにぶつかった壁もあったんですよね。LOUIEさんも太郎さんも大変だったと思います。
──その壁について涼平くん、教えてもらっていいですか?
長島:こういうアプローチのベースは、telephonesでもフレンズでも弾いたことがなかったので。まず、それを1回自分の中に入れてみないと自分の色は出せないと思って。その作業が大変でしたね。結果的にいいテイクがとれたと思うし、自分もすごく納得してるんですけど、このタイトなスケジュールは大変だったし、勉強になりましたね。
──えみそんはこの振り幅に富んだ12曲を歌って、フレンズというバンドのボーカリストでありポップシンガーとしての自分を更新したという自負があると思いますけど、どうですか?
ひろせ:歌録りはほとんど1日でやったもんね。
──え、ほんとに!?
ひろせ:もともと録っていた3曲(「NO BITTER LIFE」「Hello New Me!」「ベッドサイドミュージック」)以外は。
おかもと:時間をかけるのがイヤなので。自分がその場で表現できることって決まってるじゃないですか。そこで出せるものがすべてだと思うので。歌録りのためにスタジオを3日間取っていただいていたんですけど、私は1日でやりたいと思って。
フレンズ 撮影=菊池貴裕
ひろせ:確かに早い予兆はあったんです。「そろそろ休む?」とか訊くと「うん、休む」とか言うんですけど、それが5分くらいで。すぐに「じゃあ次の曲」って言うんですよ。
おかもと:他の人がどうかわからないから、どれくらい早いのかあまり自覚してないんですけど。自分なりに1曲1曲で表現を変えているんですね。「常夏ヴァカンス」なんかはもともと某男性アイドルグループに提供しようと思っていた曲だったので、みんなで歌う感じが楽しくて。自分も声を重ねたり、一人で歌ってない感じがあったんです。他の曲に比べたら(自分の声が)引っ込んでいて、それがこの曲のよさにもなってるし。「シルエット」はラブソングということを意識して、ほぼ情熱で歌っていたり。
ひろし:「シルエット」もほぼ直してないよね。
──何時間で9曲録ったんですか?
ひろせ:6時間くらいだよね?
──それは驚異的だわ。疲れない?(笑)
おかもと:疲れますけど、それよりも「終わった!」といううれしさのほうが大きいですね。
──こういうところにもえみそんの特別なポテンシャルが表れてますよね。歌詞のキャラクター性もバラバラだし。
おかもと:それは歌入れのときに入り込めばいいので。
──女優気質でもありますよね。
おかもと:女優やりたいです!
──ミュージカルとか全然いけるでしょう。
おかもと:声を大にして言いたいですね。ミュージカルやりたい!
──ツアーに向けてはどうですか? 初日が過去最大キャパですよね?
長島:そうですね。3400とか? ここまで野音やZeppをやれたことが俺らの中で自信になってるので、さらにめちゃくちゃいいライブができる自信があります。
──演出やステージ装飾もいろいろ考えられると思うし。
おかもと:そうですね。ちょうど今日から映像とかステージに何を置くかとか、演出について考えようと思ってました。セトリから決めたいですね。
長島:今年の頭にやった大阪のBIGCATとZepp DiverCityのステージには、『プチタウン』のジャケットを再現するために階段と月みたいなセットを建てたんですけど。あんな狭く感じたBIGCATのステージは初めてだったな(笑)。

取材・文=三宅正一 撮影=菊池貴裕
フレンズ 撮影=菊池貴裕

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