「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
地元を愛し、地元に愛された
いきものがかりのヒットを探る

CD、音楽配信、カラオケの3部門からヒットを読み解く『臼井孝のヒット曲探検隊』。この連載の概要については、第1回目の冒頭部分をご参照いただきたい。ただし、第5回の安室奈美恵からは2017年末までのデータを反映している。

地元を愛し、地元に愛された
神奈川県出身の3人組

いきものがかりは神奈川県出身の女性ボーカル+2人の男性が演奏するというスタイルで、1999年にバンドを結成。これは初期のドリカムや同じく初期のEvery Little Thingと同一の構成で、女性ボーカルの魅力とバンドの魅力を同時に伝えうる最少人数ながら最大限の効果を発揮すると言えるかもしれない。

その後、地元の厚木や海老名での路上LIVEやインディーズでのCD発売の実績を重ね、2006年3月15日にシングル「SAKURA」でメジャーデビュー。ちなみに、インディーズ時代から支えてきた厚木のCDショップ「TAHARA」はその後「じょいふるミュージック厚木」として、彼らをずっと応援し続けてきて、なんとインディーズ時代を含め、これまで発売された全CDが陳列されていた。残念ながら、2017年12月に閉店してしまったが、遠方からはるばる来店するファンもいるほど一つのコミュニティーを形成していたのは、やはりそれだけ彼らが地元を愛し、地元に愛された存在だったからだろう。

2016年に発売されたベスト盤『超いきものばかり』ダイジェストムービー

彼らは路上で立ち止まってもらうべく生まれた技なのか、他のバンドとは一線を画する親しみやすいメロディーや共感しやすい歌詞、何より吉岡聖恵のエモーショナルな和モノボーカル(洋楽めいたフェイクや発音を多用しない)により、幅広いリスナーからも支持を得て、2016年までNHK紅白歌合戦は既に9年連続出場を果たした。これは若手バンドとしては圧倒的な出場回数であり、彼らが国民的アーティストであるという一つの証であろう。

幅広いファンから支持されたのは
“昭和”を敬愛する音楽性

また、バンドスタイルでありながら、過激なメッセージやパンキッシュな音楽性とは一線を画しており、彼らほどNHKが似合うアーティストはいないんじゃないかと思う。実際、LIVEの観客を見ると、彼らの父母世代の方から、彼らと同世代、さらにその世代の子どもたちまで幅広く楽しんでいることに驚く。そう、デビュー5年そこそこの段階から、既にサザンオールスターズやDREAMS COME TRUE級の幅広いファン層を掴んでいたのだ。

ちなみに、彼らは1stアルバム『桜咲く街物語』(2007年3月7日発売)までの5枚のシングルのカップリングで、それぞれ「卒業写真」「木綿のハンカチーフ」「GET CRAZY!」「風に吹かれて」「春一番」といった1970年代~1980年代の名曲カバーを収録している。こうした試みも彼らの“昭和色”をアピールするきっかけとなっただろう。

多数のヒットを手がけるも
2017年1月に活動を休止、
以降は各メンバーがソロで活躍

2016年までに32枚のシングルを発表し、その多くがヒットしてきたが、2017年1月5日に“放牧宣言”と称して活動休止を発表。現在のところ解散は否定しているものの休止期間は未定だ。

現在のところ最新シングルとなっている2016年の「ラストシーン」

そして、2017年以降、各メンバーはソロ活動を開始。リーダーの水野良樹は関ジャニ∞や一青窈、山本彩、大原櫻子、坂本真綾、そして石川さゆりや和田アキ子など幅広く楽曲を提供。また、『関ジャム完全燃SHOW』ではマニアックな音楽解説やプレゼン担当として、レギュラー陣にイジられながらも愛されキャラで出演している。水野と同級生の山下穂尊は、テレビやラジオのレギュラー番組や音楽イベントへの出演、更にはエッセイ集『いつでも心は放牧中』を出版。相変わらずマイペースな所も彼らしい。

吉岡聖恵は2018年10月に
ソロアルバムのカバー集を発表

そして、リードボーカルの吉岡聖恵は2018年春より「夢で逢えたら」「糸」などのカバー曲を音楽配信限定でリリースし始め、10月24日はソロとして初のアルバムとなるカバー集『うたいろ』を発売。前述の2曲の他にも、米津玄師の「アイネクライネ」のような新しいヒット曲から南沙織の「哀しい妖精」や堺正章の「さらば恋人」といった昭和歌謡まで、自ら幅広くセレクト。ボーカリストとしてより多彩な部分を見せてくれるのかとても楽しみだ。

ここでは、メジャーデビューから2016年までの11年の間に、良質なJ-POPを求めて彼らがどのようなヒット曲を飛ばしてきたのか、そしてその中で何が上位となるのかをここで振り返ってみたい。

OKMusic編集部

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