『SOOO BAAD REVUE』は
関西ブルースシーンの
凄腕ミュージシャンたちが残した
伝説のレアグルーブ

アルバム『SOOO BAAD REVUE』

SOOO BAAD REVUEはそもそも当時の関西音楽シーンにおいて名うてのメンバーたちが集ったバンドである。そのバンドが約1年しか稼働しなかったのだから、そりゃあ伝説と言われることもよく分かる。オリジナルメンバーは山岸潤史(Gu)、石田長生(Gu)、北 京一(Vo)、砂川正和(Vo)、永本 忠(Ba)、土居正和(Dr)、国府照幸(Key)、チャールズ清水(Key)の8名。メンバーの名前を列挙しただけではピンと来ない方もいらっしゃるかもしれないけれど、山岸は前述のウエスト・ロード・ブルース・バンドのメンバーだし(脱退後にSOOO BAAD REVUEを結成)、石田と土居は1971~1972年に上田正樹とバンドを組んでいたことで知られていた人たちだ。結成時、“山岸がスーパーバンドを立ち上げた”との話が当時の好事家たちの間には瞬く間に広がったとも聞く。

スタジオ録音のオリジナル曲はわずか10曲のみだが、今も残る音源でその凄腕たちのプレイを聴くことが可能だ。“SOOO BAAD REVUEの醍醐味はライヴ!”“決定版はやはり『LIVE!』だ”とのファンの声も根強いようだが、今回アルバム『SOOO BAAD REVUE』を聴いてみて、個人的には“いやいや、スタジオ録音も大したものだ”と思った。関西文化を取り込んだ音楽であることは間違いないのだけれども、歌詞を除けばコテコテ過ぎないと言おうか、関西関西した印象をあまり受けないのである。M7「おおきにブルース」やM9「しょぼくれ あかんたれ」、M10「お母ちゃん俺もう出かけるで」辺りはタイトルからモロに関西文化を取り込んでいることが明白だし、M3「ここを過ぎて悲しみの街」での歌とギターとの絡み合いはまさにブルースのそれではあるのだが、ミキシングの具合が関係しているのだろうか。

泥臭いがゆえに存在感がある憂歌団、ブルースというよりもロック色のほうが強い印象のウエスト・ロード・ブルース・バンドとはまた別の空気感がある。簡単に言えばスタイリッシュで、お洒落さすら漂っていると思う(個人の感想です)。オープニングのインストナンバー、M1「ソウル地下鉄」からして文字通りファンキーでブルースフィーリングも十分なのだが、軽快でポップ。M2「最後の本音」も同様で、この時まだ19歳だったという砂川の瑞々しいヴォーカルと相俟って、ソウルはソウルではあるものの、ソウル特有の暑苦しさのようなものが薄まっている気がする。そこがいいところであろう。

その点での白眉は、メロウで、どこかロマンチックな雰囲気を残すM5「真夜中の歌姫」ではなかろうか。間奏のコーラスワークはまさしくソウルミュージックを感じさせるものではありつつ、オキナワンな要素やレゲエっぽい要素もあって、多国籍でも無国籍でもある不思議なナンバー。本作のレコーディングにおいては、レコード会社からカバー曲ではなく日本語であることと、オリジナルであることというお達しがあったそうだが、「真夜中の歌姫」はその条件をクリアした上でSOOO BAAD REVUEならではのオリジナリティーを乗っけている印象だ。

歌は随分と生真面目な感じだなと思って聴いていたら、どうやらこの楽曲のコンポーザーである石田長生が自ら歌っているそうで、これも「真夜中の歌姫」のアクセントとして成立していると思う。レゲエつながりで言えば、山岸潤史が作編曲を手掛けたM9「しょぼくれ あかんたれ」もレゲエで、こちらは“~くれ”や“~たれ”といった発音をラテンっぽさに重ねているのが何とも面白い。名うてのミュージシャンならではの遊び心を感じさせるところである。

あと、M6「透明人間」でのキラキラとしたサウンドメイクや、歌だけ聴いたら完全にコテコテなM10「お母ちゃん俺もう出かけるで」でのキーボードの音が少しテクノポップ風な感じなど(テクノポップが日本で流行ったのは1970年代後半なので直接関係はないだろが…)、聴きどころは多い。伝説、幻と形容して歴史に隙間に埋もれさせるのは惜しい、1970年代大阪のレアグルーブである。

TEXT:帆苅智之

アルバム『SOOO BAAD REVUE』1976年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.ソウル地下鉄
    • 2.最後の本音
    • 3.ここを過ぎて悲しみの街
    • 4.銀太郎
    • 5.真夜中の歌姫
    • 6.透明人間
    • 7.おおきにブルース
    • 8.青洟小僧
    • 9.しょぼくれ あかんたれ
    • 10.お母ちゃん俺もう出かけるで
『SOOO BAAD REVUE』(’76)/SOOO BAAD REVUE

OKMusic編集部

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