多くのスーパーギタリストに愛された
超弩級ギタリスト、
ロイ・ブキャナンの代表作
『ライヴ・ストック』

テレビドキュメンタリーが転機で
メジャーデビュー

ロイは1971年、テレビのドキュメンタリー『The Best Unknown Guitarist in the World』で紹介されたことがきっかけで、ポリドールレコードと契約、72年に『ロイ・ブキャナン』でメジャーデビューを果たす。この作品では彼のカントリー奏法(ペダルスティール・リック)を中心に、代表曲の「メシアが再び」も収録されており、多くのギタープレーヤーを驚かせた。2作目の『セカンド・アルバム』(‘73)ではR&Bやブルースナンバーを中心した選曲がなされているが、基本はやはりペダルスティール・リックにある。演奏の完成度が高いのはアルバムラストのカントリー「She Once Lived Here」かもしれない。

続く3作目『That’s What I Am Here For』(‘74)と4作目『In The Beginning』(’74)では、R&Bやロックを中心に、ヴォーカルの比重が増えホーンセクションも入るなど、最もロック的なスタイルになっており、彼の作品中で最もバンドアンサンブルを重視した2枚である。彼がこの路線で活動していればもっと知名度が上がり好セールスも期待できたのだろうが、彼はやはりギターが前面に出なければ我慢できなかったのだろう。

本作『ライヴ・ストック』について

そして、74年11月にニューヨークのタウンホールで収録されたライヴ盤が本作『ライヴ・ストック』(‘75)である。収録曲は全部で7曲。ジャンプブルースの1曲目「リーリン・アンド・ロッキン」からエグいスローブルースの「アイム・イヴィル」まで、荒削りだがロックしているロイが存分に味わえる作品となっている。バンドアンサンブルを考慮しながらも、ファンキーに弾きまくるロイがここにいる。バックの演奏はそう上手くはないが、ライヴならではの一体感あるプレイが素晴らしい。特にザ・バンドを思わせる「ホット・チャ」での土臭いギタープレイは、テクニックを抑えレイドバックしたロイが味わえるナンバーだ。余談だが、僕がこの曲を初めて聴いたのは18、9歳頃。今は亡き石田長生率いるGASのライヴであった。ライヴが終わってから石田さんに「誰の曲ですか?」と聞くと「ロイ・ブキャナンや!」と教えてくれたので、翌日本作を買いに走ったのだった。

他にもソウルナンバーの「キャン・アイ・チェンジ・マイ・マインド」や、クラプトンの十八番でも知られる「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」、ピッキングハーモニクス全開のロックナンバー「アイム・ア・ラム」など、どの曲も名演揃いで、本作が彼の代表作であることは確かである。

昨年、本作のコンプリート盤がリリースされた。『Live At Town Hall 1974』と題されたそのアルバムは2枚組で、タウンホールでのライヴが全曲(21曲)収められている。ニール・ヤングの「ダウン・バイ・ザ・リバー」やジミヘンの「ヘイ・ジョー」はまさに名演であり、オリジナル盤のリリースから45年経っても彼のプレイは全く古びていない。この機会に、本作『ライヴ・ストック』をぜひ聴いてみてほしい。

TEXT:河崎直人

アルバム『Live Stock』1975年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.リーリン・アンド・ロッキン/Reelin' And Rockin'
    • 2.ホット・チャ/Hot Cha
    • 3.ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード/Further On Up The Road
    • 4.ロイズ・ブルース/Roy's Bluz
    • 5.キャン・アイ・チェンジ・マイ・マインド/Can I Change My Mind
    • 6.アイム・ア・ラム/I'm A Ram
    • 7.アイム・イヴィル/I'm Evil
『Live Stock』(’75)/Roy Buchanan

OKMusic編集部

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