BAHOの『TREMENDOUS』は
Charと石田長生という
スーパーギタリストによる
“とてつもない”アルバム

アルバムでのスタジオ録音は10曲足らず

さて、そんなBAHOの名盤。この話の流れなら江口寿史氏がジャケットを手掛けたライブアルバム『HAPPENINGS』(1992年)か、秘蔵ライブ音源の文字通りお蔵出しである『OKURADASHI』(2004年)を紹介するのが筋だろうが、今回は『TREMENDOUS』とした。

ライブが魅力のBAHOであるからなのか、彼らの音源はほとんどがライブテイクで占められている。『OKURADASHI』はすべてライブ、『HAPPENINGS』は1曲を除いてすべてライブ。『TREMENDOUS』にしても3曲がライブテイクなので、スタジオ収録音源のほうが珍しいほどなのだ(アルバム3枚でスタジオテイクは8曲)。そう考えると、ライブ版BAHOとスタジオ版BAHOとが1枚を聴き比べ可能な『TREMENDOUS』が、BAHOの1枚として取り上げるのが適切であると考えた次第である。決して手元にそれしか音源がないとかそういう理由ではないことをお分かりいただければ幸いである。

スタジオテイクの分量が多い『TREMENDOUS』ではあるが、だからと言って決してBAHOの魅力が損なわれているわけではない。スタジオテイク7曲においてもその圧倒的な超絶テクニックを確認することができる。何と言ってもタイトルチューンであるM10「TREMENDOUS」がすごい。TREMENDOUSは“ものすごい”とか“とてつもない”という意味であるそうだが、まさしくそれらの言葉はこういうことを形容するためにあるのだろうと思わせるプレイだ。Charと石田との演奏が左右それぞれに分かれた、アコギ2本だけの演奏。Jポップのような展開がある曲ではなく、聴く人が聴けば同じフレーズが何度も繰り返されるインストと思われるようなナンバーかもしれない。

しかし、繰り返し披露されるユニゾンが、これはもう半端なくすごいとしか言いようがない。そもそも各々のプレイで指運びがどうなっているのか分からないような速弾きで、アコギでちゃんと音が出ている自体もすごいと思うのだが、2人のプレイがピタリと息が合っているのは本当にすごいことだと思う。クレジットを見ると“RECORDED & MIXED BY KEISUKE HASEGAWA”とあるから、これは一発録りでないかもしれないし、ダビングしているのかもしれないが、仮にそうだとしてもどちらかが録った音源にあとでどちらかが合わせているわけで、いずれにしてもすごいことであろう。また、ライブ録音であってもPro Toolsを使用すれば音程もリズムもあとで修正できるので、スタジオテイクであれば“何をか言わんや、では…?”との指摘があるかもしれないけれど、その初代であるPro Tools Iのリリースが1991年ということだから、『TREMENDOUS』で使用されたとはにわかに考えづらい。もしかすると発売元の江戸屋レコードでいち早く導入していたのかもしれないが、Pro Toolsの初期だし、Charと石田の2人なら“それなら弾いた方が早い”と言ってPro Toolsを相手にしないような気もするのだが──。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • PunkyFineのそれでいきましょう!~V-MUSICジェネシス日記~
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada presents / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 高槻かなこ / 『PLAYING by CLOSET♪♪』

新着