BAHOの『TREMENDOUS』は
Charと石田長生という
スーパーギタリストによる
“とてつもない”アルバム

素敵なカバーと遊び心あるライブテイク

M10「TREMENDOUS」以外も、その演奏はカッティング、単音弾き共にどれもこれ素晴らしいが、個人的に聴きどころだと思うのはSteely Danのカバー曲M6「DO IT AGAIN」だ。エレキギターもリズム隊もコーラス入った所謂バンドサウンド。エレキギターで奏でられるクリアなアルペジオがシャープな印象で、アコギ・デュオとは別の一面を見ることができる。間奏のギターソロは綺麗なトーンで、“フュージョンのギタリストが弾いてるのか!?”と思うほどに流麗かつメロディアスであって、それでいてしっかりとしたブルースフィーリングを感じさせるところに、ロックミュージシャンとしての充分過ぎるキャリアが表れていると思う。

オリジナルの「DO IT AGAIN」が収録された『Can't Buy A Thrill』(1972年)とは20年間くらいに開きがあるので、サウンドメイクも含めて『TREMENDOUS』版の方が何かとアドバンテージもあったのだろうが、そうした技術面を差っ引いても、オリジナルに勝るとも劣らないカバーであろう。再び“個人的には…”と前置きするが、低音のCharの歌声が子供の頃にイメージしていたカッコいい大人を感じさせるところもあって、そこも好きなところである。

『TREMENDOUS』収録曲のライブテイクに話を移すと、前述したThe Ventures「DIAMOND HEAD」が童謡「ちいさい秋みつけた」となっていくような遊び心をM3「BAHO'S RAG」に見出せる。曲名にある“RAG”とは音楽ジャンルのRAGTIMEであろう。この手のジャンルに詳しくないので適当なことは言えないけれども、本来のRAGTIMEはリズムに抑揚があってポップなピアノ音楽といった感じであるところを、Charと石田の2人はもちろんギターで取り組んでいる。オフビートなリズムに乗せて2人の演奏が続いていくのであるが、「およげ!たいやきくん」「ゲゲゲの鬼太郎」といろんなフレーズが散りばめられていき、後半には♪BAHO BAHO♪と歌が入った上に「Bibbidi-Bobbidi-Boo」で締め括られるという作りだ。クレジットを見ると1991年1月16日の大阪市中央公会堂 でのテイクのようだが、『TREMENDOUS』の発売は同年4月だったそうなので、録って即出しだったようで、そういうことができたのもこの2人だからだったのだろうと考えるとかなり感慨深い作品である。

こうした遊び心も含めて、BAHOのどこか肩の力が抜けた感じは、石田が醸し出す雰囲気にCharが影響されたところがあったようである。本稿作成にあたってアレコレ調べていたらChar本人が書いた『ネタの合間にギターを弾くBAHOライブ』(https://blog.excite.co.jp/mottainai-lab/6947300/)と題されたブログを見つけた。結構な長文で引用するのも憚られるのでリンクだけさせてもらう。BAHOの成り立ちがよく分かり、Charの石田長生へのリスペクトがしっかり感じられるで、この駄文よりも是非こちらの方をお目通しいただきたい。

TEXT:帆苅智之

アルバム『TREMENDOUS』1998年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.MIDNIGHT SHUFFLE
    • 2.EVERYBODY 毎度! ON THE STREET
    • 3.BAHO'S RAG
    • 4.表参道
    • 5.GEE BABY (Ain't I good to you)
    • 6.DO IT AGAIN
    • 7.R&B (RHYTHM & BAHO)
    • 8.STONED BAMBOO
    • 9.アミーゴ
    • 10.TREMENDOUS
『TREMENDOUS』('98)/BAHO

OKMusic編集部

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