POLYSICSのメジャーデビュー作
『NEU』からあふれ出る
ニューウェイブ本来のスピリッツ

DEVO精神の正統なる後継者

そうした自覚は全ての楽曲の作詞作曲を手掛けたハヤシ(Vo&Gu)の胸中にも確実にあったのではないかと推測できる。『NEU』収録曲の歌詞はパッと見ではその意味をストレートに受け入れられないシュールな印象のものや、内容というよりも言葉のリズムからその言葉を選んだのではないかと思わせるものが多いが、下記のようなタイプもしっかりと収録されている。

《Need something to change your mind/Change your mind, stop making sense/Learn about the both side of things/Tails I win, heads you lose》《One blockhead's silly action/Leads to the new sense world/One blockhead's silly action/Leads to the new sense》(M5「MAKING SENSE」)。

よもや作者本人もそれを否定しないだろうが、仮に本人が否定したとしても、この歌詞はPOLYSICSの基本姿勢であり、メジャーデビューにあたっての決意表明であったことを推したい。この歌詞は“ニューウエイブ”の到来を煽っている。そう考えると、M12「URGE ON!! -velocity2」やM13「I'm a worker」などの歌詞は、逆説的に平板な社会への皮肉であり──これはたぶん穿った見方であって、そういう考え方もできる…くらいに止めてもらって結構だが──当時の音楽シーンへのアンチテーゼにも感じられる。

本稿の最後に、POLYSICSが影響を受けたことを公言しているバンド、DEVOのリーダーであるMark Mothersbaughの言葉を以下に引用したい。

[演奏の仕方、使い方がエスタブリッシュされているもので未来は語れないよ。未来のためには、未来の手段が必要だ。今のミュージシャンは、たとえばシンセサイザーを使うときも、ギターやドラムを使う時と全く同じように使おうとする。つまり、これまでの楽器の代用または延長としてしか見てないのさ。エレクトロニクスにはエレクトロニクスの言葉があるんだよ。(中略)Devoはエレクトロニクスを崇拝しているわけでもないしエレクトロニクスがすべてなんて思っているわけじゃないけど、エレクトロニクスをエレクトロニクスの次元で、それ自身の言葉で語らせたら多くの可能性をもっていると思うんだ。これまでの表現にはなかったコンセプトやアイディアを現実のものにするには、今のところ一番適しているんじゃないかな]([]はWikipediaからの引用)。

大分長く引用させてもらったが、DEVOが単にエレクトロニクス、所謂デジタル音をそのサウンドに取り込むだけのバンドでないことはこの台詞でよく分かる。POLYSICSはのちにDEVOと共演し、メンバーから直々にDEVOの正統な後継者である旨を告げられたという。もちろん、それはビジュアル面やサウンド面の継承でもあっただろうが、それだけでなく、過去の表現にとらわれないという、その精神を継承していたからに他ならないであろう。POLYSICSのメジャーデビュー作『NEU』からもそのスピリッツはあふれ出ている。

TEXT:帆苅智之

アルバム『NEU』2000年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.go ahead now!
    • 2.MS-17
    • 3.XCT
    • 4.S.V.O
    • 5.MAKING SENSE
    • 6.each life each end -sputnikless mix
    • 7.DISORDER
    • 8.CY/CB
    • 9.X-RAYS (this is my life)
    • 10.WHAT
    • 11.PLASTER CASTER
    • 12.URGE ON!! -velocity2
    • 13.I'm a worker
『NEU』(’00)/POLYSICS

OKMusic編集部

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