眩暈SIREN、a crowd of rebellion、
CY8ER、RAZORが入り混じるイベント『
APOSTOLOS TOUR 2020』4組の異⾊ア
ーティストがここに集結

『APOSTOLOS TOUR 2020』2020.2.1(SAT)大阪・BIGCAT
多様性を認めあう社会づくりが進んでいく中、「ジャンル」に捉われた考え方は、今や生きる上での豊かさを損ないかねない。好き、嫌いは人それぞれに当然あれど、しかし肩書きそのものだけで判断し、一方的に拒否するのはあまりにもナンセンスだ。
2月1日、大阪・BIGCATで行われたSPICEが主催する音楽イベント『APOSTOLOS TOUR 2020』は、寛容性の重要さに改めて気付かされるものだった。APOSTOLOSはギリシャ語で「使徒(シト)」と⾔う意味。 基本使徒と⾔えば12使徒が有名だが、今回4組の四徒(シト)であり、 あらゆるジャンルの四獣が遣え回るツアー。このイベントに名前を連ねたのは、眩暈SIRENa crowd of rebellion、CY8ER、RAZOR。ラウドロックバンド、ビジュアル系バンド、アイドルという肩書きを持つ4組が融合し、大阪、名古屋、東京をツアーで回っていく。ということはもちろん、客席も「今まで出会わなかった人たち」が混じりあうことになる。
●a crowd of rebellion「イヤだったら目をつぶればいい」●
a crowd of rebellion
大阪公演のトップバッターで登場したのは、a crowd of rebellion。1曲目「Alone//Dite」から宮田大作(Vo)と小林亮輔(Vo.Gt)のツインボーカルスタイルによるハイトーンなスクリーモが炸裂。ミドルテンポなイントロから一気にスピードアップしていく「Raccoon Dead」で早くもモッシュが発生。
a crowd of rebellion
つづく「Mechanical Parade」「Hello,Mr.judgment」は音数の多さと予期せぬ展開で音楽的妙味を感じさせる。「She’ ll Never Forgive To Be Insulted」では、オーディエンスが真っ二つに別れたのちに激しくモッシュをするウォール・オブ・デスにはじまり、リフト、ヘドバン、ダンス、サーフなど、ライブキッズがやりたいすべてのことがぎゅうぎゅう詰めに。宮田大作は「俺らはこういう(ことをやるのが)担当なので。イヤな人もいると思うけど、そのときは目をつぶったらいいから」と話す。おもしろそうだったら参加すればいいし、そうじゃなければスルーすればいい。それは聴き手の自由だ。混じり合うからこそ、選択もできる。それがこのイベントの醍醐味である。
a crowd of rebellion
印象に残ったのは「M1917」のあとのMC。宮田大作の「僕は、アイドルを好きになったきっかけがモーニング娘。でした。ビジュアル系ではGLAYFANATIC◇CRISISを聴いていました。何が言いたいか? 「関係ない」ってこと。ビジュアル系もアイドルも俺らのようなラウドロックも、(眩暈)SIRENのように病んじゃっているやつらも(笑)! 格好良い4組がこのツアーには集まっているから」という言葉は核心的だった。『APOSTOLOS TOUR 2020』を表すものであり、同イベントの指針に感じた。ラスト「Calendula」まで、客席に荒い息を吐かせ続けた。
●RAZOR「ライバルはCY8ER」●
RAZOR
2番手は、RAZOR。1曲目「LIQUID VAIN」でいきなり発生する無数のヘドバン。そう、これがRAZORのフロアの見どころの一つ。昔からヘドバンは歌舞伎の気振りに例えられてきたが、彼らのライブでは、波しぶきがあちこちで群発しているように見える。さらに客席をヒートアップさせるのは、フロントマンの猟牙(Vo)の存在感。狂気じみていながらもフォトジェニックな容姿と動作は、さながら映画『JOKER』の主人公・アーサーのよう。
RAZOR
次の「紅く散らばる華」は、ドラムのフレーズが特筆。IZA(Ba)のベースもヘビーなリズムを刻む。攻撃的な音圧が場内を揺らし、猟牙は興奮を隠すことなく本能をむき出しにして客席へダイブ。しかも、1度だけではなく2度も。一方でそういった凶暴性だけではないのが、RAZORの真骨頂。「DAY BREAK」の端正なコーラスワークはトラックとして完成度の高さをうかがわせ、「嫌、嫌、嫌。」における剣(Gt)と衍龍(Gt)の推進力のあるギターサウンドは、聴いていて心地良さすらある。
RAZOR
猟牙を『JOKER』のアーサーに例えたが、ライブを一貫してみるときわめてアジテーショナルだ。後半の「千年ノ色彩」「埋葬」「PRIMARY」は理性を失わせるのに十分なセットリストだった。MCでは、猟牙が「ライバルは(このあとに登場する)CY8ER。今回はアイドル枠が2つ」と自分たちもアイドルであると主張。そうやって笑わせながらも「異種格闘技のイベント。俺らは「ビジュアル系屋」。ただ、今まで「どこかのファンとか関係ない」とよく言ってきたけど、今日ほどこの言葉を使いたい日はない」と力強く語った。a crowd of rebellionと同じく、このイベントに通底するメッセージをしっかりと訴えかけた。
●眩暈SIREN「傾向が違う人が集まる、それはすごくいいこと」●
眩暈SIREN
異彩を強烈に放ったのは、3組目の眩暈SIRENだ。「私は自分が嫌いです」「嘘」「言い訳」などいろんなワードが混ざり合いながら「生まれてこなければ良かった人間だから」と締め括る、お馴染みにして独特のSE。初見のオーディエンスを含めて場内は一瞬静寂し、世界に飲みこまれていく。
眩暈SIREN
「ジェンガ」「夕立ち」で心の中にかかえるものを吐き出すように歌う京寺(Vo)。「今この空間に、好みが違い、好きになる傾向が違う人がいる。それはすごくいいこと。どれだけ感じるものが違ったとしても、人間の根底的な部分は変わらない。みんな、死に物狂いの一歩を踏み出して生きている」というMCのあと、披露される「偽物の宴」。<下手に目を付けられず生きるには 人としての華やかさは邪魔だ>と、シリアスな詩がどっと押し寄せてくる。そんななかでオオサワレイ(Gt)は時に大きなアクションを交えながら、一方で森田康介(Ba)は職人的に、それぞれ音を刻んでいく。
眩暈SIREN
「紫陽花」「image_____」「故に枯れる」でさらにトーンが変わっていき、ラストに演奏されたのは「思い出は笑わない」。誰もが固唾を飲むようにその歌を聴く。張り巡らされる緊張感。しかし各曲にはしっかり体温がある。みんなそれぞれに違いがあること、それでも共存ができること。そんなメッセージを受け取ることができた。前2組のフィジカルな凶暴性とは違い、内側に突き刺さるバイオレンスさがあった。
●ノンストップで駆け抜けたCY8ER●
CY8ER
この日のトリをつとめたのは、CY8ER。場内には色とりどりのサイリウムが一気に広がる。四股を踏むようなポーズでスタートする「東京ラットシティ」、ラップ調でメンバーそれぞれが自己紹介を織り交ぜる「Beat」、そして代表曲「はくちゅーむ」で会場内はアイドルファンとロックバンドファンが入り乱れていく。
「コクハクワープ」「ドキドキパリラルラ」「MCMCDANCE」とノリの良い和テイストのEDM曲で踊らせる。オーディエンスは「パーティーピーポー!」と笑顔で跳ね上がる。
CY8ER
プロデューサーも兼任する苺りなはむらメンバーも、時には大人っぽく、また時には無邪気に、ダンスや表情で魅せる。90’ のビッグビートを彷彿とさせる「サマー」、前身グループ時代からの人気曲「ごーしゅー」と続き、「うまくいかなくってもリミックスしながら日々を歩めばいいじゃないか」と背中を後押ししてくれる曲「リミックスタート」までMCをほとんど挟まず、ノンストップで11曲を駆け抜けた。
CY8ER
ボーダレスだからこそ良い意味での喧騒が生まれた、このイベント。偏見や印象を捨てて、「楽しいものは楽しいんだ」と純粋に音楽に浸ることができる。『APOSTOLOS TOUR 2020』は2月8日に愛知・名古屋ELL、2月16日に東京・TSUTAYA O-EASTで開催される。
取材・文=田辺ユウキ

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