藤川千愛

藤川千愛

【藤川千愛 インタビュー】
誰かを救えるような
曲を届けていきたい

一枚のアルバムとして聴いて、
今の藤川千愛というものを感じてほしい

尖った曲がある一方で、「べつにいいけど」や「あなたを嫌いになれました」といったエモーショナルかつ陰りを帯びた楽曲もあって。

「べつにいいけど」は“ひとりだからこそ分かることや感じられることがある”ということがテーマになっています。でも、ずっとひとりでいたいわけじゃなくて、ふたりでいる心地良さも分かっているんですよね。なので、そういうもどかしさを入れ込みました。ひとりでいるのは不安だけど、ひとりになりたいという。

だからって“私はひとりで生きていく!”という強い歌詞になっていないことが、この曲の説得力につながっています。いわゆる“ふたりでいることの軽い憂鬱”のようなものを感じている恋人同士や夫婦は多い気がしますので。

そう! 好きな人に束縛されたいけど、面倒くささを感じる時もある…みたいな(笑)。あと、離れて分かることや離れている時に育まれるものもあると思うんですよ。だから、ひとりになることも大事だということを伝えたかったんです。

恋愛に限らず、人間関係は適切な距離を取ることがうまくやっていく秘訣だと思います。ただ、女性は相手の男性のことを全部知りたいという人も多い気が…。

私は何でも知りたいです!(笑)

や、やはり(笑)。それはなぜ?

なぜというか…そう思ってしまうんだから仕方ないです。でも、男の人はそれがしんどいと言いますよね。

す、すみません、しんどいです。

やっぱり。なんでですか?

えっ? ええっと…監視されているような気持ちになるからです。

ええっー! 私、監視したいです(笑)。

マジですか? “何でも知りたいし、監視したい。でも、ひとりもいいな”と思っていると?

はい(笑)。

そうなると、男はどうしたらいいか分からないです…。

面倒くさい奴ですよね(笑)。

…ノーコメントということで(笑)。でも、監視したいということは自分も監視されてもいいということでしょうか?

嫌だっ! 自分が監視されるのは絶対に嫌です(笑)。

そ、そうですか(笑)。ということは、「べつにいいけど」は女性ならではの微妙な心理を描いていると言えますね。あと、少しグラスミュージックっぽさが漂うウォームな「田中が彼氏だったなら」はアルバムのいいアクセントになっていますね。

この曲はライヴでみんなと一緒に歌いたいという気持ちから作りました。すでにライヴでやってて、温かい空気になりますし、みんなも歌ってくれるんですよ。それがすごく心地良くて。そういう意識で作ったので他の曲とは雰囲気が違っていますね。ちなみに、この曲の歌詞は友達の話を聞いていて思いつきました。すごく自分のことを想ってくれる人がいるんだけど…という状況の子がいて、その子のことをモチーフにして書いた歌詞になります。

“すごくいい人だし、欠点があるわけでもないんだけど、ちょっとなぁ”という心情ですよね。

そうそう。こういう子はいっぱいいる気がするんですよ。

確かに若い頃の“あるある”だと思います。この曲の歌詞を読んで、“田中くんは相手に自分の想いを伝えているのだろうか? なんとなくうやむやにして近くにいるんだろうか?”といったことを考えてしまいました。

どうなんでしょうね? そこまでは聞いていなかったので分からないです(笑)。でも、想いは伝えていない気がしますね。だって、想いを告げフラれてしまったら、もう一緒にいれなくなってしまうという恐れがあるじゃないですか。

そうなんですよねぇ、それが怖くて…というふうにいろいろ想像してしまうほど、この曲の歌詞もリアリティーがあります。そういう幅広い楽曲を経てアルバムを締め括るのが、華やかな4つ打ちチューンの「愛はヘッドフォンから」というナンバーで。

人というのはそれぞれ、自分が救われるものがあると思うんですよ。スポーツだったり、美味しいものだったり、本だったりとか。私は人生を振り返ってみて、いつでも音楽に救われてきました。立ち直れない時も音楽を聴いたし、泣き止めない時も歌を歌って…というふうに、音楽に身をゆだねて救われてきた。音楽は衣食住みたいに絶対に必要なものじゃないと言う人もいますけど、私の中では音楽が衣食住を超える時が確実にあったし、これからもあると思うんです。そういう音楽に対する感謝の気持ちがあって、自分は誰かを救えるような曲を届けていきたいという強い気持ちがあるんです。「愛はヘッドフォンから」はそういう想いを込めて作りました。

そういう想いが実を結んで、リスナーの気持ちを押しあげる一曲に仕上がっています。あと、この曲だけ歌詞の一人称が“僕”になっていることも印象的です。

深い意味はないです(笑)。“僕”のほうがメロディーに対するはまりがいい…くらいの感じだった気がしますね。適当な感じですみません(笑)。

無意識だったようですが、“僕”と歌うことで男性/女性リスナーを問わず、それぞれの思いを重ねられる曲になっていますよ。

そう受け止めてもらえると嬉しいです。私と同じように音楽がなかったら生きていけないという人は女性にも男性にもいると思うので。今はコロナウィルスの影響で自由にライヴができない状況になっているじゃないですか。「愛はヘッドフォンから」はこういう時だからこそ届けたい曲でもありますね。

同感です。全ての音楽とともにある人に届いてほしいです。そんな藤川さんの個性が詰め込まれた魅力的な一作に仕上がった本作を完成させて、今はどんなことを感じていますか?

最初に話したように繰り返し、繰り返し聴いてもらえるアルバムにしたいという想いのもとに作ったというのがあって。一曲も捨ててほしくないし、聴き流してほしくなくて、一曲一曲丁寧に作ったので、一枚のアルバムとして聴いて、今の藤川千愛というものを感じてほしいです。

取材:村上孝之

アルバム『愛はヘッドフォンから』2020年4月8日発売 日本コロムビア
    • 【初回限定盤】(CD+DVD)
    • COZP-1647〜8
    • ¥3,182(税抜)
    • 【通常盤】(CD)
    • COCP-41115
    • ¥2,000(税抜)

ライヴ情報

『藤川千愛 Live Tour 2020』
4/26(日) 北海道・ペニーレーン24
5/04(月) 宮城・仙台darwin
5/06(水) 愛知・名古屋クラブクアトロ
6/14(日) 福岡・DRUM LOGOS

『Birthday Live2020』
6/05(金) 東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

藤川千愛 プロフィール

フジカワチアイ:1995年6月6日生まれ。日常の鬱憤や葛藤から恋心までを独自のユニークな視点で歌う岡山県出身のシンガーソングライター。19年5月に1stアルバム『ライカ』をリリースし、20年1月にはBUCK-TICKトリビュートアルバムに“minus(-) featuring 藤川千愛”として参加。また、19年11月より4カ月連続でシングルを配信し、20年4月にそれらを収めた2ndアルバム『愛はヘッドフォンから』を発表した。藤川千愛 オフィシャルHP

『愛はヘッドフォンから』
全曲ダイジェスト

「悔しさは種」MV

OKMusic編集部

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