サイケデリックロックから
転向を果たした
グレイトフル・デッドの
『アメリカン・ビューティー』

サザンロックの原型を生み出す

デッドがリリースした2ndアルバム『太陽の讃歌(原題:Anthem Of The Sun)』(‘68)では、ふたり目のドラマーのミッキー・ハートが加入しツインドラムとなった。このアルバムは前述したようにスタジオで半分しか収録できず、ライヴ録音で残りを埋めたために長尺曲が多くセッションアルバム的な仕上がりになっている。彼らは曲作りを途中で投げ出すことも少なくなく、その場合は中途半端な曲のいくつかをつなげて1曲にすることもあった。また、ライヴ曲とスタジオ録音曲を違和感なく並べるために、仕方なく編集作業に時間をかけるのだが、それが思わぬ結果を生むこともあった。評論家の間で画期的なトータルアルバムという評価となり一般には売れなかったが、デッドの高い演奏力もあってアーティストたちの間でも評判となった。特にデュアン・オールマンは、このツインギター、ツインドラム(だけでなく演奏面においても)という編成にインスパイアされ、自らの新グループとなるオールマンブラザーズバンドにデッドの手法を取り入れることになる。言ってみればサザンロックの原型はデッドが生み出したようなものなのである。

ガルシアのルーツへの回帰

1970年は5thアルバム『ワーキングマンズ・デッド』と6thアルバムとなる本作『アメリカン・ビューティー』の2枚をリリース(正確にはライヴ盤『ビンテージ・デッド』も出しているのだが、これは66年の録音だし海賊盤っぽいので数えていない)するなど、デッドが最も活性化した年であった。

『ワーキングマンズ・デッド』ではクロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤング(以下、CSN&Y)ばりのコーラスと優しいフォーキーなサウンドが聴けるが、それは偶然ではなく、実際にCSN&Yが絡んでいるのである。ガルシアはCSN&Yのアルバム『デジャブ』(‘70)にペダルスティールで参加した際、歌を大事にする彼らの音楽性に大きなインパクトを受け、作詞家のロバート・ハンターと、自分たちのルーツであるカントリー、フォーク、ブルーグラスをモチーフにした曲を書くようになっていた。デビッド・クロスビーとスティーブ・スティルスはミッキー・ハートの牧場で休暇期間を過ごしており、その時に彼らの訓練された美しいコーラスをウィアとともに聴き、ガルシアらと同じタイミングで影響されるのである。『ワーキングマンズ・デッド』はこれまでのような演奏主体のセッション的な作品とは違って、歌を生かしたルーツ色の濃いアルバムで、デッドは見事な転身を遂げたと言えるだろう。ガルシアはギターだけでなく、バンジョーやペダルスティールも駆使して新生グレイトフル・デッドに貢献。デッドを代表する名曲のひとつ「ケイシー・ジョーンズ」を収録している。

OKMusic編集部

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