ピーター・グリーン、
ジェレミー・スペンサー、
ダニー・カーワン、
それぞれの個性が楽しめる
フリートウッド・マックの
アメリカ編集盤『英吉利の薔薇』

本作『英吉利の薔薇』について

本作『英吉利の薔薇』は日本でもリリースされ、このアルバムが彼らの日本デビュー作となる。当時はサンタナの「ブラック・マジック・ウーマン」が大ヒットしていたこともあって、最初に出た日本盤はAB面が逆(オリジナル盤は「ブラック〜」がB面1曲目のため)での発売であった。

収録曲は12曲。彼らの2ndアルバム『ミスター・ワンダフル』から1、3、5、6、8、11の6曲が選ばれ、2、7、12の3曲はシングルリリース作、4、9、10の3曲は新録という構成。一部の曲(2ndの6曲)にはホーンセクションとピアノ(クリスティン・パーフェクト。のちにジョン・マクヴィーと結婚しマクヴィー姓となる)が加わっている。

明らかにカルロス・サンタナが模倣したと思われる「ブラック・マジック・ウーマン」をはじめとするマイナーブルースでのグリーンの情感豊かな指弾き、エルモア・ジェイムズに影響されたスペンサーの本格派のスライド、そして当時まだ10代のカーワンによるジプシージャズ風プレイなど、オリジナル盤ではなかなか味わえなかった3人の個性的なプレイが聴けるところが本作の肝である。全英1位を獲得したインストの「アルバトロス」は、グリーン作にしてはブルース色が感じられないナンバーであるが、エイモス・ギャレットやダニー・ガットンなど多くのギタリストがカバーした「スリープウォーク」のオマージュとして、カーワンとの共演を楽しむべきだろう。

ピーター・グリーンの前向きな姿勢が見受けられるこの頃のフリートウッド・マックは良質のブルースバンドであった。曲によっては、シカゴブルースのコンピに収録されていても気づかないぐらいの本物感すら漂っている。

この後、グリーンはダニー・カーワンに音楽的リーダーを任せるが、彼のポップな感性と合わず、3rdアルバム『ゼン・プレイ・オン』(’69)を最後にグループから脱退する。これは、70年代を前にブルースバンドでは食えないというグループの決断であり、薬物の問題があったとはいえ、グリーン自身もそのことを分かった上で脱退したのではないだろうか。いずれにしてもグリーンはブリティッシュブルースを牽引した最も優れたギタリストのひとりであったことは確かで、彼に哀悼の意を表したい。

TEXT:河崎直人

アルバム『English Rose』1969年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. ストップ・メッシン・ラウンド/Stop Messin’ Round
    • 2. ジグソー・パズル・ブルース/Jigsaw Puzzle Blues
    • 3. ドクター・ブラウン/Doctor Brown
    • 4. サムシング・インサイド・オブ・ミー/Something Inside of Me
    • 5. イヴニン・ブギ/Evenin’ Boogie
    • 6. ラヴ・ザット・バーンズ/Love That Burns
    • 7. ブラック・マジック・ウーマン/Black Magic Woman
    • 8. アイヴ・ロスト・マイ・ベイビー/I’ve Lost My Baby
    • 9. ワン・サニー・デイ/One Sunny Day
    • 10. ウィズアウト・ユー/Without You
    • 11. カミング・ホーム/Coming Home
    • 12. アルバトロス/Albatross
『English Rose』(’69)/Fleetwood Mac

OKMusic編集部

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