「アンヘル」が歌う「幸せ」とは本当に「幸せ」なのか歌詞から考察

「アンヘル」が歌う「幸せ」とは本当に「幸せ」なのか歌詞から考察

「アンヘル」が歌う「幸せ」とは本当
に「幸せ」なのか歌詞から考察

誕生したのは歓迎されていない「命」

▲【VOCALOID 鳴花ヒメ・ミコト】サウンドデモ2 - アンヘル(作詞作曲 : かいりきベア)
2019年3月に発売されたボカロ「VOCALOID5 Library 鳴花ミコト」。
『アンヘル』は、そのデモソングとして制作がされた楽曲です。
制作者は中毒性の高い名曲を生み出す事で有名なボカロP『かいりきベア』。
今作もその特徴が最大限に盛り込まれており、変則的な転調が生み出す独特なメロディーに多くの人が魅了される楽曲となりました。
「“生きる”を選べば幸せです。 」という制作者からのコメントと共に公開された楽曲『アンヘル』は、果たしてどのような内容を歌った楽曲なのでしょうか。
歌詞の意味を考察してみましょう。

アンヘル 歌詞 「かいりきベア feat. 鳴花ミコト」
https://utaten.com/lyric/tu19061230
どうやら今日は誰かの誕生日のようです。
「交わって」「コンニチハ」という歌詞から考えるに、その誰かが生まれた瞬間を歌っていることが考察できます。
「目の縁濡れても」というのは、生まれたばかりの誰かが声をあげて泣いているさまを歌っているのかもしれません。
アンヘル 歌詞 「かいりきベア feat. 鳴花ミコト」
https://utaten.com/lyric/tu19061230
しかし続く歌詞からは、あまりその命が歓迎されたものではない事が見て取れます。
「誰にも頼んだ覚えはなくとも」という歌詞からは、生まれた事を後悔しているようです。
「痣」や「血濡れ」という歌詞からも、暴力の二文字を連想する事ができ、とても痛々しい歌詞となっています。
「幸せ」とは程遠い場所にいるといえます。
ここで2番Aメロの歌詞を見てみるとこのようなフレーズが目につきます。

アンヘル 歌詞 「かいりきベア feat. 鳴花ミコト」
https://utaten.com/lyric/tu19061230
「目測誤って」というのは、1番の「交わって」という歌詞と繋がるものだと思われます。
男女が交わる事で生まれる子供。
しかし中には、子供を作る事を目的とせずに、交わることを目的とした男女もいます。
もしかしたら、この誰かはそんな男女の間に生まれてしまった子供なのかもしれません。
だとすると先の暴力も彼らから虐待を受けている事を示唆していると考察できます。
生まれる予定のなかった誰。それがこの楽曲の主人公のようです。
望まれなかった人生の果てに待っていたもの
誰にも望まれずに生まれてしまった主人公は、どのような人生の結末を迎える事となるのでしょうか。
それを解くヒントはサビにありました。

アンヘル 歌詞 「かいりきベア feat. 鳴花ミコト」
https://utaten.com/lyric/tu19061230
「決壊」という歌詞から、何かが壊れてしまった事が推測できます。
続く歌詞の「切開」「ココロ縫って」という言葉から考えるに、この何かとは主人公自身のココロであると思われます。
きっと毎日の暴力により、主人公のココロが壊れ始めているのでしょう。それがバレないように取り繕っているようです。
2番のサビでもそのさまが歌われています。

アンヘル 歌詞 「かいりきベア feat. 鳴花ミコト」
https://utaten.com/lyric/tu19061230
「裂傷」「踏まれたって蹴られたって」という歌詞から、主人公への扱いが酷いものになっているのが想像できます。
しかし、どうやらそれでも主人公は生きようと藻掻いているようです。
くり返される「生」という歌詞から「生」への執着が感じ取れます。
しかし限界を迎えてしまったのか「ココロ散って」と歌われています。
ココロを取り繕う気力もなくなってしまったという事でしょう。
誰にも望まれずとも「生きる」事に執着していた主人公。
その結果、散ってしまった「ココロ」。
はたして、本当にこれが「生きる」事を選んだ先に待っていた「幸せ」なのでしょうか。
「幸せ」に込められた意味

「幸せ」の意味を探る為に、ここで楽曲タイトルを振り返ってみましょう。
楽曲タイトルの『アンヘル』には、スペイン語で「天使」という意味があるのです。
その意味を鑑みると、これまでの歌詞が主人公の人生を見守る天使の視点で語られているようには見えてこないでしょうか。
またCメロには、このような歌詞が歌われています。

アンヘル 歌詞 「かいりきベア feat. 鳴花ミコト」
https://utaten.com/lyric/tu19061230
どこか高みから、世界中で起きる出来事を見下ろしているような歌詞です。
「たかだか人生百年」という歌詞からも、人ではない事を推測する事ができ、正しく神の使いとして人間を守護し続けて来た天使の視点と言えるでしょう。
しかし長い間人間を見守って来た天使にも、人間の「生」への執着は理解できないようです。
必ず「終焉」はやってくるのに、それでも生きようとする人間の「矛盾」には、天使が「呆然」としているさまが歌われています。
例え理解できずとも、天使は人間を守らなければなりません。
その為、人間がそこまで執着する「生」にこそ「幸せ」があると捉えたのでしょう。
「“生きる”を選べば幸せです。」とは、そんな天使の誤解が生み出した「幸せ」の定義について述べたものなのかもしれません。

TEXT 勝哉エイミカ

UtaTen

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