ブリティッシュ・スワンプの
草分け的存在として知られる
デイヴ・メイスンの
『アローン・トゥゲザー』

本作『アローン・トゥゲザー』について

そして、デラニー&ボニーをはじめとして、ジム・ゴードン、カール・レイドル、リタ・クーリッジら現フレンズのメンバーの他、レオン・ラッセル(彼もまた、かつてはフレンズのメンバー)人脈から、ラリー・ネクテル(ブレッドのメンバー)、クリス・エスリッジ(フライング・ブリトー・ブラザーズのメンバー)、ジム・ケルトナー、ジョニー・バーベイタ、マイケル・デ・テンプルといった凄腕のアーティストたちが大挙参加して、本作がレコーディングされた。エンジニアには職人アル・シュミットとブルース・ボトニックが、プロデュースはメイスン本人とトミー・リプーマが担当した。今考えると、かなり豪華なメンバーが参加しており、新興のブルーサム・レコードとしてはかなりの経費が掛かったと思われる。

収録曲は全部で8曲。アルバムは『オン・ツアー〜』でも取り上げられた「オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ」から始まる。ロックしていたデラボニ・バージョンと比べると本作のアレンジはアコースティック中心の落ち着いたアレンジになっている。メイスンのギターはコロンビア時代のゆっくりしたスタイルとは違い、クリーム時代のクラプトンを彷彿させるテンションの高い演奏である。

「シュドゥント・ハヴ・トゥック・モア・ザン・ユー・ゲイヴ」と「サッド・アンド・ディープ・アズ・ユー」はトラフィック時代に披露していた曲の再演で、特に「サッド・アンド・ディープ・アズ・ユー」はメイスンのお気に入りのナンバーで繰り返し演奏している。「キャント・ストップ・ウォリイング,キャント・ストップ・ラヴィング」「ワールド・イン・チェインジズ」「ルック・アット・ユー・ルック・アット・ミー」などは陰影のあるナンバーで、ブリティッシュ的な香りが漂っている。中でも7分以上に及ぶ「ルック・アット・ユー・ルック・アット・ミー」は後半のドラマチックなギターソロが聴きものだろう。ロックンロールの「ウェイティン・オン・ユー」と、少しカントリー風味のある「ジャスト・ア・ソング」はコロンビア時代へとつながるキャッチーな音づくりになっている。

数十年振りに改めて本作を聴き直してみると、デイヴ・メイスンがスワンプに挑戦したという感じではなく、あくまでもメイスンの音作りであり、コロンビア時代に開花した彼の資質は、この時点で既に完成していたことが再認識できた。メイスンの骨太のヴォーカルと巧みなソングライティングは本作以降も成長を続け、5thアルバム『デイヴ・メイスン』で頂点を迎えることになる。

『アローン・トゥゲザー』は決してメイスンの最高傑作ではないが、本作がエリック・クラプトンやジョージ・ハリスンらをはじめとした他のブリティッシュロッカーをスワンプロックに向かわせ、70年代ロックのマイルストーンの一つになったことは確かである。

TEXT:河崎直人

アルバム『Alone Together』1970年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ/Only You Know And I Know
    • 2. キャント・ストップ・ウォリイング,キャント・ストップ・ラヴィング/Can't Stop Worrying, Can't Stop Loving
    • 3. ウェイティン・オン・ユー/Waitin' On You
    • 4. シュドゥント・ハヴ・トゥック・モア・ザン・ユー・ゲイヴ/Shouldn't Have Took More Than You
    • 5. ワールド・イン・チェインジズ/World In Changes
    • 6. サッド・アンド・ディープ・アズ・ユー/Sad And Deep As You
    • 7. ジャスト・ア・ソング/Just A Song
    • 8. ルック・アット・ユー・ルック・アット・ミー/Look At You Look At Me
『Alone Together』(’70)/Dave Mason

OKMusic編集部

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