ギリ昭和なオレたちを熱くさせた、筒美京平作品5選

ギリ昭和なオレたちを熱くさせた、筒美京平作品5選

ギリ昭和なオレたちを
熱くさせた、
筒美京平作品5選

10月7日、80歳で亡くなった作曲家・筒美京平。50年を超える活動で手掛けた楽曲はなんと3,000曲弱、総売上枚数は7560万枚! 今も色褪せることなく歌い継がれるヒット曲を多く排出し、日本の音楽界を支え続けてきた天才作曲家の功績や偉大さはたくさんのミュージシャンや音楽評論家が語ってて、今さら僕ごときが語るまでもないですが。筒美作品に育てられたのは、昭和ど真ん中世代だけじゃない! つうことで、ここでは筒美京平がすでに大活躍していた昭和50年に生まれ、ギリ昭和を経験しているオレたち世代を熱くさせた筒美京平作品をセレクト。選曲したらかなりベタな曲が並びましたが、“ベタな曲=誰もが知るヒット曲”つうことで、筒美京平はやっぱりすごかったってことです!
「17才」収録アルバム『ザ・シングルス』/森高千里
「木綿のハンカチーフ」収録アルバム『ベスト・コレクション』/太田裕美
「なんてったってアイドル」収録アルバム『コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~』/小泉今日子
「Romanticが止まらない」収録アルバム『ゴールデン☆ベスト』/C-C-B
「強い気持ち・強い愛」収録アルバム『刹那』/小沢健二

「17才」('89)/森高千里

「17才」収録アルバム『ザ・シングルス』/森高千里

「17才」収録アルバム『ザ・シングルス』/森高千里

筒美作品でオレたち世代が真っ先に浮かぶのはこの曲! それも南 沙織のオリジナルは世代じゃないので、森高千里のカバー。オリジナル曲の発売が71年(オレたちがまだ生まれる前!)で、森高千里バージョンのリリースが89年。曲が生まれてすでに18年が経っていたというのに、オレたちの心をバシッと射抜いたキラキラしたメロディーは今聴いても秀逸! もちろん、森高の鼻にかかったキュートな歌声やMVで見せたミニスカ衣装と美脚も心を射抜いた大きな理由ですが…深夜番組で初めてMVを観た時は卒倒するくらい衝撃だった!!  この曲、もともとはデビュー前の南 沙織に、筒美が「何が歌える?」と聞いた際、「リン・アンダーソンの「ローズ・ガーデン」なら歌える」と言ったのをヒントに作ったそうで、ああホントだ!と聴いて納得。今はネットで探せば、南 沙織も森高千里もリン・アンダーソンも見れちゃう時代なので、ぜひ深堀りしてみて下さい。

「木綿のハンカチーフ」('75)
/太田裕美

「木綿のハンカチーフ」収録アルバム『ベスト・コレクション』/太田裕美

「木綿のハンカチーフ」収録アルバム『ベスト・コレクション』/太田裕美

太田裕美が歌う原曲がリリースされたのは、オレたちが生まれた昭和50年。なので、この曲を聴くのはテレビの懐メロ番組などで、曲は知ってる程度の認識でしたが。最近でも宮本浩次がカバーをしたり、数多くのアーティストがカバーしていることもあって、大人になってからフルコーラスで聴いてぶっ飛んだ。《恋人よ 僕は旅立つ》と始まる、男女の恋物語。田舎でいじらしく待つ彼女と都会に染まっていく彼のだんだんすれ違っていく気持ちを歌ったこの曲は、まるで映画を観てるように聴く者を楽曲世界に引き込み、ラストの“木綿のハンカチーフ”の下りには思わず涙。今聴くと古臭い表現もたくさんあるけど、それぞれの頭の中にしっかり風景が浮かび、こんな経験なくても登場人物の気持ちが伝わるのは、歌詞だけでなく筒美の曲の力あってこそ。自分はこの楽曲世界を表現しきれるか? そんな挑戦心もあって、この曲のカバーするアーティストが多いのかも。

「なんてったってアイドル」('85)
/小泉今日子

「なんてったってアイドル」収録アルバム『コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~』/小泉今日子

「なんてったってアイドル」収録アルバム『コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~』/小泉今日子

この曲の響き方がオレたちの世代感をよく表してると思うが。昭和60年というギリ昭和にリリースされたこの曲が、「当時のアイドル像を覆す革命的な曲だった」と聞いてもあまりピンと来ないのがオレたち世代。まだ小学4年生で、音楽や女の子にようやく興味を持ち始めたあの頃。そもそものアイドル像がないから、当時のアイドルにはあり得なかったというキョンキョンのボーイッシュなスタイルも素直に「可愛い!」と思ってたし、「なんてったってアイドル」の皮肉っぽい歌詞も「アイドルとはそういうものなのか」と額面通り受け止めていた。そして、そんな純粋さで音楽やアイドルに触れてたから、その後の「夜明けのMEW」や「水のルージュ」も「いい曲だなぁ!」となんの偏見も無く受け入れて、音楽的視野が自然と広がっていったし。少し上の世代と比べた時、音楽をよりニュートラルに楽しめていた世代な気がする。そして、小泉今日子のキャラや魅力を存分に引き出して、まだガキだったオレたちに最高の音楽体験をさせてくれた筒美先生に改めて感謝したい。

「Romanticが止まらない」('85)
/C-C-B

「Romanticが止まらない」収録アルバム『ゴールデン☆ベスト』/C-C-B

「Romanticが止まらない」収録アルバム『ゴールデン☆ベスト』/C-C-B

この題材でレコメンドを書こうと思ったのは先日放送された、NHKスペシャル『筒美京平からの贈りもの 天才作曲家の素顔』と題された、筒美京平の追悼ドキュメンタリーを観たのがきっかけだったのだが。そこで出演していた笠 浩二のコメントを見て、不勉強ながら「Romanticが止まらない」が筒美作品だったこと、筒美の指名により笠 浩二がメインヴォーカルを務めたことを知って驚いた。「なんてったってアイドル」と同じ、昭和60年発売のこの曲。歌番組でC-C-Bがこの曲を歌う姿を観た時、髪色を派手に染めたバンド形式のグループ、ヘッドマイクでドラムの人歌うこと、不思議なシンセサウンドに女性みたいなハイトーンヴォーカルと衝撃だらけで、頭の中に“?”マークが幾つも浮かんだのを覚えてる。C-C-Bがこの曲にバンド解散をかけていたという話、筒美がメロディーやアレンジでメンバーの意見を柔軟に取り入れて完成したというのもいい話!

「強い気持ち・強い愛」('95)
/小沢健二

「強い気持ち・強い愛」収録アルバム『刹那』/小沢健二

「強い気持ち・強い愛」収録アルバム『刹那』/小沢健二

作曲家・筒美京平の歴史を辿った時、「あの曲も筒美作品だったんだ!」と驚いたり、筒美作品が音楽の原体験としてオレたちのDNAに刷り込まれてることはよく分かったが。昭和歌謡ど真ん中世代ではないオレたちにとって、「海外のヒット曲を研究して消化して、日本人好みの歌謡曲に昇華させた」というところのすごさはいまいちピンと来ないのが本音。だって、その時代をリアルタイムで体験してないんだもん! が、そんなオレたちをリアルタイムでアツくさせたのが、95年にリリースされた小沢健二の「強い気持ち・強い愛」。壮大で美しいサウンドと心躍るメロディーに乗せられた、愛にあふれた前向きな歌詞。楽曲の圧倒的高揚感と多幸感に包まれているとギュ~ッと胸を締め付けられて、なぜだか涙がこぼれてくる。日本の音楽が成熟してジャンルが多岐に広がり、渋谷系全盛期だったあの時代。小沢健二作詞、筒美京平作曲による新旧天才タッグが互いを刺激し合い高め合い、日本人好みのポップスへと昇華させた大名曲。そうか、改めて考えるとこの曲も海外のヒット曲(新しい音楽)を研究して消化し、天才作詞家たちと刺激し合い高め合い、日本人好みの歌謡曲(ポップス)へと昇華するという筒美の作曲方法の延長上で作られたものだったのか! と、筒美のすごさに改めて気づけた所で、現在は古い稀少盤も手軽に聴ける良い時代なので、僕は「ブルー・ライト・ヨコハマ」から聴き返すことにする。

TEXT/フジジュン(おもしろライター)

フジジュン プロフィール:1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野だが、EBiDANなど若い男の子も大好き。笑いやバカの要素を含むバンドは大好物。

OKMusic編集部

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