Rude-α ヒップホップとJ-POPの境目
を飛び越える自由な歌、新曲「マリー
ミー」に満ちる可能性

これは、彼の未来を変える運命の1曲になるかもしれない。Rude-αの新曲「マリーミー」。沖縄生まれ、23歳、高校生RAP選手権出身、才能に溢れた若きラッパーとして熱い注目を浴びてきた彼が、初めて挑んだスローバラード、そして歌。TVドラマ『マリーミー』(ABCテレビ、テレビ朝日)主題歌になったこの曲は、結婚をテーマにした理想のラブソングとして、究極の愛と幸せを問う歌として、ヒップホップとJ-POPの境目を飛び越える自由な歌として、シンプルに“いい歌”としての大きな可能性に満ちている。相変わらずの自然体、笑顔、歯に衣着せぬ発言の裏に込めた、Rude-αのフリースピリットを受け取ってくれ。
――去年の暮れにライブを見て、Rude-αは来年はきっとすごいことになるぞと思っていたんですけどね。ライブもできないし、大変な年になっちゃいました。落ち込んだりはしてないですか。
全然。自粛になって、ツアーが中止になったことは悲しかったですけど、それまでは毎日何かあって、忙しかったんですよ。もう逃げたい!とか思っていたんで、2か月ぐらい休みになって、うれしかったですけどね。僕は仕事があってもなくてもうれしい人間なんで。
――その間に、曲は作っていた?
そうっすね、ぼちぼち。今回の曲も、自主期間に作った曲なんで。でも自粛期間だからいっぱい作ろうというわけでもなくて、ほかには作っていないです。自粛期間は何もせずにぼーっとしていました。
――もともと締め切りがないとやらない人なのかな。
この日までにやってくれって言われてやるタイプですね。“この日の何時までに出して”と言われてたら、1時間前ぐらいにパパッと作って送るんですよ。これは俺のスタンスなんですけど、最初は適当に作ると決めていて、適当にメロディつけて、ハイって送る。それぐらい気張らないでやったほうが、“いいね”ってなることが多いから。そこからふくらませて、という感じです。
――まあ、適当と言うとアレだけど、ニュアンスはわかります。
最初は適当に書きます。最初から正解を狙いにいかないです。大人の人たちと仕事して、気づいたんですよ。みんな、回数をこなしたがる。一発で終わらせないんですよ。回数をこなすことが達成感につながるんじゃないか?というのを、横から見てて思ったんで。最初から一生懸命やると疲れるんで、最初は適当で、最後だけ頑張ります。
――コツをつかんだのかな。今回の「マリーミー」はドラマのタイアップだけど、これは何曲か出した中で選ばれた曲ということ?
そうっすね。歌詞はなくて、メロディだけ書いた曲がたくさんあるんで、その中から何曲か聴いていただいて、この曲がいいということだったんで、これになりました。
――めちゃくちゃいい曲。こういうの、リード曲にしたことは今までなかった。
ないですね。普段、ラップじゃないですか。ここまでバラードに振り切った曲は初めてだったし、こんなどストレートに、こういうハッピーなヴァイブスで曲を作れたのは良かったなと思いますね。いつもは“失恋しました”みたいな曲ばっかり作ってるけど、失恋ソングに飽きたんで(笑)。しかもラップじゃなくて、歌じゃないですか。ラップはこうやれば正解だというものが、もう自分の中に感覚があるんですけど、歌は正直、まだ自分の中で見えてない部分があるんですよ。大丈夫かな?と思ったんですけど、心の中に清水翔太を憑依させて、俺の中の清水翔太が歌ってます。
――そりゃうまく歌えるわけだ(笑)。イケてますよ。こういう優しいヴァイブスのバラードができたのは、やっぱりドラマの内容が大きいですか。
そうっすね。台本も読ませていただいたし、原作のLINE漫画も読ませていただいたし、そこからイメージをふくらませていったんですけど、結婚というものをテーマにした曲は初めてだったんで。たいした恋愛もしてない奴が、よくこんな歌詞書けるなと自分で思うんですけどね(笑)。でも結婚というテーマになった時に、聴く人がどういう言葉をもらったらうれしいのかな?と思ったんですよ。やっぱり比喩表現とかを使わずに、ストレートに言ったほうがいいんだろうなと思って、ストレートに書きましたね。
――“心から愛してる”とかね。僕も現実では言ったことないし、なかなか言えない言葉だと思う。でも歌なら言える。
歌なら言えます。
――じゃあ、リリックはそんなに悩まず。
そんなに難しくはなかったです。ストレートに書きなぐっていった感じです。ここの《止まない雨の中を行こう/風が吹く夜を越えよう》のところは、適当にバッと書きました。最初はここに声を入れる予定じゃなくて、入れることになってから“え、どうしよう”って、適当なこと書きました。
――結婚式の誓いの言葉みたい。病める時も健やかなる時も…みたいな。同世代にも結婚している人はいるでしょう。23歳ならまだ早いか。
いや、地元の友達はみんな結婚してますよ。
――そうか。確かに沖縄の人は早いイメージがある。
早いっす。自分の今の年で、お父さんとお母さんは僕を生んでるんですよ。だからこの年になって、絶対結婚すると思っていたんですよ。でもしてないから、あれですね、お見合いとかしようかな。早く結婚したいです。
――ちなみに、どんなタイプがいいですか。
思いやりがある人が一番いいです。外見で可愛いなと思ったりはするんですけど、外見は良くても中身があんまりだったら、いいということにはならないから。付き合ってきたタイプの女の人も、みんなバラバラの感じなんで、俺自身、人を中身で判断しているんだろうなというのはありますね。可愛いだけは、ダメですよ。前に、福岡の、可愛いだけの女の子と付き合っていたんですけど…(以下自粛)。可愛いだけの女は怖いっす。
――説得力あるなあ(笑)。それはさておき。リリックを読むと、シワになっても白髪になってもとか、そこまでの未来を見据えていることがわかるから。外見だけのラブソングじゃないことはすぐにわかる。
そうっすね。結婚するということは、普段の恋愛とは違って、ずっと一緒にいるということじゃないですか。僕が思うのは、相手の間違いも受け入れるものだと思うし、間違いも悲しみも半分こしながら生きていくものだと思うし、老いていく姿もそうですよね。そこまで生きれるかもわからないけど、それっていいですよね。
――いいと思う。いろんな世代に響くリリックだと思う。
ほんと、今年はこの曲で、瑛人の「香水」超えたいっすよ。
――そこがライバル(笑)。でも売れる気満々なのはすごくいいと思う。それこそTikTokとかで火が付くこともあるし、曲のヒットの仕方って、昔とは変わってきているでしょう。そういうことって考えることありますか。「今の時代に、売れるために、何をすればいいんだろう?」とか。
売れるためにこうしようとか、俺は考えていないですけど。でも売れるために、こういうのがみんな好きなんじゃないかな?とか、こういうの出たらみんな喜ぶんじゃないですか?みたいな、それはありますけどね。だって、売れるために、俺がやりたくないことを我慢してやっていたら、絶対バレるじゃないですか。ファンの人が聴いて、“これ絶対大人にやらされてるでしょ”って。だから嘘はないし、売れるためにどうしようとかは思わないです。最近思ったんですけど、今いるファンの人とか、友達や家族とか、ライブに来て喜んでくれるのを見たら、たとえ今売れていなかったとしても、こういうファンの子たちに出会えたことは、それだけで満足しちゃってる自分がいるんですよ。
――ああー。なるほど。
オンラインライブを最近やった時に、たまたまLINE LIVEさんの媒体だけがトラブルで見れなくなったんですよ。俺はその時、すごく悔しかったんですけど、ほかの媒体で見ている人は関係ないから、そこはあんまり触れないでくれと言われたんですよ。でも僕としては、そこに触れずにそのままライブをしていくのは筋が違うと思ったんで、“こういうことあったけど、ごめんね”って言って、“次やる時は無料でやってやるから!”とか言っちゃった。その時俺はファンの子を裏切ってしまったと思ったんですけど、みんなから“大丈夫ですよ” ”Rudeくんが言いたいことはわかってるんで” “あやまらないでもいい”という言葉が返ってきた時に、俺がみんなを救うんじゃなくて、俺が救われていると思ったし、Rude-αという存在は俺だけじゃなくて、人がいてこそだし、みんなで作っているもんだということをあらためて実感したんで。自分が目指している、愛のある世界というか、それが徐々にできあがっていってるなとすごく思っていて、たとえ売れなかったとしても、全然人気がなかったとしても、自分が理想としている世界はすごい作れているから、良かったと思いますね。こういう感じで、音楽で生きていくことを選んですごい良かったなと最近思ってます。
――いいファンと、いいスタッフに恵まれている。
それは本当にありがたいです。頑張らないといけないと思いつつも、でも最近は、頑張ることをやめたんですよ。『刃牙』(グラップラー刃牙シリーズ)を読んでいて、“努力する者が楽しむ者に勝てるワケがない”というセリフがあって、それ見た瞬間に絶対そうだと思って、そこからは頑張るのをやめたっす。遊んでますね、ずっと。“仕事”だからとも思わなくなって、遊びっす。
――それって最初に言った曲作りの話と同じでしょう。最初は適当にやるという。
そうっすね。会社の人たちとしゃべってる時も、どこまでやったら怒られるんだろう?っていうのを探るんですよ。それがわかったら、徐々に怒られない範囲を広げていく(笑)。“今日はここまで大丈夫だった”とか、だんだん上げていって、みんなの俺に怒らないキャパがだんだん広がっていく。
――頭いいなあ。でも真面目な話、それって大事だと思う、アーティストは自由にやってなんぼだから。
ケンカになる時もあるんですけどね。一緒に曲を作っている人と、“こんなのいいわけないっしょ”とか、“こうやったら売れるとか、ないですよ”とか、最初はケンカしましたけど、最近はもうなくなったですね。
――今回の曲作りチームとは、なごやかにやれた感じ?
もう、めっちゃピースな感じです。昔は多かったですけどね。10代だったし、若かったから。今はそこまでのことはないです。
――「マリーミー」のアウトロに、ゴスペルっぽいコーラスとクラップが入るでしょう。あそこがすごく好き。あれは誰のアイディア?
あれは(作曲を共作した)SUNHEEさんが、“こういうのどう?”って。最後にあれを切るか残すか、迷ったんですけど、俺は絶対残したほうがいいと思ったんですね。ドラマの主題歌だから、たぶんエンディングとかにも使われるだろうから、それも考えていつもより長めにしたほうがいいと思ったんで。最後のクラップのところ、あそこが一番結婚式っぽくていいですよね。画が見えますもんね。
――ライブでもみんなやってくれるだろうし。
そうっすね。
――それと、今回、ミュージックビデオが相当楽しいことになっていると聞いてます。ドラマ『マリーミー』の主役の二人が出てくれてるんでしょう?
そうっすね。でも二人が画になりすぎてて、このミュージックビデオ、俺いらないんちゃう?って思いながら撮影してました。
――まだ制作途中なので、見てないんだけども。どんな感じですか。
僕もまだ完成形を見ていないんですけど。とにかく言えるのは、久間田琳加がマジで可愛い。
――あはは。間違いない。
インタビューでいろいろ聞かれるじゃないですか。「マリーミー」はどういう曲ですか?」とか。俺の中には、めちゃくちゃいろんな思いがあったんですよ。“こういう意図からこういう曲になって”とか、いろいろ思いはあったんですけど、久間田琳加に会った瞬間に全部忘れて、“久間田琳加可愛い”しか考えれんくなった。撮影した日も、ドラマで会った日も、帰り道で検索してずっと久間田琳加の画像を見てました。めっちゃ好きです。でもプライベートでは会いたくないです。
――あはは。なんで。
夢が夢のままでいてほしいから。撮影で会った時も、久間田さんが“オンラインライブ、見ました”とかいう感じで話しかけてきてくれて、いやーもう見ないでください、目も合わせないでください、僕に絡まないでください、みたいな感じでした。近づいたら、心がもたないっす。あんなの好きになったらダメだ!って、目も合わせたくないし口も聞きたくないっす。
――そこまで言わんでも。
インスタをフォローされてるんですけど、外してほしいっす。
――意味がわからない(笑)。でも、ルードくんの性格がなんとなくわかってきましたよ。じゃあ最後に、ちょっと真面目な話で締めたいと思います。ラッパーってやっぱり、未だに先入観があったりするじゃないですか。いかつい感じとか、攻撃的とか。でもルードくんは、こうして話してもいても自然体だし、自由に泳いでる。ジャンルも関係なさそうだし。
関係ないですね。ジャンルも関係ないし、性別も国籍も、言語も関係ないです。だって、思うんですよね、みんないつか死ぬのに、ジャンル分けとかいらないじゃないですか。
――「マリーミー」みたいな曲を聴くと、ラッパーと思わない人もいると思うんですよ。それでも全然OK?
全然OKっす。こういう曲を出すと、このポップス野郎が、みたいなことを言われるんですけど、お前は初めから俺の何を聴いていたの?と思っていて、“初めからポップス野郎なんですけど?”って言います。お前、そんなこと言ったら、子供の頃にGReeeeNとかファンキーモンキーベイビーズとかを聴いてぶち上っただろ?って思うし、俺は初めからポップス野郎だし。あと、“このアイドルが”みたいなことを言われたとしても、実際言う奴いるんですけど、どう考えても俺はアイドルだよと思ってるんですよ。俺、沢田研二、好きなんですけど、沢田研二ってずっとアイドルじゃないですか。ああいう感じがむっちゃ好きで、というか、普通にファンの人がいて、ライブを見に来てくれてる時点で、ラッパーとか関係なく、たぶんアイドルなんですよみんな。
――なるほどね。
好きな人がいて集まってくれる、そこに何の違いがあるんだよ?って正直思うし、だからアイドルとか言われたとしても、“アイドルですけど?”って言うし、お前何見てるの?って思う。俺、アイドルです。
――いいね。かっけー。
海外のラッパーなんてみんなアイドルですよ。それでいいんですよね。いろいろヒップホップを語る人もいますけど、もともと俺の街は琉球民謡かヒップホップしか流れない街だし。絶対俺は、お前より殴られた数が多いし、ヒップホップを語る奴は、高校生になってからXLのシャツを着たかもしれないけど、俺は4歳から腰パンなんで。って感じです。
――そうか。もともとそういう環境で育ってきたのか。
そうなんですよ。カルチャーに憧れたとかじゃなくて、日常茶飯事だったんですよ。目の前で黒人がケンカしてたり、ぶかぶかのTシャツを着たり、日常茶飯事だから。だからヒップホップももちろん好きですし、でもポップスも好きですし、いろんな音楽が好きなので。今後もジャンルを飛び越えるというか、好きにやるんでほっといてくださいって感じ(笑)。
――あはは。それいい。
うるさいですよね、YouTubeのコメント欄とかね。でも人に文句言ってくる奴が、かっこいいわけないじゃないですか。だから相手にもしないし、そういうヘイターみたいな奴って目の前に現れたことないし、現れたら“お前、ふざけんなよ”って言ってやりますよ。今までそんな感じじゃなかったんですけど、今なら言いますね。さっき、仕事も遊びになったって言ったじゃないですか。そこからは自分のことを、人に見られる仕事だからとか、メジャーアーティストだからとか、そんな堅苦しくしなくていいやと思った瞬間に、楽になったんですよね。僕のことを嫌いな人も中にはいると思うんですけど、絶対俺と遊んだら楽しいと思うんですけどね。どうせいつか死ぬんだし、遊びたいですよね。
取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希

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