『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第四十三回 -
「ストーリー・オブ・マイライフ
/わたしの若草物語」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:みねこ美根

「思い出を胸に我が人生を選ぶ(2019年「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(Little Women)」)」

紅茶を入れたコップを持って走ったらこぼした。そりゃそうだ。半分になった紅茶にミルクを入れてミルクティーにして飲んでいたが、今しがたそこへ万年筆を落とした。今は入れ直した紅茶風味のほぼミルクを飲んでます。人生は選択と出会い(遠い目)。

さて、今回はそんな選択と出会いを美しく描いた映画です。久しぶりに最近の作品。
紹介するのは「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」という2019年公開のグレタ・ガーウィグ監督作品だ。邦題がびっくり長いが、原題は「Little Women」つまり「若草物語」だ。

映画を見るときによぎる“見るのを躊躇する2大要因”として、「原作を知らないからついていけないかも」「予告や宣伝だと微妙そう」というのがある(少なくとも私には)。まずはそれを解消したい。

まず一つ目「原作を知らない」について、恥ずかしながら、私は「若草物語」をちゃんと読んだことがなく、小さいころ絵本版を眺めた程度、大まかなあらすじもうろ覚え状態で見た。これを踏まえて伝えたいのが、ほぼほぼ知らなくても、十分に楽しめるということ!そして見終えて改めて原作と著者のオルコットについて調べたとき、この映画の脚色や構成がとても素晴らしいものだったことに再度感嘆する。これからちゃんと原作も読むつもりです。

次に「予告や宣伝だと微妙そう」。まず押さえておきたいのはテレビの宣伝や予告、誰かのレビュー(あなたが今読んでいるものも含め)は、個人の勝手な解釈であって、実際のところ「自分で観ないとわからない」ということだ。つまり解消する術は「観ろ!」(これは自分にも言い聞かせています)。

本作の場合、「女性の生き方とは」とか「結婚だけがすべてじゃない」といったテーマでメディアにも取り上げられていた。これを聞いて正直、人生の良し悪しを評されるような押しつけがありそうで嫌だなと思った。しかしながら本作は私の勝手な予想に反して、いろんな生き方を尊重する素晴らしい映画だった。もちろんその時代の“あたりまえ”というものが存在し、それによって違和感やもどかしさを感じながらも、その時代を懸命に生きる彼女たち4姉妹が「進む道」を“選択”する。それが描かれているに過ぎない。それが良かった。(今の時代を生きる私たちは、何に違和感やもどかしさを感じ、何を選ぶだろうか。)やっぱり観てみなきゃ分からないから、躊躇せずもっと観なさい、私。
…前置きが長くなってしまった!魅力をどんどん書いていきます。まず、俳優陣。それぞれの性格や抱えているもの、こらえる涙、愛する者を見つめるまなざし。映画の時系列が、ジョーがニューヨークから帰ってくる時系列と、4姉妹がにぎやかに暮らす少女時代とを行き来するのだが、この演じ分けが物凄い。特に末っ子エイミー(最後まで三女だと間違えてた…)。大人になってからは落ち着いた淑女となって貫禄さえ感じるが、泣きそうなときにへの字になる口が変わってないのが可愛い。
私が一番心寄せたのは、ジョーだった。小説家志望の彼女が、作品を批判されたときに怒って突っぱねるシーンは、自分かと思った。ましてやジョーの場合、自分の意思に反して大衆小説を書いていたわけで、やるせなくて怒ってしまうのも仕方ないよなと思った。「誰も私の作品を待っていないわ」と小説を書かなくなったジョーに、三女のベスが「私のために書いて。人のために書くのよ」というシーンもグッときた。そして「今は愛するより愛されたいの」というジョーに、母親が「それは愛じゃないわ」と答えるシーン。ジョーの「女性には心だけじゃなくて知性も魂もある。美しさだけじゃなく野心も才能もある。世間の人が言うように結婚だけが女の幸せなんて絶対に思わない、なのに、たまらなく寂しい」というセリフが、だぁっ…分かるなぁ…としみじみぶっ刺さった。今年一のセリフかも。
姉妹間の関係性、抱く想いも共感の嵐だった。私は二人姉妹だが、喧嘩のどうしようもなくなる感じとか、何で彼女はうまくやるんだろうかとうらやんだり、一方で自分だけ良い思いをしてるんじゃないかと後ろめたく感じたりするような、ならではの気持ちに共感した。

本作では主にジョーが描かれるが、それぞれの姉妹たちにもフォーカスするバランスがこれまた素晴らしい。メグの優しさと誇り。予告で「結婚が幸せと信じる長女」と紹介されていたので私は一言言いたい。別に信じてても良いじゃん!これは、メグの選択。選択に良し悪しはない。エイミーの「お金が幸せと信じる四女」ていうのにも疑問を抱いた。彼女が感じる女性としてのもどかしさ、彼女が何故お金持ちと結婚しなきゃと思ったのか、それが分かるのが大伯母とのあのシーンだと思うのだが、あなたはどう思うかぜひ確かめて欲しい。三女ベスと、亡くした娘とベスを重ねるミスターローレンスとの交流も印象的。病気を患いながら、優しく、思いやりのある彼女のシーンの静寂が全てを語っている。
全体の色合いとして、決して悲観的ではないから、軽い気持ちで見始めて良いと思う。最後には思ってもみなかったほどの豊かな気持ちになるはず。暖かく騒がしいLittle Women(4姉妹)やローリー、楽しいシーンは声を出して笑った。笑うのと同じくらい号泣もした。良い涙だった。人生ってなんて難しいんだろうと思った後の、温かい団らんのシーンは、希望を感じさせ、温もりに深みが増す。あと衣装も超素敵です。目も癒される。

前述した時間構成も本作をより素晴らしいものにしている。過去の思い出が1ページ、1ページ紡がれる。賑やかで美しくもどかしく、乗り越えてきた過去、積み重ねられた物語。ラストが本当に秀逸。あなたはどう思うだろうか。ここで私たちの潜在意識への問いかけと皮肉が軽やかに為される。彼女たちの選択、ひいては人の選択に干渉するのはナンセンスで、良し悪しはない。自分自身が生きたい道をしっかり歩むことが、今できる一番のことだと知る。

今月は私の誕生月でもあるので、気持ち新たに、そして確実に、生きたい道を進みたい。選択の先に私で良かったと思える人生にしたい。
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モチーフ:若草物語の本、ジョーの書き物机(原稿、ベスへの文章を書き留めたノート、インク壺2つ、ろうそく、ペン)、海岸で上げた凧、メグが買ってしまった緑の生地、メグの結婚式の花冠、ローレンス邸のピアノ、ベスの人形、エイミーの絵とイーゼル、エイミーが描いたローリー、四姉妹のクラブのパイプと鍵、ジョーに送られた手紙付きのシェイクスピアの本
音楽:「Theatre in the Attic」Alexandre Desplat オルゴールver.cover
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みねこ美根
11月10日よりタワーレコード下記店舗にてalbum『心火を従えて愈々(いよいよ)』の取り扱いがきまりました。記念してステッカーを特別に作って得点にしました。是非お買い求め下さい。
渋谷店・新宿店・大高店・梅田NU茶屋町店・横浜ビブレ店・オンライン https://tower.jp

LIVE 活動ですが配信ライブを中心に少しずつ有観客ライブも始まりました。是非配信ライブ、有観客ライブへの参加お待ちしております。詳しくはTwitterでお知らせしています。https://twitter.com/me_chat_3ne

ホームページがリニューアルしております。よかったらご覧ください。
https://powerpop.co.jp/minekomine/
みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2019年1月リリースの配信EP『心火を従えて愈々』で楽曲のクオリティの高さ、世界観が注目を集め始める。サウンドプロデュースを手がける誠屋の小名川高弘氏とともに日々楽曲を制作しており、21年3月に自主制作アルバム『avant-titleⅡ』を発売。4月には「さよなら起承転結」、6月には「我にかえれ」を配信シングルとしてリリースした。みねこ美根 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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