コロナ禍に負けない心を! 今こそ聴きたいパティ・スミス作品5選

コロナ禍に負けない心を! 今こそ聴きたいパティ・スミス作品5選

コロナ禍に負けない心を! 
今こそ聴きたい
パティ・スミス作品5選

パティ・スミスを初めて観たのは2001年の『フジロック』。グリーンステージに立ち、バンドとともに放つパンクの女王の圧倒的なエネルギーとロッカーとしてのみならず、同性としても見惚れたパフォーマンスに感激し、虜になりました。デビューアルバム『Horses』リリースから45年、レッチリのフリーやR.E.M.のマイケル・スタイプをはじめ、多くのアーティストやロック史に影響を及ぼし続ける「今こそ聴きたいパティ・スミス作品5選」をご紹介します。
「Gloria」収録アルバム『Horses』/Patti Smith
「People Have The Power」収録アルバム『Dream of Life』/Patti Smith
「Dream of Life」収録アルバム『Dream of Life』/Patti Smith
「Because the Night」収録シングル「Because the Night」/Patti Smith
「Rock N Roll Nigger」収録アルバム『EASTER』/Patti Smith

「Gloria」(’75)/Patti Smith

「Gloria」収録アルバム『Horses』/Patti Smith

「Gloria」収録アルバム『Horses』/Patti Smith

冒頭にも書いた通り、45年前の11月10日はロック史に残る名盤『Horses』がリリースされた日です。そのオープニングを飾った作品がこの「グロリア」でした。元はヴァン・モリソンのオリジナルですが、ピアノと《Jesus died for somebody’s sins, but not mine.(神は誰かの罪のために死んだ。しかしそれは私のものではなかった)》という彼女の歌詞の中で最も有名な言葉で始まるこちらバージョンによってこの作品が世の中に浸透したのは疑いようのない事実。リリース当時、過去のスタイルにはなかった手法や表現は斬新なものとして受け入れられ、同時に彼女のアイデンティティーを明示した彼女を象徴するデビューアルバムとなりました。当時を知らない世代である私にとっても大切な作品です。

「People Have The Power」(’88)
/Patti Smith

「People Have The Power」収録アルバム『Dream of Life』/Patti Smith

「People Have The Power」収録アルバム『Dream of Life』/Patti Smith

難局に立ち向かう時、或いは運命を変えるような大きな変化を迫られている時などに、キーワード的に聴かれる重要な音楽作品のひとつがこの「ピープル・ハヴ・ザ・パワー」です。その理由は人々の心を奮い起こす楽曲のパワフルさです。アメリカ大統領選挙中もそうでしたが大きな局面で団結を求められる際、自分や他の人々の持つ力を信じてみようと思わせるパワーが宿るこの作品は、今から32年前にリリースされました。結婚を機にアーティスト活動から離れていましたが、この作品を収録したアルバム『Dream of Life』で復帰し、そのリードシングルとして発表されたのがこの曲でした。コロナ禍の今も、慈しみの精神の尊さ、勇気、希望、そして力を人々に与え続けています。

「Dream of Life」(’88)
/Patti Smith

「Dream of Life」収録アルバム『Dream of Life』/Patti Smith

「Dream of Life」収録アルバム『Dream of Life』/Patti Smith

「ピープル・ハヴ・ザ・パワー」と同じく、アルバム『Dream of Life』に収録された作品です。アルバムと同タイトルの作品であること、そしてまた、リリースから20年後となる2008年には写真家でもある監督スティーヴン・セブリングが11年にも長きに渡って密着し、制作したドキュメンタリー映画のタイトルにも据えられたことからも、彼女にとって重要な作品であることは間違いないでしょう。結婚し、母となり、9年もの長い間沈黙した末に突如リリースした復帰作において、パンクの女王と呼ばれたパティ・スミスが、《In a life of dream am I/When I’m with you》とストレートに歌うのを、同じくひとりの女性として、母として、美しく素敵な表現者であると心の底から思っています。

「Because the Night」(’78)
/Patti Smith

「Because the Night」収録シングル「Because the Night」/Patti Smith

「Because the Night」収録シングル「Because the Night」/Patti Smith

言わずと知れたパティ・スミスの代表作「ビコーズ・ザ・ナイト」。ブルース・スプリングスティーンが完成できずにいたこの曲のデモテープが共通のエンジニアの発案によってパティ・スミスの手へと渡り、自作のみで作品作りをしたいという考えを持っていたので受け取った当初は乗り気でなかった彼女がふと空いた時間に聴き、心を奪われ、改めて作詞したという70年代ロック史を代表する名曲の誕生秘話がなんともいいのです。2009年にマディソン・スクエア・ガーデンで行なわれたロックの殿堂25周年記念コンサートでは作者のふたりとU2のボノがこの曲を披露して話題になりました。彼女が歌うラブソングは一途で強いもの。ライヴで聴けると嬉しい一曲です。

「Rock N Roll Nigger」(’78)
/Patti Smith

「Rock N Roll Nigger」収録アルバム『EASTER』/Patti Smith

「Rock N Roll Nigger」収録アルバム『EASTER』/Patti Smith

映画『Natural Born Killers』(’94)で耳にした人も多いこの作品はそのアップテンポな痛快サウンドよりもタイトルに使われた「ニガー」という言葉に注目されがちです。それについてパティ・スミスは人種差別的なものとして認識されているこの言葉に「アウトロー」や「反逆者」という新たな意味を持たせ、自分自身を「ニガー」と表現したと明言しています。95年にこの曲をカバーしたマリリン・マンソンは「この曲は人種差別を歌っているんじゃない。君たち自身が立ち上がることについて歌われているんだ」と言及し、自身もロック界のアウトローであると発言した過去も。彼らアメリカ人の抱える問題とするのではなく、自身の問題に置き換えて聴くとふたりの発言の意図が見えてきます。

TEXT/早乙女’dorami’ゆうこ

早乙女’dorami’ゆうこ プロフィール:栃木県佐野市出身。音楽を軸に、コンサート制作アシスタント通訳、音楽プロモーション、海外情報リサーチ、アニメや人形劇の英語監修及び翻訳、音楽情報ウェブサイト等で執筆するなどの業務を担うパラレルワーカー。

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