Eins:Vierが傑作と自負する
『Risk』に刻まれた
ライヴを重ね熟成した
バンドアンサンブルの妙味

デビュー当時からシーンで異彩を放つ

さて、そのアルバム『Risk』とはどういう作品であったのか。(1)ライヴを積み重ねた末のアルバムである。(2)勢いがある。(3)セルフプロデュースで自由にやれた。メンバー自身がそう言っているのだから、この(1)~(3)が『Risk』の背景であり、特徴であろう。それ以上をこちらが語るのも野暮な感じだが、彼らがどんな音楽性であるのかが分からないと雲を掴むようなものであろうから、ここはEins:Vierというバンドそのものの特徴を語ったほうがよかろう。

これもまた、先日行なった新作『five sights』のインタビュー時に直接メンバーに訊いている。すでにサイトにアップされているインタビューでは、Hirofumiが“昔はよく“透明感のあるサウンド”とか“好き嫌いが分かれる歌声”みたいなことを言われていた”と話し、クリアートーンと、彼曰く“歌のアクの強さ”がバンドの特徴だと語ってくれているが、実はこの時、さらに突っ込んで訊いている。新作『five sights』とはほとんどかかわりがない件であったため、その箇所は割愛したが、Eins:Vierの特徴と結成当時の彼らを取り巻く状況がよく分かるので、その未公開部分から気になった台詞を抜粋しつつ、以下でまとめてみた。

“1990年の結成時に“こういうバンドにしよう”という話は何かあったんですか?”とストレートに尋ねてみた。すると“バンド名で出てきてたのはThe CureとThe Smithsです”とLuna。そして、“初めは完全にそういう、ニューウェイブを経て売れた人たちのことが俺らはすごく好きやったから、そういう人らの音楽をよく聴いてたし、そういうものを目指そうと。そういう存在になれるようにというのは結構初めからあったから”とHirofumiがLunaの答えを補足してくれた。とても端的で分かりやすい説明だと思う。Eins:VierはUKのポストパンクをルーツに持つバンドである。その辺は『Risk』に限らず、彼らの音源を聴けば明白で、それこそ最新作『five sights』にしても未だそのトーンを残す。

個人的に興味深いと思うのは、そうしたバンドが関西のHR/HMシーンから出てきたことである。まぁ、そこを“なぜ?”と問われたところで、メンバー全員がEins:Vier結成以前から関西HR/HMシーンの渦中にあったライヴハウスにかかわっていたから…というシンプルな理由しかないのであって、メンバー自身はバンドの出自については何とも言いようがない雰囲気で苦笑いしていたのだけど、周囲との差異ははっきりと感じ取っていたようだ。Hirofumiが語ってくれた。“とにかく浮いてた(苦笑)。だんだんとビジュアル系──当時はそんな言われ方はしていなかったですけど、お化粧している、ちょっとダークなバンドというムーブメントが出てきて、それがいずれビジュアル系になって、そこで括られるのも“何か違うな”という感じもありつつ(笑)”。そう、ここもまた興味深い点である。X(現:X JAPAN)の出現以降、徐々に、そして何となく“ビジュアル系”なるカテゴリが形成され、そこにHR/ HMも、さらにはパンクも吸収されていったようなところがあるけれども、たまたま関西HR/ HMシーンにかかわっていたEins:Vierも好む好まざるは関係なく、そこに身を投じていくことになったのである。

OKMusic編集部

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