10周年の新しい音楽と変わらない信念
を掲げ、ガルニデ新章開幕 『GARNi
DELiA『起死回生』Premiam Release
Live』レポート

2020.11.29(Sun)『GARNiDELiA『起死回生』Premiam Release Live』 @Billboard Live YOKOHAMA
2020年11月29日(日)、『GARNiDELiA『起死回生』Premiam Release Live』が、Billboard Live YOKOHAMA(ビルボードライブ横浜)にて開催された。GARNiDELiAの約2年ぶりとなるフルアルバム「起死回生」が、11月25日(水)にリリースされたことを記念しての開催となる。また有観客でのライブとしては、1月25日(土)に昭和女子大学人見記念講堂にて開催された10周年のツアー開幕ライブから10カ月ぶりだ。
久々の有観客とはいえ、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、会場入口にて検温実施やマスクの着用、客席の最前列は会場内での声出し禁止など各種レギュレーションが設けられた上での開催となった。
しかし今回が、記念すべき新アルバムの華やかなお披露目の場として、また10周年を迎えたガルニデの新章開幕として相応しい場になったのは間違いない。その、静かながらも沸き立つ興奮と、そして生の熱気に満ち溢れた、リアルなライブの模様をお伝えしていく。なお今回は、16:00開演の<1st Stage>の模様をお送りする。

衣装にはアルバムジャケットからの「改良」も。拍手が観客の叫びとなり、会場に響き渡る
ライブ開始のジングルと共に、暗転したステージへまず現れたのは、ギター・梶原健生、ベース・セキタヒロシ、ドラム・早川 誠一郎というサポートのバンドメンバーだ。ガルニデの2人の姿は見えないと思っていると、なんと彼らは客席側から登場した。
観客に向かって手を振りながらステージへ向かう2人は、アルバムのジャケットにあった衣装に近い装いだ。ゴールドのマントをひるがえすtoku、一方メイリアは先の尖ったかんざしの代わりにふんわりとしたベールを頭にのせているなど、ライブ用に動きやすく「改良」されたところもある。客席は、本来ならば生の彼らに会えた喜びの声で満ち溢れているところだが、レギュレーションに従って声は出ない。ただ、代わりに大きな拍手が起こり、それが観客の心の叫びを表しているかのようだった。
撮影:中田智章
1曲目はアルバムのリード曲「起死回生」からスタート。メイリアが両手を叩いて客席へ手拍子を促すと、曲の冒頭からすでに会場は観客の拍手で一体となった。続いてダンサーのMIKI、REINAをステージに呼び込み、2曲目の「IDENtity」、3曲目の「Light your heart up」を披露。観客の声は無くても、手拍子が徐々に高まり、客席の熱を伝えていく。中にはステージに向かって手を差し伸べる人、感極まって天に手を伸ばす人もいる。これが、これこそが生のライブの光景だ。ファンそれぞれが思い思いに全力で感情を表現していく姿にも、胸が震える。
3曲が終わって、一旦ステージが暗転し、静寂に包まれる。MCパートで、メイリアの元気な「皆さんこんばんは、GARNiDELiAです」の声に、ふたたび拍手で会場は沸き立った。相変わらず観客からの言葉は無いと思いきや、ホワイトボードなどを掲げ、「泣いた」「tokuさんかわいい」「メイリア最高」と文字で伝えるファンも。「新しいスタイルだね」とメイリアは驚き、喜ぶ。そして「みんなの顔が見えて、表情がわかるということは、とても嬉しいことだ」と言うtoku。これまで無観客での配信ライブを重ねてきたからこそ、その言葉はじんわり重く、感慨深い。
続く4曲目には、「皆と会えない間も、何とかできないものかと葛藤しながら書いた曲です」とのメイリアの紹介で、「Beyond the sky」が披露された。そのタイトルにも相応しく、空のように青い照明で包まれるステージ。2階席では、その色に合わせて青のサイリウムが揺れていた。5曲目は、打って変わってステージは赤く染まり、「怪物の夢」を披露。美しくも痛烈で、ドラマチックなメイリアの歌声が会場を包んだ。
再びMCを挟み、6曲目には10月の「ガルニデハロパ」も大いに盛り上げた「Secret Party」を、再びダンサー2人をステージに招いて歌い、踊る。恐ろしくもチャーミングな、メイリア・MIKI・REINAの3人のゾンビダンスに、観客からも大きな拍手が湧き起こった。
トークパートで貴重な楽曲制作の裏側を公開。「皆を引っ張っていきたいから、どんどん強い言葉が出てきた」
トークパートでは、アルバム「起死回生」の全11曲についての制作秘話が、メイリアとtoku2人の対談で語られた。
まずリード曲のタイトルでもある「起死回生」という言葉は、メイリア自身にふっと湧いてきたワードをそのまま採用したのだと言う。「会社が変わり、ツアーもコロナで飛んじゃって、みんなを不安にさせている間が多かった。初めて自分たちで一歩飛び出して送る1枚だから、強い言葉じゃないとみんなを安心させることはできない」と、そんな思いがメイリアから語られる。
続いて「IDENtity」は、実は最後に制作された楽曲であり、しかも歌録り前日の18時にようやくtokuから楽曲ができあがったという。楽曲のコンセプトについては事前にしっかり話し合われていたというものの、残りわずかな時間でメイリアが作詞を担当。「無責任なHATEなんかじゃ 私は殺せはしない」など、この曲にも強いワードが降ってきたのだという。「日々思っていることだから。この曲を聴いている間だけでも強くなれたらと思う」
また「皆を引っ張っていきたい」という思いから作られた3曲目の「Light your heart up」も。そしてステイホーム期間中の「誰とも会えない孤独に対する葛藤」を歌詞に書いたという4曲目の「Beyond the sky」も。これら前半の4曲は、どれもライブで会えないファンたちのことを考えて作った楽曲なのだそう。
撮影:中田智章
そして、tokuが「コードの展開が速い感じの、みんなが好きになる曲だと思う」と自信を語った「怪物の夢」。これまでの「踊っちゃってみた」シリーズのテイストを受け継ぎ新たに生まれた「宵闇胡蝶」。tokuから送られてきた曲を選ぶ段階で「この曲だけは絶対に入れる」とメイリアが選んだ「Never ever」。など、など。どれをとっても不出来な曲はない。2人から一つひとつの思いを聴くにつれ、その願いや祈りが一層、胸に沁み渡っていく。
「BPMの速い曲とかも作ってみたけど、この時代はこうじゃないな、と。わりとミディアム、スローめの曲が多かった」とアルバム全体を振り返って語るtoku。「全曲好きですよ。1番決められない」とメイリア。「自画自賛アーティストじゃん」と本人たちは笑いながら言うが、本当に彼らが最高だと思って作ったものを、こうして生のライブステージで聴けるというこの状況を、馬鹿らしく思う者は誰もいない。皆の心からの喜びに包まれながら、ライブは後半へと進んでいく。
遠くへ旅立ってしまった仲間へ捧ぐ一曲に、観客は涙。「踊っちゃってみた」シリーズ定番曲も披露
7曲目は、「踊っちゃってみた」シリーズ最新作の「宵闇胡蝶」が、ダンサーMIKI・REINA の2人を再び招いて披露された。フラメンコのように手を叩く動きや、蝶のように舞い上がる動きも。蠱惑的(こわくてき)とも呼べそうな、より上品で大人なダンスだ。続いて8曲目は、今回のアルバム曲ではないが、「踊っちゃってみた」シリーズの定番「極楽浄土」までも披露され、客席も大いに盛り上がる。2つの「踊っちゃってみた」シリーズが続けて披露されると、やはりそれぞれの違いが一層引き立つ。華やかさと、妖艶さと。どちらの曲もそれぞれを兼ね揃えているが、まったく別の曲で、それぞれが美しい。
ダンサーたちが去り、9曲目は「Never ever」を披露。いきなりしっとりとした雰囲気に、観客も皆、動きを止めて真剣に楽曲に聴き入る。悲しく切ない失恋の曲だが、メイリアの声は伸びやかに、会場いっぱいに広がっていく。悲痛な声でもなく、泣き叫ぶような声とも違う。ただ、力強さを感じる歌声だ。
歌い終わって、椅子に座るメイリア。「すごいセトリで温度差感じてない?」とMCを挟んで、続いて10曲目の「タカラモノ」について語った。先ほどのトークパートでは、「ロボットと博士の物語で、どこかの星にただ一体とり残されたロボットの気持ちを歌った」と語られていたが、もう一つのテーマがここで明かされる。それは、「今年、大切な仲間が遠くに旅立ってしまった」こと、また他にも何人もが遠く離れ、「お別れについて考えることが自分の中で多くなって、その旅立った人へ、自分の中で導き出した想いをのせました」ということだ。
MCの終わりでは、その声は震えているようでもあった。泣き出してしまうのではないかと思えたが、曲が始まると、変わらず真っ直ぐな声で、途中には何度か天を仰ぎ見るような瞬間もあったが、声は震えずしっかり歌い上げる。この華々しいリリースライブの舞台に、涙は似合わない。プロ意識ゆえか、彼女自身の強さゆえか、しっかり歌い上げる様を、観客全員が真剣に聴き入っていた。「メイリアが泣かないのであれば、せめて私が」と代わりに泣いたファンも多かったのではないか。筆者自身にとっても、これがこのライブの中で一番胸が震えたシーンだった。
撮影:中田智章
そして、それらの思いもすべて天に昇華するように、アルバム最後の曲「LoveLifeLogic」が11曲目に披露される。トークパートで語られた話によると、制作に当たっては初めてtokuとメイリアの思い描いたテーマが一致した楽曲だったという。子どもたちのコーラス隊の声がサンプリングされた曲の間奏で、メイリアは椅子から立ち上がり、そしてまた歌う。讃美歌のように美しく雄大な音楽で、また会場が一つに包み込まれた。そこにいた誰もが、いま生きているこの瞬間のことを嬉しく思ったハズだ。曲の終わりでは、メイリアが祈りを捧げるように、スッと前へ手を差し伸べる。金をあしらった衣装も相まって、ほんとうに、聖母のようでもあった。
「すっごく幸せでした」ステージメンバー全員のソーシャルカーテンコールで終幕。そして、次の舞台へ
ステージは暗転。照明がともり、最後のMCを挟み、ラスト1曲として「star trail」が披露された。本来は10周年のツアータイトルとして観客との全員合唱を想定して作られたこの曲。しかしこの日は新型コロナ対策のレギュレーションに従い、「心の中で歌ってください」とメイリアが呼びかけ、観客全員が手拍子で応じた。
この曲は8月の配信ライブ『東京紅夜』で初披露された。しかし有観客で披露されるのは今回こそが初めてであり、またぜんぜん違う一曲として、聴く人々の耳に残ったことだろう。観客一人ひとりを見、手を振ったり、指差したりしながら歌うメイリア。それに手を振り返しながら、「こっちを見てくれた」「笑ってくれた」という歓喜の声が客席からも聞こえてきそうな、喜びに満ちたステージだった。間奏ではメイリアも大きく拍手し、観客の熱に応える。また曲の終盤では、ダンサーらがライブ開始時のガルニデ2人と同じように客席を歩いてきて、ステージの上でライブのメンバー全員が集結した。
「すっごく幸せでした」と叫ぶメイリア。最後はステージメンバー全員で距離を保ちつつ手をつなぎあったような陣形でお辞儀をする「ソーシャルカーテンコール」が行われ、舞台の幕が閉じる。いつも通りとはいかないが、ようやくここまでたどり着くことができた。あともう少し、という希望を感じさせてくれるライブだった。
撮影:中田智章
これまでの配信ライブも、そして世界がコロナ禍に包まれる前に行われたホールライブも、常に最高のものを届けてきていたガルニデ。メイリア自身のツイートにもあるように、アルバム「起死回生」では、これまでのガルニデを「壊す」ような、まったく新しい挑戦もふんだんに盛り込まれていた。しかし音楽は新しくなり、彼らの創る世界観が広がっても、常に歩みを止めないで前へ前へと進んでいくその姿勢は、まったく変わっていないように思う。最高は、次々にぬり替えられていく。
10年もやってきたから、コロナ禍だから一度休む、ではなく、ひたすら前に進み続けてきた彼ら。そしてライブ後の、「幸せだった」というメイリアのツイートにも、「会えてよかった」「行けてよかった」というファンのリプライが殺到している。そんな彼らだからこそ、ファンたちも今まで耐えて、耐えて、こうして付いてきたのだ。
もちろん、「今回は行けませんでした」という方、またストリーミング配信のみで楽しんだ方も大勢いる。だが安心して欲しい。年明け1月からは、いよいよ延期されていた全国ツアーが再開となる。年が明けても、まだまだコロナ禍以前の日常は戻ってこないかもしれない。しかし、今も絶望に打ちひしがれている人がいれば、確実に世界は希望へと進み出していることを、ガルニデのアルバムを聴いて気づいてほしい。全11曲、必ずどれか心震わす1曲が見つかるはずだ。
また、この日のライブは12月7日(月)までアーカイブを視聴可能だ。
撮影:中田智章
まだまだ、アルバムをリピートし足りない。何度でも聴いて心を強くし、また次の最高に出会う旅へ足を踏み出そう。
取材・文:平原 学 撮影:中田智章

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