SCANDAL、2020年の四季をプロジェク
ションマッピング演出により取り戻し
た一夜 “NAKED,INC”との初コラボ
ライブをレポート

SCANDALSEASONS」collaborated with NAKED

2020.12.24 豊洲PIT
2020年初頭より、世界中が新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けることとなった。人を集めることが大前提であったライブエンターテイメントは大きな進路変更を余儀なくされ、様々なアーティストのライブツアーやイベントがキャンセルされた。SCANDALも他の多くのアーティストと同じように、2020年3月から予定されていた国内ツアー19本、海外ツアー12本の全てを中止・延期せざるを得なくなった。いつまでも情勢回復の見込みが見えない中、幻となってしまった『SCANDAL TOUR 2020 “Kiss from the darkness”』を、2020年8月21日のバンド結成記念日に1夜限りで再現し、無観客のコンサートホールから全世界への配信という形で届けるとともに、ファンとの再会を誓った。
ピンと張り詰めたまま過ごした2020年。そんな1年が締め括られる間際の12月24日、場所は東京・豊洲PIT。SCANDALにとっては2019年12月24日に開催された『BEST★Xmas 2019』以来、ちょうど1年ぶりとなる有観客ライブが開催された。日程こそ恒例の12月24日ではあるが、忘年会的要素が詰め込まれたいつもの『BEST★Xmas』シリーズではなく、今回は「この1年、味わうことができなかった春夏秋冬を取り戻す」という、2020年だからこそ表現できるライブであることが事前にアナウンスされていた。そんな特別なライブ当日の様子をレポートしていこうと思う。
SCANDAL
当日はクリスマスイブとは思えない暖かな気候。穏やかな日の午後からは、1夜限りのスペシャルなライブにするべく集中力のあるリハーサルが行われ、豊洲PITは無事に開場時間を迎えた。入場口では徹底した感染対策が行われながら、少しずつゆっくりと客席が埋まっていく。1年ぶりに体感するSCANDALのライブを直前に控え、本当は誰もが興奮しココロ躍っているはずなのだが、お互いがお互いを気遣いながら騒ぐこともなく静かに開演を待っている。そんなオーディエンスの姿は、早くも新たなライブの楽しみ方を心得ているかのように見受けられた。
定刻を過ぎた頃に客席は暗転し大きな拍手が起こる。SEが流れ出すと同時にステージサイズいっぱいに、まるで宇宙空間のように光の粒が飛び交う映像が投影される。この時点で『collaborated with NAKED』というタイトルに含まれていた意味を身体で感じ取ることになった。今回のライブはクリエイティブカンパニー「NAKED, INC.」とのコラボレーションにより、四季をテーマにした映像とセットリストで進行されていくコンセプトライブである。前述した光の粒がステージの中央に集まり大きな桜の木へと変化する頃には、今夜のライブが新たな「鑑賞体験」になることをようやく自覚したのであった。
SCANDAL
色鮮やかな大きな桜の木の下に、真っ白な衣装に身を包んだSCANDALのメンバー4人が登場すると、『SEASONS』の1曲目として「Departure」が演奏された。ステージバックには投影されている映像とは思えないようなしなやかな立体感で、花が咲いては散る様子が映し出される。その様子はまさに春になると訪れる、人と人の出会いや別れの儚さとシンクロしているようである。HARUNAとTOMOMIのツインボーカルによって世界観はさらに拡がり、不安な気持ちでいっぱいだった2020年の春を取り戻せたような安心感の如く、オーディエンスからは大きな拍手が起こった。続けて演奏された「ショートショート」では、春の気候にも似た浮遊感のあるハイトーンのコーラスに包まれ、切ない恋心が染み渡ってくる。流れるように「Morning sun」へと繋がり、切なくて儚い春の終わりから初夏の訪れの雰囲気を漂わせる。
SCANDAL
オープニング時に現れた大きなシンボルツリーが再びステージに登場すると、魔法をかけられたように桜から青葉に包まれた姿に変わっていく。軽快なリズムと「Fireworks」というコーラスにリードされ、「打ち上げ花火」のイントロが聴こえてくる。ステージは夏の花火大会へと様変わりを果たし、菊・牡丹・冠柳(カムロ)など様々な種類の花火が空に打ち上がり、今にもその爆発音が聴こえてきそうな景色がステージ上に描かれる。歌詞に合わせて夏の星空が現れたかと思うと、次の瞬間には星座が花火と融合し、圧巻の音楽と光のショーを繰り広げた。続いてはMAMIの独特なギターリフが夏のギラギラした太陽の日差しを彷彿とさせる「テイクミーアウト」へと繋がる。この日初めてメンバーが激しいステージングで客席を煽りにいくと、オーディエンスも熱のこもった手拍子で応戦。RINAの変拍子ドラミングもさらに熱を帯びていく。歓声が出せない状況ではあるが、SCANDALとファンがココロで繋がっているという強い絆を感じる瞬間だった。「テイクミーアウト」演奏後のMCではHARUNAによって、皆と再会できたことへの喜びと、実際に来場してもらえたことへの感謝の気持ちが伝えられた。次の曲は客席中央に仮設されたサブステージで演奏するというサプライズが発表され、メンバーは最小限のアコースティックな楽器とマイクが用意されたサブステージへと移動する。ミニマルな白熱電球だけが装飾されたサブステージは、夏のキャンプで焚き火を囲みながら音楽を奏でる様子を再現していることもあり客席との距離も近く、メンバーとオーディエンスがお互いに1年ぶりという緊張感から解放された瞬間にも見えた。そんな夏のシーンの最後には「Stamp!」が演奏され、シンプルな演奏と美しいコーラスのハーモニーが暖かい手拍子と交わり、幸福な一体感を生んだ。
SCANDAL
本ステージに目を移すと再び大きなシンボルツリーが登場し、青葉から紅葉を装い秋のシーンへと移り変わっていく。「月」の演奏が始まると、ステージにはシャンパンゴールドに煌く眠らない大都会の夜景が映し出される。どことなくこの日の会場である豊洲PITから勝どき方面に見える夜景のように感じたのは気のせいだろうか。そんな美しい夜景越しに輝く大きな月が現れ、その月光が差し込む部屋から演奏が聴こえてくるような気にさせられる。次に演奏された「Tonight」は、言葉遊びのように繰り出される歌詞の中に、まさにこれからの新しい時代のメンタリティとも思えるメッセージ性の強い言葉がギュッと詰まっており、アグレッシブなパフォーマンスでオーディエンスに力を与えていく。続いて、オンタイムなクリスマスシーズンを歌った「SUKI-SUKI」ではキャッチーな歌を骨太低音サウンドがグイグイ引っ張り、後半戦へと向かう。
SCANDAL
四季はめぐり、いよいよシンボルツリーからはすっかり葉が落ちてしまった。幻想的なイントロで幕を開ける「HELLO」。雪の結晶が降り注ぐ様子がステージに映し出され、オーロラのような自然現象と融合しながら美しい「真っ白な世界」が表現されていく。雪の結晶は曲の後半に向けてステージ全体に拡がって幾何学的な模様となり、もはやアート作品を鑑賞しているかのような錯覚に陥るほどの迫力ある映像で描かれていく。続いて今回のライブの演奏曲では最も旧譜でもある人気曲「HARUKAZE」が演奏される。初々しくて淡い歌ではあるが、曲中に出てくる主人公であろう人物が、力強く自分の未来へ進もうとする様子と、冬から春へ移り変わる自然の息吹の根強さとが繋がるように感じた。
まだまだライブエンターテイメントが様々な意味で100%完全な形での開催が難しい状況ではあるが、オーディエンスが歓声を出せなくて騒げなくて発散できない分、バンドの演奏とダイナミックかつ繊細な映像を掛け合わせることで、「感じてもらう」ことに特化した見事なライブだった。そして、ロックバンドが「四季」をコンセプトにできるのも、SCANDALの14年というキャリアの裏付けがあってこそなせる技でもあると思う。そんな今回の特殊なコンセプトライブの最後には「マスターピース」が演奏された。
SCANDAL
いくつもの日々を超えて
歌えるよ いま この『マスターピース』
夜が終わったら 願い事を叶えに行こう
どこまでも続いていく 旅路の向こうへ
筆者にはこの歌詞の内容こそが、SCANDALが「マスターピース」を今回の最後の曲に選んだ意味だったような気がしている。SCANDALはその活動の全てがストーリーになるアーティストである。やり残した2020年、そんな中でもやれることをやりきった2020年でもある。でもやはりどこかで腑に落ちない消化不良な気持ちがあることは事実。今直面している様々な困難を超えた後、SCANDALはきっと何倍にも強くなり、日本国内はもちろん世界各国を自由自在に飛び回っているであろう。約8ヶ月後に控えた2021年8月21日の大阪城ホール公演。バンド結成15周年の節目であるその日に大阪で何が起きているのか、今から楽しみでならない。

文=北岡良太(Twitter:@ryota_kitaoka) 撮影=ヤオタケシ

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