1月の「TAKARAZUKA SKY STAGE」お勧
め3作品の見どころ紹介/ホーム・シ
アトリカル・ホーム~自宅カンゲキ1
-2-3 [vol.42] <宝塚編>

おうちをシアトリカルなエンタメ空間に! いま、自宅で鑑賞できる演劇・ミュージカル・ダンス・クラシック音楽の映像作品の中から、演劇関係者が激オシする「My Favorite 舞台映像」の3選をお届けします。(SPICE編集部)

ホーム・シアトリカル・ホーム~自宅カンゲキ1-2-3[vol.42]<宝塚編>
2021年1月の「TAKARAZUKA SKY STAGE」​お勧め3作品の見どころ紹介​ by 藤本真由
【1】『THE SCARLET PIMPERNEL』(’ 08年星組・東京・新人公演)
【2】『バロンの末裔-Descendant of Baron-』(’ 96年月組・宝塚)
【3】『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』('20年雪組・東京・千秋楽)
宝塚歌劇専門チャンネル「TAKARAZUKA SKY STAGE」の2021年1月放送のラインアップより、見逃せない3作品の見どころをご紹介!
【1】『THE SCARLET PIMPERNEL』(’ 08年星組・東京・新人公演)
ブロードウェイ・ミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL』は、フランス革命後、貴族たちを恐怖政治から救うイギリス貴族とその仲間たちの活躍を描いたバロネス・オルツィの冒険活劇小説『紅はこべ』が原作。2008年、宝塚星組により日本初演された。潤色・演出を手がけた小池修一郎は、『ベルサイユのばら』の大ヒットで名高い宝塚歌劇にふさわしい作品に仕上げるべく、ギロチン台の露と消えたルイ16世とマリー・アントワネットの息子ルイ・シャルル奪還のエピソードを付け加えて構成。囚われの身であるルイ・シャルルを励ますべく、主人公パーシー・ブレイクニーが教え、共に歌う「ひとかけらの勇気」は、宝塚版のために作曲家フランク・ワイルドホーンが書き下ろしたオリジナル楽曲で、全編通して効果的に使われている。初演の主演は安蘭けいが務め、圧巻の歌唱力で魅了。その妻でフランス出身の女優マルグリット・サン・ジュスト役を遠野あすかが演じた。ちなみに安蘭は2016年のブロードウェイ版日本初演で今度はマルグリット役に扮し、話題を呼んだ。
今月放送されるのは、この2008年星組版の新人公演(東京宝塚劇場版・新人公演演出担当は小柳奈穂子)。パーシー役に扮した紅ゆずるはこれが最後の新人公演主演チャンス。今回放送される公演を筆者も実際に客席で観ていたが、長い腕をパタパタさせながらパーシーの変装であるグラパンを演じる姿が今も忘れ難い。そして終演後の劇場ロビーは、「この人は来る!」との興奮で熱気冷めやらぬものがあった。以降、スター街道を駆け上がっていったのはご存知の通り。2017年には星組トップスターに就任、そのお披露目公演で再びパーシーに扮した。新人公演で紅パーシー相手にヒロイン・マルグリットを演じた蒼乃夕妃も、2010年の月組娘役トップ就任時、月組トップスター霧矢大夢のパーシーを相手に同じ役に再挑戦している。
放送日時:2021年1月25日(07:45)
【2】『バロンの末裔-Descendant of Baron-』(’ 96年月組・宝塚)
20世紀初頭のスコットランド。没落した男爵家の次男坊が、双子の兄とその婚約者を救うため、彼女への思慕を胸に秘め、領地に戻って奮闘する――。月組トップスター久世星佳の退団公演として上演された『バロンの末裔』(『グランド・ベル・フォリー』と2本立てで上演)は、宝塚の男役の美学が見事描き出された作品である。作・演出を手がけたのは正塚晴彦。ハードボイルドな作風で知られ、手塚治虫の傑作漫画が原作の『ブラック・ジャック 危険な賭け』(1994)、『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』(2013)といった原作ものも担当。1993年に初演されたコメディ『メランコリック・ジゴロ-あぶない相続人-』は近年でも上演され続けている人気作品である。久世星佳主演作としては『BLUFF-復讐のシナリオ-』(1990)、『WANTED』(1994)を手がけており、退団作においても彼女の個性を存分に引き出した。久世はいぶし銀の魅力をもつ実力派として知られ、つかこうへいの『蒲田行進曲』を原作とする『銀ちゃんの恋』初演(1996)でもスター俳優銀ちゃんを演じている。退団後は女優に転身、2000年には桐野夏生の小説が原作の『OUT』で主人公を凄みのある演技で見せ、読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した。
さよなら作品においては物語と退団とを重ね合わせる趣向が取り入れられることが多いが、そんな中でも『バロンの末裔』は傑作中の傑作である――ちなみに、ヒロインを演じたトップ娘役の風花舞は、引き続きトップスター真琴つばさの相手役も務めた。しかしながら、決して涙涙の作品ではなく、久世が主人公エドワードとその双子の兄であるローレンスとを二役で演じ分ける趣向も楽しい。そして、ラストで久世が月組生のコーラスと共に歌う名曲「I wish」――。この曲を聴くとき、演出家が、宝塚を去りゆく一人の舞台人に贈る餞の想いに心揺さぶられる。
放送日時:2021年1月5日(19:00)
【3】『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』('20年雪組・東京・千秋楽)
Based on the motion picture Once Upon a Time in America (courtesy of New Regency Productions, Inc.) and the novel The Hoods written by Harry Grey. (c)宝塚歌劇団 (c)宝塚クリエイティブアーツ
雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』の原作は、セルジオ・レオーネ監督の1984年の同名ギャング映画。脚本・演出を手がけた小池修一郎は長年この映画の宝塚化の夢を温めており、演出家デビュー作『ヴァレンチノ』(1986)、『カステル・ミラージュ』(2001)、そして『アデュー・マルセイユ-マルセイユへ愛を込めて-』(2007)といった作品にその影響をみることができる。その彼が満を持して舞台化に挑戦、宝塚歌劇ならではのロマンにあふれた舞台を創り出した。――1920年代、ニューヨーク。貧しいユダヤ系移民の少年、ヌードルス(望海風斗)はブロンクスからやってきたマックス(彩風咲奈)と出会って友情を結び、次々と犯罪行為に手を染める。ヌードルスの幼なじみデボラ(真彩希帆)はスターを夢見、ブロードウェイからハリウッドへと活躍の場を広げていく。映画版で観る者に衝撃を与える車内でのあのシーンが、宝塚版ではロマンティックな装いで登場。赤い薔薇が一面にあしらわれた空間で、想い遂げられぬヌードルス役の望海風斗が一人絶唱する「愛は枯れない」には哀愁がただよう。作品全体としても映画版とは異なる味付けがなされており、映画版を理解する上では、この雪組公演の一つ前に上演された『El Japón(エル ハポン)-イスパニアのサムライ-』が非常に役に立つ――レオーネ監督はマカロニ・ウエスタンを数多く手がけており、『El Japón』は作・演出の大野拓史がマカロニ・ウエスタン的なものを志向した作品である――。望海風斗が主人公の少年時代から人生の苦みを知った中年期までを熱演、デボラ役真彩希帆はショー・シーンで華やかな魅力をふりまく。労働組合でのし上がっていくジミー役彩凪翔の鋭い社会風刺の演技にも注目だ。映画版ではエンリオ・モリコーネの楽曲が名高いが、宝塚版の太田健の音楽も冴え渡っている。
放送日時:2021年1月1日(21:00)、5日(13:30)、10日(23:30)、19日(18:30)、23日(8:30)、31日(21:00)
文=藤本真由(舞台評論家)

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