マイケル・K・リーにインタビュー~
『ニューイヤー・ミュージカル・コン
サート 2021』に出演

『ニューイヤー・ミュージカル・コンサート 2021』が、2021年1月9日(土)から11日(月祝)まで東京・渋谷の東急シアターオーブで開催される(10日はLIVE映像配信あり)。同コンサートは、2016年初演から数えて今回で6回目となり、ミュージカルファンには新春の風物詩として定着した感のある催しだ。
今回は、世界中の人々の生活が大きく変化し続ける中、スペシャル版として“Feel This Moment(今この瞬間を感じて)”というテーマが掲げられ、明るい未来への期待が込められた楽曲を中心としたラインナップが予定されている。また、出演陣も新鮮だ。シリーズ初となる日本のミュージカル界・音楽界を代表する超実力派アーティスト達、平原綾香 小柳ゆき 中川晃教 佐藤隆紀(LE VELVETS)が集結。さらに、アメリカ・韓国で活動するミュージカル俳優で日本にもファンの多いマイケル・K・リーの初参加も大きな話題となっている。SPICEは、そのマイケル・K・リーに、公演本番が迫る中、インタビュー取材をおこなうことができた。

ーー 『ニューイヤー・ミュージカル・コンサート 2021』は、あなたにとって日本で最初のステージとなるそうですね。ちなみに、これまでプライヴェートで日本に訪れたことはありましたか? そして、日本に対する思いや、日本人の印象をお聞かせいただけますか。
ようやく日本デビューを果たすことができて、これ以上嬉しいことはありません。
日本には一度だけ来たことがあります。大切な友人であるレア・サロンガ、ラミン・カリムルーが、日本のスターである城田優さんと共演したコンサート(※『4Stars』/編集部註)を観に来ました。今から7年前の2013年のことで、最高の共演が誇るべきものに思えたと同時に、すごく羨ましかったことを憶えています。
でも今回僕は、1人どころか4人もの素晴らしい日本のスター達と共演できるんですから、ラッキーですよね。すごく光栄ですし、リハーサルで4人の歌声をじっくり聴けることをとても楽しみにしています。
日本でミュージカルがいかに愛されているかを知っていましたので、ずっと日本でパフォーマンスをしたくて仕方なかったんです。2005年にブロードウェイの『太平洋序曲』で、幸運にも演出の宮本亞門さんとお仕事をする機会に恵まれ、彼の比類なき舞台への情熱に感銘を受けました。それと、日本には、韓国まで僕のパフォーマンスを観に来てくれる素晴らしいファンの方々がいます。彼らは僕にとって、かけがえのないファンですので、皆さんへの恩返しという意味でも、今回日本でパフォーマンスをして、情熱的なファンの皆さんにお会いできることをとても楽しみにしています。
ーー あなたは現在、ソウルに住んでいて、舞台はもちろん、テレビ等にもしばしば出演されていますね。拠点をアメリカから韓国に移したのはいつからですか? その理由は? また、韓国における最も思い出深い出演作品は何でしたか?
2013年から韓国を拠点にしていますが、韓国で活動を始めたのは2006年です。いくつか理由があるのですが、1つ目の大きな理由は家族です。ご存じの通り、アメリカは巨大な国で、俳優は1つの場所に腰を落ち着けるということができません。国中や世界中を旅できるという意味でも、ミュージカル俳優の仕事を気に入っていましたが、子供が出来てからその考え方が変わりました。韓国では、新しい演劇業界が花開きつつあって、僕のような俳優の需要が高かったんです。そして遠征先は遠くても電車で2時間もあれば行ける距離でした。いつでも家族の近くに居られることは大きかったです。
2番目は、先ほど言った韓国の演劇業界が飛躍的に成長していたこと。韓国のミュージカル業界は活気にあふれていて、新しいミュージカル文化や解釈の幕開けに携われる素晴らしい機会だと思いました。日本と同じように韓国は、世界の演劇業界の中でも独自の立場を確立して、来日版だけでなく、翻訳版やさらにはオリジナルミュージカルを製作するようになっています。ですので、この業界の成長が僕にアメリカでは得られかったチャンスを与えてくれました。
そう考えると、僕はとても賢明な選択をしたといえるでしょうし、その選択肢があったのは非常に幸運でした。僕はなんてラッキーなんだろうと思いますよ。
韓国で一番思い出に残っている作品を選ぶのは、至難の業ですね。それぞれが僕にとって特別で思い出深い作品ばかりですから。もちろん『ジーザス・クライスト=スーパースター』は僕にとって様々な意味で非常に特別な作品です。この作品が、僕の韓国での活動を軌道に乗せてくれたので、1つ挙げるとしたらやはり『ジーザス・クライスト=スーパースター』だと思います。
ーー 今回あなたは、その『ジーザス・クライスト=スーパースター』から「ゲッセマネ」、そして『ジキル&ハイド』から「This is the Moment」、さらに中川晃教さんとデュエットで『レント』から「I'll cover you」を、コンサートで披露されるとのこと。各ナンバーへの思い入れをお聞かせください。
「ゲッセマネ」は『ジーザス・クライスト=スーパースター』という作品の中だけでなく、すべてのミュージカル作品の中で最も優れた曲のひとつだと思います。物語の中で感情が高まるシーンに完璧なまでにピッタリだし、素晴らしい歌のなかでパーフェクトな音楽の形を成しています。最近では色々な凄い人をロックスターと呼ぶようになりましたよね。「ジーザスは我々に身近な人を愛しなさい」「自分がされたら嬉しいことを周囲の人にもしなさい」「許すことで自由になれる」と教えてくれています。だから、ジーザスこそ今で言うロックスターだったと信じて疑わないのです。それが僕がこの役とこの歌を愛する理由です​。
「This is the Moment」は韓国での初めてのコンサートでゲスト出演した時に披露したので、とても特別に感じています。僕だけでなく多くの人たちがこの曲の歌詞の意味と壮大なメロディを愛していると思います。まさにフランク・ワイルドホーンが書いた数々の名曲の中で最高傑作と言える曲のひとつだと思います。この曲は何度歌っても感情をかきたてられますね。大好きな曲です。
『レント』は僕の人生の素晴らしい一部となっています。ブロードウェイ公演の開幕後数年間、この作品に携われたことはまさに夢のようでした。僕たちの世代にとってはとても重要な意味を持つ作品だと思っています。この作品の楽曲を聴く度に、オープニングのギターをチューニングする音とか、「シーズンズ・オブ・ラブ」の始まりのコードとか、一番最後の歌詞とか…とても感情が溢れだすんですよ。「I’ ll Cover You」は『レント』の中でも喜びに満ちた曲なので、中川さんと一緒に歌えることが楽しみで待ちきれません。
ーー 平原綾香さん、小柳ゆきさん、中川晃教さん、佐藤隆紀さんという、日本人ミュージカル俳優4人との共演で楽しみにしていることは?
彼らの歌声を聞くのが本当に楽しみです!リハーサルで彼らの歌声を聞くことやどんなパフォーマンスが見られるのか楽しみで待ちきれません!本当に!一緒に共演させていただけるなんて幸せです。同じステージに立てることが貴重だと思いますし、このコンサートの仲間に参加できて光栄です。心からそう感じています。僕を仲間に入れてくださってありがとうございます!​
ーー コロナウィルスの影響が深刻で、ブロードウェイの劇場は現時点で2021年5月末までの閉鎖がアナウンスされています。一方、日本では第三波の流行に緊張しつつも、多くの劇場で慎重に公演が行われています。韓国の演劇界は現在どのような状況ですか。また、あなたは、このコロナ禍についてどのような考えをお持ちですか?
世界は苦境に立たされています。ニューヨークのブロードウェイで活動する仲間のことを思うと心が痛みます。それと同時に、この時期にアジアで活動できることを、とても幸運に思います。韓国、日本、台湾は、この未曾有のパンデミックの中でも、何とか劇場を開けて生のパフォーマンスを提供し続けています。これは多大な賞賛に値することだと思います。
もちろん、韓国の劇場でも細心の感染予防対策を取っていますよ。一部の座席をあけて販売したり、公演をキャンセルすることも……。それでも、よく言われるように「Show Must Go On」が実践されています。完璧な状態でとは言いませんが、止まることなく前進し続けていることは、幸運ですしとても喜ばしいことですよね。これはこの業界を支えてくれるプロデューサー陣やお客さんがいなければ出来ないことです。まさに「The Show Must Go On」です。世界は演劇やアートを必要としています。言うまでもなく、劇場の安全を確保し未知の危険なウィルスへの対策を最優先に考えるべきですが、事態が収束した時にアートは見事な復活を遂げます。演劇やアートは人々の傷を癒すものですから。
ーー あなたは、1973年6月5日にニューヨークで生まれ、スタンフォード大学で心理学を学んだ後、1995年『ミス・サイゴン』のトゥイ役でブロードウェイ・デビューを果たしました。その後、 『ジーザス・クライスト=スーパースター』、宮本亞門演出の『太平洋序曲』、『レント』など、ブロードウェイの有名作品に出演されました。あなたは、なぜ、どのようにして、ミュージカル俳優への道を進むことになったのでしょうか?
若い頃から、演劇、とりわけミュージカルが大好きでした。よく両親に連れて行ってもらっていました。母親は特に、故郷で多くのアートを支援していて、僕たち兄弟をバレエ、ミュージカル、オーケストラや映画などによく連れて行ってくれました。それで中学生の時に地元の劇場のオーストラピットで楽器を演奏する機会があったのですが、今思えばそのときに「劇場の虫」に刺されたのです! 当時はあまり気付いていなかったですが、劇場の特等席でミュージカルが出来上がる過程を目の当たりにしたのがきっかけですね。ピアノやヴァイオリンのレッスンは続けていましたが、時間が空けばいつも歌っていました。特にロックが好きでしたね。80年代に育ったので、人気ロックバンドの突き抜けるようなメロディーやクレイジーな服装やメイクアップに魅了されていました。この頃は自分が舞台に立つことは考えてもいませんでしたが、大学の友人たちが僕の俳優としての可能性を引き出してくれました。とにかく舞台が好きでしたし、とても居心地が良かった。舞台を作り上げるコミュニティが僕の最高の仲間でした。まさに自分の居場所を見つけたのです!
ーー いま、韓国カルチャーが世界を席巻していますね。BTS、映画『パラサイト』、ドラマ『愛の不時着』、小説「82年生まれ、キム・ジヨン」等々……。韓国人の血が流れているあなたは、この現象をどのように見ていますか?
世界がどんどん小さくなって、近づいている感じがしますね。ソーシャルメディアやインターネットによって、地理や言語、文化による制限が取り払われたのです。おっしゃる通り、韓国は音楽、映画やTVの世界で大きな飛躍を遂げていますが、これはインターネットを通して、時差なく韓国の文化にアクセス出来る環境があればこそ成し遂げられたのだと思います。世界はより洗練され、トレンドは西洋世界の外から発信される時代になりました。アジアは今可能性に溢れていて、世界はその魅力に気付き始めたばかりです。素晴らしい時代になりましたね!
ーー 最後に、日本のミュージカルファンや、SPICEの読者に向けて、メッセージをお願いします。
皆さんのためにパフォーマンスする機会を与えてくださって、本当にありがとうございます。とても光栄に思っています。何度でもいいますが、本当に楽しみで仕方ありません! これが私たちの友情の始まりであると信じています。僕のことをもっと知っていただきたいですし、皆さんのことをもっともっと知りたいと思っています。だから僕たちの最初の「デート」をとても楽しみにしています。きっと忘れられないものになるでしょう。そしてこれから長いおつきあいができますように。もうすぐお会いしましょう!
【プロフィール】マイケル・K・リー/Michael K. Lee アメリカ・NY出身。1995年『ミス・サイゴン』でブロードウェイデビューを果たし、『ジーザス・クライスト=スーパースター』『レント』『太平洋序曲』などに出演。アジア系米国人をテーマにした『アリージャンス』ブロードウェイ公演にはオリジナルキャストとして出演した。2019年、韓国で開催されたラミン・カリムルーとのデュエット・コンサートが話題となった。現在はアメリカ・韓国の双方で活動中。韓国での出演作に『ジーザス・クライスト=スーパースター』『ノートルダム・ド・パリ』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『ロッキー・ホラー・ショー』ほか。今回、待望の初来日を果たす。
取材・文=安藤光夫(SPICE編集部)

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