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熟練シンガー、リタ・クーリッジ
初期の代表作『ナイス・フィーリン』

本作『ナイス・フィーリン』について

初のソロアルバムとなる前作『リタ・クーリッジ』では、ブッカー・Tやレオン・ラッセルをはじめ、クラレンス・ホワイト、ジェリー・マッギー、クリス・エスリッジ、ジム・ケルトナー、スティーブ・スティルス、ボビー・ウーマック、スプーナー・オールダム、マーク・べノ、ジム・ホーンといった凄腕のセッションマンたちがバックを固めていたが、本作はディキシー・フライヤーズ(主にサザンソウルのバックを務める白人ユニット)を中心に、アル・クーパー、ニック・デカロ、ラスティ・ヤング(ポコのメンバー)らが曲によって参加するといったシンプルな編成になっている。レコーディング・エンジニアにはブルース・ボトニックとグリン・ジョンズの大物コンビが選ばれているところをみると、リタが制作側に大切にされていたようだ。

収録曲は全部で10曲。彼女が信頼しているマーク・ベノの名曲2曲の他、ソウルシンガーのジミー・ルイスの2曲、ディキシー・フライヤーズのキーボード奏者マイク・アトリーの2曲の他、デイブ・メイソン、ボブ・ディラン、グレアム・ナッシュがそれぞれ1曲ずつ、そして当時はまだ本人バージョンがリリースされていなかったニール・ヤングの「過去への旅路(原題:Journey Thru The Past)」となっている。

歌伴を得意とするディキシー・フライヤーズの実直で渋い演奏は、泥臭くスワンプそのもので、本作の方向性を決定づけている。リタの歌声はボニー・ブラムレットのハスキーな声とは違って、伸びやかで爽やかな声が持ち味であるものの、時によってゴスペルフィールやソウル的な歌い回しが登場するところが最大の特徴である。名曲ぞろいの本作は、間違いなく彼女のスワンプ期(1stから3rdまで)における最高の作品だと思う。

本作以降

3rdアルバム『ザ・レディース・ノット・フォー・セール』のあとは、夫となるクリス・クリストファーソンと共にカントリー・デュオのクリス&リタとして活動し、1stアルバム『フル・ムーン』(’73)はカントリーチャートで1位を獲得している。続くソロ4作目の『愛の訪れ(原題:Fall Into Spring)』(’74)から、彼女のさわやかな声がそうさせたのか、A&Mというレーベルの特徴なのか、徐々にスワンプ臭は薄れポップス志向のサウンドに変わっていく。相変わらず良い曲(おそらく選曲は彼女が主導権を持っていると思う)を取り上げてはいるのだが、前述の「ウィ・アー・オール・アローン」収録の大ヒットした6作目『エニイ・タイム…エニイ・ホエア』(’77)で完全にポップス歌手として変身を遂げるのである。スワンプロックのシンガーとしてのリタ・クーリッジが好きな人間にとっては残念であるが、それも時代の流れなのだろう。

TEXT:河崎直人

アルバム『Nice Feelin’』1971年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. ソウルフル・ファミリー/Family Full Of Soul
    • 2. 涙の朝/You Touched Me In The Morning
    • 3. イフ・ユー・ワー・マイン/If You Were Mine
    • 4. ナイス・フィーリン/Nice Feelin'
    • 5. オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ/Only You Know And I Know
    • 6. アイル・ビー・ゼア/I'll Be Here
    • 7. ベター・デイズ/Better Days
    • 8. 人生の重荷をといて/Lay My Burden Down
    • 9. 我が道を行く/Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)
    • 10. 過去への旅路/Journey Thru The Past
『Nice Feelin’』(’71)/Rita Coolidge

OKMusic編集部

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