岸谷五朗、寺脇康文、三吉彩花が語る
『The PROM』の魅力~高校生の深刻な
悩みを、 おっさんおばさんたちがラ
イトに進行するから堪らない!

2018年のブロードウェイで開幕し翌年のトニー賞をにぎわせ、先ごろNetflixで公開された映画版も話題の『The PROM』が、地球ゴージャスにより早くも日本初上演! 高校生の卒業パーティー“プロム”に同性の恋人アリッサ(三吉彩花)と参加しようとするエマ(葵わかな)を、落ちぶれたブロードウェイスターのバリー(岸谷五朗)、トレント(寺脇康文)、D.D.アレン(大黒摩季、草刈民代、保坂知寿)、アンジー(霧矢大夢)らが的外れに(?)応援する超ハッピーミュージカルだ。地球ゴージャスの岸谷と寺脇、そして本作で初舞台を踏む三吉に、作品の魅力と意気込みを語ってもらった。
二人の“いい人探知機”が三吉に反応!
ーー地球ゴージャスにとって、ブロードウェイ作品の上演は初の試みとなります。まずは主宰のお二人から、本作を上演しようと思われた理由をお聞かせください。
寺脇:そこは演出家の岸谷さんから。
岸谷:はいはい、じゃあワシが。
三吉:あははは!
岸谷:僕はブロードウェイで作品を観る時、日本のオーディエンスに楽しんでもらえるか、明日また元気に仕事しようと思ってもらえるか、というのをよく考えるんですね。2019年にこの作品を観た時、まさにガツっとそこにハマったんですよ。課題提起がたくさんある作品なんだけど、それが非常にポジティブに描かれている。その時からそう思っていたけれども、コロナ禍になって、なおさら“今やるべき作品”になりました。何年にどの作品をやったかというのは、その時期に自分が何を考えていたかっていう、“岸谷五朗の年表”みたいなもの。2021年にこの『The PROM』があることは、非常に意味があることだと思います。
岸谷五朗
寺脇:僕は五朗ちゃんからそう提案されて、すぐに「いいじゃん、やろうよ!」って。地球ゴージャスも25周年を迎えて、そろそろ次のステージに向けて目先を変えてもいい頃かなとおぼろげながら思っていた時だったから、直感的に「あ、いいな!」って思ったんです。
ーーでは、そんな転換点ともなる作品に三吉さんをキャスティングした理由とは?
岸谷:三吉彩花は、今ももちろんとっても魅力的だけど、まだまだ伸びしろがある女優だと思っていて。今、表に出ているものはほんの一部で、本人すら想像できていないほどの魅力とエネルギーを間違いなく秘めていると思わされる、本当に貴重な役者の一人です。それが、ぜひ一緒に作品作りをしたいと思った理由ですね。
寺脇:僕ら、彩花のことは小っちゃい時から、彩花がまだ「さくら学院」に在籍してた頃から知ってるんですよ。
岸谷:小っちゃくても大きかったけどね。
三吉:すみません、身長だけはあの頃から大きくて(笑)。
寺脇:うん、その頃から親戚のおじさんみたいな気持ちで見守ってました(笑)。僕らがキャスティングする時、役者としての力量はもちろんだけど、人間として僕らが好きかどうかもすごく大切にしていて。僕らの“いい人探知機”が、彩花にはずっとビヨヨヨヨンって反応していたし(笑)、今回のアリッサ役はぴったりだと思ってます。
寺脇康文
三吉:ありがとうございます。オファーをいただいた時は本当に、一瞬こう、時が止まったくらいのとんでもない衝撃を受けました。正直なところを申し上げますと……。
寺脇:あはは! 丁寧だな~。どうぞ、申し上げてください(笑)。
三吉:申し上げますと(笑)、地球ゴージャスの舞台は何作も観させていただいていて、そのたびに「今回はこんな作品で、こういうところがすごくて、なんかもうとにかくすごかったです!」って熱弁しては、マネージャーさんたちから「彩花は本当に地球ゴージャスが好きだね~」って言われていたくらいなんです。でもそれは“一観客として”という感覚で、「いつか絶対に出たい!」というものではなかったんです。なので本当に信じられなくて、こんな漫画みたいなことってあるんだ! って(笑)。しかもそれが、ブロードウェイミュージカル。私がまだ19歳かハタチくらいの頃、モデルのお仕事でニューヨークに行った時に……。
岸谷:そういえば会ったよね?
三吉:そうなんです。
岸谷:思い出したぞ! いくつか演劇作品を勧めたのに、シカトしただろう(笑)。
三吉:あの、言い訳をさせていただきますと(笑)、次の日にはもう帰るスケジュールだったんですよ。でもオフの『スリープ・ノー・モア』は観ることができて、ブロードウェイがとても刺激的なエンターテインメントの街だというのは感じていたので、携われることにワクワクしています。
(左から)岸谷五朗、三吉彩花、寺脇康文
ーーまだまだ伸びしろがある、という点についてはいかがですか?
三吉:伸びしろかどうかは分からないですが、出演が決まってボイトレや体づくりを始めてから、自分の体の仕組みについて、毎日色々な発見をしていて。今はまだその発見に体が追いついていないのですが(笑)、自分でコントロールできるようになって、しかもアリッサとして表現できるところまで行けたら、知らない自分に出会えるような気はしています。
寺脇:いいですよね~、まさにこういうところなんですよ、“いい人探知機”が反応したのは。役者にとって必要なのは、いくつになっても発見し続けること。僕なんてもう58歳になるけど、「ここを緩めると腰の痛みがなくなるんだな」みたいなことが未だにあるんだから(笑)。特に舞台は、たとえ体調が悪くても悪いなりのベストが出せるようにならないと続けられないから、自分の体と向き合い続ける姿勢はすごく重要だと思う。
三吉:そうですよね。私にとってはこれが初舞台になるので、色々教えていただきたいです。
寺脇:でもね、いい役者って舞台に立つと、どう振舞えばいいかが自然に分かるんじゃないかな。それは僕らが教えることじゃなくて、彩花も分かると思う。
三吉:……どうしましょう、分からなかったら(笑)。
岸谷:「あいつ、我が道を行ってるぞ!」って?(笑) いや、彩花なら大丈夫だよ。
(左から)岸谷五朗、三吉彩花、寺脇康文
「人間っていいな!」と思える鳥肌必至の作品
ーー皆さんそれぞれが今の時点で感じていらっしゃる、この作品の一番の魅力を教えてください。
寺脇:誰から行く?
岸谷:じゃあ、ジャンケンで決めようか。
寺脇:最初はグー、ジャンケンぽい!(三吉→岸谷→寺脇の順番に決定)
三吉:では、私から。一つはやっぱり音楽です。ブロードウェイ版の音源を毎日聴いていて、英語なので歌詞の意味は分からないのですが、だんだん癖になってくるんです。今ではちょっと口ずさんだり、ハモれるようになってきたりもしていて(笑)。
寺脇:ハモってるの?(笑)
三吉:なんとなく(笑)。全体を通して軽やかでハッピーでポジティブな曲が多いところは、とても魅力的だなと思います。あとはもちろん、ストーリー。私はこの舞台、自分と同世代か、もっと若い方に特に観ていただきたいなと思うんです。今は色々な情報が一気に手に入って、人のことも表面的な情報はすぐに得られる便利な世の中ですけど、だからこそ、その人の価値観とか考え方を受け入れること、お互いを認め合うことはすごく難しい。友達や家族にちゃんと向き合うこと、優しく接することの大切さを、とてもハッピーに伝えてくれる作品だと思います。
岸谷:その通りだね。あれ、次どっちだっけ。
ーー確か岸谷さんだったかと……。
寺脇:まあでも、最後は演出家が喋ったほうがいいと思いますから。
岸谷:そうか、ワシが最後か。
三吉:ジャンケンしたのに!(笑)
三吉彩花
寺脇:まあまあ(笑)。僕はこの作品を映像などで見た時、何度も鳥肌が立ったんですよ。カゼ引いたのかな? と思うくらい(笑)、ずーっと鳥肌が立ちっぱなし。
岸谷:鳥だったのかな?
寺脇:クルック~! ……って、違いますよ~(笑)。なんでかと考えると、すべての登場人物に感情移入できて、「人間っていいな」って、ずーっと感じながら観られたからだと思うんですよね。僕らはいつも、何回鳥肌を立ててもらえるかを考えながら作品づくりをしているから、そういう意味では地球ゴージャスの理念にぴったりの作品。そんなストーリーとともに、僕らと初の海外ミュージカルと彩花たちキャスト、みんなの化学反応も大きな魅力になってくると思います。僕自身、今からとても楽しみですね。……というわけで、先生よろしくお願いします!
岸谷:うんワシか。ワシはのう~。
寺脇:さっきから、なんで年寄り設定なの(笑)。
ーーこういうやりとりがもう、バリーとトレントを彷彿とさせて期待が高まります(笑)。
岸谷:そうでしょう? 向こうで観た時、「これ、僕と寺ちゃんでできる!」って思ったの。この作品のテーマになってるのは性の多様性について、ハイスクールのレズビアンの女の子たちが抱えているセンシティブな悩みだけども、その進行係がおっさんとおばさんたちだから(笑)、すごくライトなコメディタッチで進むんです。もうね、そこがまず堪らなく魅力的。あとはやっぱり、踊りです。ストーリーを考えると、踊りのシーンは本来、この3分の2くらいでいいはずなんです。残りの3分の1は多分、ただ舞台を盛り上げるためだけに踊っていて(笑)、僕も群舞がすごく好きだからそこにも大きな魅力を感じる。さっき寺ちゃんが、この作品の理念は地球ゴージャスと近いと言っていたけど、この「まだまだ踊るよ!」っていうところも共通点ですね。
三吉:確かに地球ゴージャスの舞台は、感動的なストーリーを力強いダンスで伝えてくれるから、観ながらアドレナリンが出てエネルギーが湧いてくるのだと思います。
岸谷:ありがとう。そういう意味で今回の舞台は、地球ゴージャスのファンの方にも、舞台や映画の『The PROM』が大好きな方にも楽しんでいただけるものになるんじゃないかな。
寺脇:今はブロードウェイがクローズしてるから、その“代わり”ということじゃないけど、ブロードウェイ作品に飢えてる方にもぜひ観ていただきたいですね!
(左から)岸谷五朗、三吉彩花、寺脇康文
■三吉彩花  ヘアメイク=RYO  スタイリスト=道端亜未
■岸谷五朗・寺脇康文  ヘアメイク=永瀬多壱(VANITES)  スタイリスト=中川原寛(CaNN)
取材・文=町田麻子  撮影=池上夢貢

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