福原みほのツアーがビルボード東京で
開幕 およそ1年ぶりに観客の前でみ
せた姿、届けた音

Sun On My Wings Tour 2021 2021.1.18 Billboard Live Tokyo
会場の隅々にまで視線を送り、笑顔で手を振りながら登場した福原みほが、「LOVE~winter song~」の冒頭、アカペラで歌声を響かせたあと、バンドサウンドが入ると同時に場内からはクラップが巻き起こった。ギターの小気味良いカッティングと迫力の重低音でファンキーに仕上げた「CHANGE」へと繋ぐと、ステージから放たれるグルーヴィなサウンド、ポジティヴなオーラとバイブスがたちまち会場を満たしていく。
撮影=Kazuhiko Tawara
2021年1月18日、ビルボード東京にて行われた『Sun On My Wings Tour 2021』東京公演は、福原にとってほぼ1年ぶりとなる観客を前にしてのライブだ。無観客配信ライブ等は幾度か開催していたものの、昨夏に予定していたツアーや、出演を予定していたイベントの中止に見舞われていただけに、ようやくリアルのライブを迎えることのできた実感、感慨はやはりひとしおだろう。冒頭のブロックを終えたところで「ものすごく緊張した」と吐露しつつも表情はとても明るい。時節柄、客席にもある種の緊張感が漂っているが、曲が終わるごとに送られる拍手にはしっかり熱が籠っている。
撮影=Kazuhiko Tawara
撮影=MASANORI NARUSE
セットリストは、本来であれば1日2回公演が前提のライブ(緊急事態宣言発出を受け、東京・大阪の2ndステージは中止を余儀なくされた)ということもあって、全12曲/1時間強のコンパクトなボリュームの中で多彩な歌唱表現を堪能できる内容になっていた。R&Bテイストを軸にソウル、レゲエ、ジャズ、ロック、ポップスと多岐にわたる曲調やアレンジを、きちんと肉体化して乗りこなす福原の歌力とテクニックにもあらためて感じ入る。
撮影=Kazuhiko Tawara
撮影=Kazuhiko Tawara
オオニシユウスケ(Gt)、Gakushi(Pf)、工藤明(Dr)、MARU(Cho)からなる、今ツアーからお披露目の新バンドによるプレイも見どころの一つで、ともすればジャンル的に、落ち着きすぎたり大人っぽくなりすてもおかしくないところを、軽妙でどこか遊び心まで感じられるような演奏を展開していった。特にGakushiの獅子奮迅ぶりはすさまじく、要塞のように複数の鍵盤が鎮座するセットを駆使してピアノのみならずベースも担い、さらに「Work it Out」ではトーキング・モジュレーターをつなぐことで管楽器の音色まで擬似的に生み出し、驚きと喝采を集めていた。
撮影=Kazuhiko Tawara
撮影=Kazuhiko Tawara
ライブの無かったこの1年で新たに生まれた楽曲が披露された点も見逃せない。まず、シンガポールのシンガー・ソングライター、チャーリー・リムと共作した「Ashes」は、シーケンスを大胆に取り入れたアンビエント的浮遊感と、重厚にローを効かせたアプローチが印象的だが、核となる福原のボーカルの存在感ゆえか決して無機質にはならず、むしろどこか温かみを感じさせる。ライブ後半、「わたしが今、本当に伝えたいメッセージ」と紹介されたのは、つい先日リリースされ、このツアーのタイトルにもなっている「Sun on my Wings」。オーガニックなビートの上にレトロフューチャーな風合いのシンセが乗るこの曲、ライブだとよりフィジカルなグルーヴが前面に出ており、凛と張りのある福原の歌声も相まって、場内のボルテージをもう一段押し上げる役割を果たしていた。
撮影=Kazuhiko Tawara
撮影=Kazuhiko Tawara
こうしてライブのステージに立つことも、それを観に行くことも、まだまだ気軽には実現できない。そういった現状に対し、福原がMC等で直接的な励ましや元気付ける言葉をかけたりというシーンは、ほぼ無かったように記憶している。だが、ライブが進むにつれ、彼女の歌声に触れていくたび、どんどん晴れやかな気持ちになっていく自分に気づく。白眉は本編最後に披露された「JOY」。ピースフルでハートウォーミングな、文字通り福音のようなゴスペルソングと、そのメッセージを全身から放つかのような彼女の歌声は、日々蓄積されていく閉塞感までもすっと和らげてくれるようだった。
撮影=MASANORI NARUSE
この『Sun On My Wings Tour 2021』はこの日を皮切りに、2月5日の大阪公演、そして急遽発表された3月18日の横浜での追加公演(いずれも会場はビルボードライブ)へと続く。演奏面の習熟度はさらに増していくだろう。卓越したボーカルと心地よいサウンドで心を響かせる音楽の力、確かに伝わってくるその“魂”に、ぜひ触れてみてほしい。

取材・文=風間大洋 撮影=Kazuhiko Tawara、MASANORI NARUSE
撮影=Kazuhiko Tawara

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