THE BACK HORN×9mm Parabellum Bul
letの特別な競演『荒吐20th SPECIAL
-鰰の叫ぶ声-』東京編 2日目レポー

THE BACK HORN「荒吐20th SPECIAL -鰰の叫ぶ声-」東京編

2021.1.20(水)昭和女子大学人見記念講堂
THE BACK HORNと9mm Parabellum Bulletが驚異の合体を果たす、『荒吐20th SPECIAL-鰰の叫ぶ声-』、その第二夜。第一夜は9mm Parabellum Bulletのワンマンと、8名の混合バンド「鰰(ハタハタ)の叫ぶ声」のスペクタクルなライブで、会場のオーディエンスと配信ユーザーをノックアウトしてくれたが、今日の先陣を切るのはTHE BACK HORNだ。昨夜同様、いやそれ以上に熱く激しくエモーショナルだったかもしれない、ライブの模様をレポートしよう。
THE BACK HORN
オープニングは、クールなヒップホップ・トラックにファンキーなギター。弓を引き絞るような緊張感たっぷりの「コワレモノ」から、急転直下、一気にパワーを解放する猛烈アッパーなロックチューン「ブラックホールバースデイ」へ。あっという間にステージ上はカオスと化し、松田晋二(Dr)と岡峰光舟(Ba)が叩き出す鉄壁のリズムの上で、菅波栄純(Gt)がクレイジーなノイズギターを乱射し、山田将司(Vo)が虚空に手を伸ばして叫び続ける。気合満点の立ち上がりだ。
THE BACK HORN
「みなさんと一緒に同じ時間を共有できることをとても嬉しく思っています。音楽最高だな、ライブ最高だなと思ってもらえる1日にしたいと思います」
松​田のMCは、いつもの通り丁寧に律儀に。そして現時点での最新アルバム『カルペ・ディエム』からの「心臓が止まるまでは」は、重く激しく美しく。端正なスロービートと熱量たっぷりのサビが交錯する「美しい名前」は、緩急をつけて高まってゆくドラマチックな演奏に合わせ、山田が魂を振り絞るような激唱を聴かせる。まだ4曲だが、汗びっしょりだ。そして山田のMCもまた人柄を表すように、実直そのものだ。
「久しぶりにやると、感情が乗りすぎて、泣いてばかりの自分だということを…こんなところで話してどうする、という話ですけど。それだけ心を動かす場だということを、あらためて思います」
THE BACK HORN
《魂 重ね合わせよう 僕らの場所で》。2020年6月、リモート録音で制作された最新チューン「瑠璃色のキャンバス」は、THE BACK HORNとリスナーとを繋ぐ“音楽”という絆の歌だ。そして「シンフォニア」で山田は、《帰る場所ならARABAKI ROCK FEST.にあるから》と、歌詞を替えて歌った。元々は2020年4月に『ARABAKI ROCK FEST.20』、5月に『荒吐20th SPECIAL-鰰の叫ぶ声-』東京編で披露されるはずだった、THE BACK HORNと9mm Parabellum Bulletとの合体ライブ。今こそ“帰る場所”を強く思う、そこにアーティストとオーディエンスとの区別はない。
THE BACK HORN
ラストは『カルペ・ディエム』からの「太陽の花」、そしてインディーズ期からの代表曲「無限の荒野」と、20年の時をへだてた2曲が仲良く隣り合う。山田がクラップを煽り、オーディエンスが無言の拳を上げる。声は出せない、歌えない、でも確かに伝わるものがある。どんな状況にあろうとも、THE BACK HORNは生きる希望を失わない。
「あらためて、『荒吐20th SPECIAL-鰰の叫ぶ声-』へようこそ。THE BACK HORNと9mm Parabellum Bulletでお届けするよ!」
THE BACK HORN
第二部の開幕を叫ぶ、山田の声がはずんでいる。昨夜の興奮再び、8名が位置についていよいよ始まる、これが「鰰(ハタハタ)の叫ぶ声」のステージだ。この時間のために万全の準備をしたのだろう、通常の二倍の爆音にも負けず、菅原卓郎(Vo,Gt)の歌がしっかりと届いてくる。すでに1時間歌っている、山田の声も絶好調だ。9mm Parabellum Bullet「ハートに火をつけて」の、細部まで込み入った音符を菅波がさらりと弾いてのける。滝善充(Gt)がステージに跪いて激しいソロをぶちかます。間違いなく、昨夜に増してメンバーはやる気満々だ。
続いては、菅原、菅波、松田、中村和彦(B)による、通称「黒組」のパフォーマンス。9mm Parabellum Bullet「Vampiregirl」のリフを菅波が弾く、それだけで十分に聴きものだが、この日の菅波はまるで滝が憑依したかのように、激しく体を痙攣させたり回転したり、圧巻のパフォーマンスを見せてくれた。THE BACK HORN「罠」を歌う菅原の声も、まるで持ち歌のように堂々としている。一つ前のMCで、菅波が思わず「卓郎ってホントいい声だよね…」とつぶやいていたが、それ以外に言葉がない、本当にいい声だ。
黒組
攻守交替、替わって登場した通称「白組」は、山田、滝、岡峰、かみじょうちひろ(Dr)という、“バンドの中でしゃべらない”組。「代わりにギターでしゃべって」という山田の無茶振りに、滝がユーモラスなギターフレーズで応え、かみじょうはカメラに向かい笑顔でピースサイン。トークはゆるゆるの4人だが、演奏となれば人格一変。9mm Parabellum Bullet「The Revolutionary」では山田、滝、岡峰の3人がギターとベースでバトルを繰り広げ、THE BACK HORN「戦う君よ」は山田がマイクを掴んで右へ左へ、鬼気迫るパフォーマンスでバンドをリードする。完全にスイッチが入っている。
「行きつ戻りつだとは思いますが、こうやって楽しむ場所がまた作れたらいいなと思います」
楽観的すぎず悲観的過ぎず、ライブシーンの現状を正確に把握した菅原の言葉に嘘はない。何の制限もなくライブを楽しむ日が戻るまで、それでもバンドは生きてゆく。ラストは8人編成「鰰の叫ぶ声」による2曲、THE BACK HORN「刃」と、9mm Parabellum Bullet「Black Market Blues」だ。フロント6人が自由に動き回る姿を追う、臨場感あふれるカメラワークがいい。客席後方からのカメラに映る、オーディエンスが振り上げる拳の数が凄い。「また生きて会おうぜ!」と、山田が決め台詞を放ち、最後は満足度いっぱいの菅原の笑顔で締めくくる。「鰰の叫ぶ声」のセットリストは昨夜と同じだが、演奏もカメラワークも、受ける印象は驚くほどに違った。これがライブ、これぞライブ。
『荒吐20th SPECIAL-鰰の叫ぶ声—』2日目の模様は、アーカイブで1月26日(火)23時59分まで視聴可能。9mm Parabellum Bulletのワンマンが見られる初日のライブと共に、ぜひセットで見ることをお勧めする。いや、見たほうがいい。常に今を生きる二つのバンドの、日々変わるパフォーマンスの真実を、記憶に残してほしい。

取材・文=宮本英夫 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)、西槇太一

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