世界が注目するs**t kingzはダンスシ
ーンの革新者になれるのかーー1stア
ルバム『FLYING FIRST PENGUIN』で表
現したダンスの可能性

AAA、木村拓哉EXOE-girls、Hey!Say!JUMP、関ジャニ∞SHINeeSUPER JUNIOR三浦大知など国内外の錚々たるアーティストの振付を手がけてきた4人組ダンスパフォーマンスグループ、s**t kingz(シットキングス)。世界が注目する彼らが新たに仕掛けたのが、「見るダンス映像アルバム〜見るバム〜」を標榜したファーストアルバム『FLYING FIRST PENGUIN』のリリースだ。従来のダンス映像は、他アーティストの楽曲が根本にあり、それを元に振付を創作するため二次表現という扱いになる。つまりダンサーたちが、個人の意思でその曲の振付映像などを公開したり、販売したりすることはNGだった。「それならば」とs**t kingzが乗り出したのが、音楽や映像も自分たちで制作し、ダンスを拡げていこうという試みだ。これまで当たり前とされてきたダンサーの表現のあり方を変化させる――。その革新性を、「空を飛んだ初めてのペンギン」という意味を表すタイトルのアルバムと楽曲像に重ね合わせている。今回はそんなs**t kingzのメンバーであるOguri、kazuki、shoji、NOPPOに、同作でのダンス表現などについて話を訊いた。
s**t kingz
――リード曲「FFP feat. C&K」は、大人数で一糸乱れず踊るところが圧巻でした。と、同時にとてつもなく動きが整っていると逆に異様に見える部分もおもしろい。集団ダンスの視覚的な効力について考えさせられました。
shoji:それはもしかすると、みんながスーツを着てペンギンのマスクをかぶっているのに、人間的に動いているという見た目的なことに繋がっているのかもしれません。今回の動きって、ただ止まっているだけのもの、首を振っているだけのものから、人間的な動きに一瞬で戻る急なエネルギーの変化を表したので。大人数だとそういった動きが一斉に起きるので、驚きも増すのではないでしょうか。
――ペンギン特有の動きや仕草をモチーフにダンスを作り上げていて、コミカルなんだけどちゃんと格好良く見える。なおかつクセになる。全編通して絶妙なバランスの動きで構成されています。
shoji:まず「FFP feat. C&K」という曲が持つ力がすごい。C&Kさんが、s**t kingzが表現したいものを理解して曲を作ってくださったんです。楽曲に遊び心がめちゃくちゃ入っていて、僕らもそれに乗って遊びましたし、遊べば遊ぶほど格好良くなっていきました。本来「これをやったらダサく見える」という動きでも、今回の音楽とのマッチングで格好良く映えて、良い意味でトガったものになりました。お互いに乗っかりあって出来上がったパフォーマンスです。
Oguri:ペンギンの動きってそもそも可愛いですよね。羽をパタパタさせて、ヨチヨチと歩くイメージ。それを良い感じに捉えて振付にしました。ジャケットの後ろの裾を掴んで飛び真似をしたり、体をくねらせたり、カタカタした動きだったり、そういうものを混ぜていったんです。あと、曲の雰囲気に合わせて少しふざけた感じを出しましたね。ちゃんとダンス的なテクニックをやって、グルーブを大切にすれば良い意味で変な感じになって、クセづけられる。いろいろと遊びがいがありました。
kazuki:一方で「参加してくれたダンサーたちをどんどん踊らせよう」という意識はありませんでした。そもそもペンギンのマスクにスーツというルックスの奇抜さがあったので、いかに、ダンサーたちを不思議な存在として動画を観る人に認識させられるかどうか、それをメンバーと話し合っていました。「FFP feat. C&K」のダンスに関しては、引き算で作っていった感じです。「動かない」、「動かさない」という部分ですね。僕ら自身がフライングファーストペンギンとして、ダンサー業界から上に飛び立とうとしている存在になりきって、「みんな付いてこいよ」とペンギン=ダンサーを率いていく。みんなと一緒に踊るというより、僕ら4人に付いてくるという表現なんです。
――今回の「ペンギンダンス」もそうですが、s**t kingzの特徴は、人間や動物の動作、仕草をダンスへと昇華・表現する点だと考えています。例えば、お笑いコンビ「プラス・マイナス」の岩橋良昌さんのクセを取り入れたダンスがバズりましたが、あれはまさに象徴的。s**t kingzにかかれば、人間、動物のクセや仕草もすべてダンスへと変えることができるんじゃないかなと。
NOPPO:2020年の自粛期間中、ZOOMを使ってリモートで踊る企画をやりましたが、そのときも音楽ではなく、自分たちの会話や仕草に乗せて踊るという表現をやりました。そもそもs**t kingzって、「踊り✕○○」ということをずっとやってきた。Oguriとshojiは「踊り✕朗読」だったり、岩橋さんとだったらお笑いと掛け合わせたり。そういったダンス表現をするうちに、他人のクセや仕草に注目するようになったのかもしれません。
Oguri:でも確かに先程「人間や動物の仕草をダンス的に見せる」というふうに言ってくださったところは、「おっ、確かに!」と思います。岩橋さんとのコラボだからあれができたとか、今回はペンギンがモチーフだからそうなったとかではないんです。自然にそういうものが出来ていくんです。だから、人のクセにあえて注目してダンスを作っていったら、もっとおもしろいものができそう。
――ちなみにs**t kingzの場合、「FFP feat. C&K」のような集団ダンスをやるとき、どういったところから手をつけていくんですか。
shoji:まずは4人のパフォーマンスを固めます。そのあと、ダンサーのみなさんがどういうふうに関わったらおもしろくなるか、いろいろ考えてプラスしていきます。ただ今回は、新型コロナウイルスの影響があって段取りが大変でしたね。
――どういうところが大変でしたか。
shoji:大人数だったので、事前に集まってじっくりリハーサルできなかったんです。今回は振付のビデオを送って、みんなに覚えて来てもらって、現地で合わせる形でした。でも、出演してくれたダンサーたちは今まで関わり合いのある人たちばかりだったから、s**t kingzの見せたいものをはじめから理解してくれていたのでありがたかったです。とは言え時間をかけてリハーサルや動きを合わせることができなかったから、シンプルな構成と見せ方になりましたが、でもだからこそ生まれるおもしろさがありました。
NOPPO:大人数のダンスって、「個人的に見せたいものを、どのように集団で見せられるか」が技術のひとつになるんです。あと「小さい動きであっても10人以上で見せるとすごいものになる」というのも、見栄えに繋がってくる。そういうところが集団でのダンスの楽しいところです。
Oguri
――ソロ曲も各自の個性が表れた作品ばかりでした。Oguriさんの「I won’ t say good bye feat.KAIKI」は1日の終わりから次に結びつくもの見つけ出していく展開。空を仰ぎ見る動きが多かったですが、それも明日や未来を感じさせます。
Oguri:実は僕、踊りながら上を向くのがもともと好きなんです(笑)。仲の良いダンサーたちからも「Oguriはすぐに上を向く」とよく言われるんですよ。上を向いて踊ると気持ちが良いし、今回はそれを存分にできる曲にしたかったというのがあって。だから太陽という存在を象徴として、自分が上を向きながら何かを感じたり、受け取ったりしている曲にしました。
――撮影のロケーションも良かったです。
Oguri:監督が提案してくれた場所なんですが、あの曲調にありがちなロケーションにはしたくないという話をしていました。海辺や砂浜などリゾート感のある場所ではなく、寂しげで退廃的なところでやりたかった。今回はドンピシャなロケーションでしたね。開放的かつ退廃的で良かったです。
kazuki
――kazukiさんの「On my side feat.issei」はショートムービーを見ているおもしろさがありました。さえない男性がお酒の力を得て、気分が大きくなり、女性を口説いたりする。日常の中での変化、変身を描いた作品ですよね。作品のなかでkazukiさんは、色気を押し出していて、トイレのドアを開けるのも、いちいち色っぽいという!
kazuki:ストーリーを先に作ったのですが、そこで「キャラクターの変化をちゃんと見せなきゃ」となりました。変身後は、「こいつはきっと便器の蓋を足で閉めるタイプかな」など、いろいろ妄想をふくらませて役を作っていって。自分とは不釣り合いな女性に声をかけるところとか。ダンス以外の動きの部分でも力が入りましたね。
――狭い空間のなかで、トイレ、ソファなどその場にある物をつかって踊りを表現するところも興味深かったです。
kazuki:ああいうふうに物を使うと、短い映像であっても展開が生まれますよね。今回の撮影だったら、その場にソファがあったので、「じゃあここで寝転がろうかな」とか、「トイレがあるってことは中には鏡が掛けてあるはずだし、じゃあそこで髪型をセットしよう」とか。「自分がこういうふうに踊りたいから、それに合わせた場所を探そう」ではなく、「その場所でどんなことができるか」というふうに物優先で動きを作る方が実はおもしろかったりします。
shoji
――shojiさんの「Too hard to choose feat.MARTER」は物事の選択をテーマにしています。で、ものすごく変な曲(笑)。もちろん良い意味ですけど。スーパーで何を買おうか迷う=選択する話。ダンスとしておもしろいのが、これも日常的な動作で構成されている部分。商品を取ろうとするその何でもない手つきだけでもダンス的なっています。
shoji:いろんな選択肢が人生の中にはありますよね。その一番身近な場所って、僕はコンビニだと思っていて。そういうコンセプトからスタートしました。振り付けの中でも、チョコレートを選ぼうとしているときはその匂いを感じているような動き、辛いものなら興奮とか刺激をあらわし、ほかにも喉越しを想像する動きとか。自分が身の回りで感じていることを元に振付けました。
――些細な動きもダンス化することで、ちゃんとメッセージ性が生まれますよね。
shoji:そもそもダンスって押し付けがましいものではなく、見て、楽しんでもらえたらそれが一つのゴール。ただそこから更に一歩踏み込んで、何かメッセージを受け取ってくれたら嬉しいです。ダンスで与えられる影響は、もっとたくさんあるはずなので。
NOPPO
――NOPPOさんの「足取り feat.大石晴子」は、他3人のアッパーな流れとは違ってスローなナンバー。過ぎ行く時間の中で誰かに対する思い入れを描いています。
NOPPO:僕はこういう曲調の音楽が好きなんです。ただ、スタジオに入っていざ踊ろうと音楽を流したとき「そういえば俺、こういう曲調で踊るのが苦手だったんだ」とそのとき気付いたんです(笑)。BPMも遅く、言葉の意味もきっちり伝わってくる曲の中で踊るのって、「踊りを前に出すべきか、歌詞を前に出すべきか」というバランスが実は難しくて。でも、逆に踊らず歌詞を聴かせて、その上でさりげない動きを交えたりすれば、映像を見ている人もその世界観に入り込み、僕の踊りも堪能してもらえるんじゃないじゃないかなと考えました。
――なるほど。
NOPPO:実際にサビの部分は自分が踊らなかったり、イントロは仕草だけにしています。動きの情報量を調整するんです。観る人の没入感をどのようにあおれるか考えますね。今回は特に、そういうダンスの抜き差しが勉強になりました。
――今後も生配信トークイベントや、5月22日(土)、23日(日)にはshojiさん、Oguriさんの主演舞台『My friend JekyII』もおこなわれるなど、グループとしても個々としても飛躍が期待されます。活躍を楽しみにしております。
全員:ありがとうございます!
取材・文=田辺ユウキ

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