『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第四十六回 -
「リトル・レッド レシピ泥棒は
誰だ!?」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:みねこ美根

「(2006年「リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?(Hoodwinked)」)」

あ、バレンタインだった。2月の今回、全然バレンタイン系の映画じゃないの選んじまった!と思いながら、去年と一昨年の2月の連載を観たら、一切言及がなかった。なんだ~、じゃあいいか(笑)。ちなみに、毎年自分のためにチョコを買うのですが、バレンタイン一週間前に食べ終わりました。子どものころは毎日一つずつ食べて、末永くチョコを楽しめる精神力の強さだったのに、今はあっという間に食べてしまうよ。頑張らないとだらしなくなるので、しっかり自己管理しなきゃあです。
最近、初めましての映画を最後まで見る気力が薄れがちで、気持ちが元気かつ、天気が良い昼間でないと初めて見る映画はエンドロールに辿り着けない。なので今回は、子どものころから好きな、このクレイジーハッピーな映画をご紹介。

「リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?」は昔父親が借りてきてくれて初めて知った映画。父親の映画チョイスは非常に謎で、時々とんでもないZ級映画を借りてきてしょんぼりしているときもあるが、冒険故に意外な傑作を引き当てる確率もあり、全く見る気が起きない映画もいざ見てみると面白かったりして、お見逸れしました、ということが多々ある。これはまさにその例で、「赤ずきんのアニメ?面白いの?」という気持ちから入ったが、開始早々覆された。
誰もが知っている童話「赤ずきん」。この作品は、おばあさんの家にやってきた赤ずきんが、おばあさんに化けた狼と対峙するところから始まる。童話と同じあのシーン…のはずが、なんだか様子が違う。「かごの中を見せろ!ネタは上がってんだ!」という狼。「また、あんた?まるでストーカーね。おばあさんはどこ?」と空手の構えをする赤ずきん。クローゼットから急に飛び出してきたおばあさんはロープでぐるぐる巻き、かと思えば突然窓を突き破って斧を振り回し叫ぶ大男!わぁぁああ!なんだ!なんだ!何が起こってるんだぁ!タイトル画面バーン。……この映画はこうやって始まります。

このわけわからんオープニングのワケが、物語が進むごとに紐解かれていく。全体のストーリーは、〈いろんなお店からレシピが盗まれる事件が多発する森で、お菓子配達をしている赤ずきんの少女レッド、レッドの祖母でお菓子作りの名人パケットおばあさん、実は○○の狼、謎の大男カーク、がレシピ泥棒の容疑をかけられ、渋すぎる紳士なカエルの探偵ニッキー・フリッパーズによる事情聴取によって、それぞれのいきさつを回想していく〉というもの。いろんな視点から事件を読み解くことで次第に真相が明らかになっていく。
まず目を引くのは、個性的なビジュアル。だんだん可愛く見えてくるレッドの特徴的な顔や当時の3Dアニメの雰囲気も相まって、独特な“一筋縄ではいかない”感が出ている。

そして、突然のミュージカル、狂気、アクションシーン、いろんな映画で見たことあるような超ベタな構図、ミステリー要素、コメディ的シュールな謎演出と、これでもかと詰め込んでくる。このわけわからなさは大人になってみた今の方が楽しめたかも。

「これどういうこと?(笑)」というシーンが、後々、違うキャラクターの取り調べで明らかになっていくのが、パズルのピースがはまるように気持ちが良い。シュールなのに見ごたえがあるのは、この筋書きが非常に巧妙だからだと思う。ミステリーとしてもしっかり成り立っている。意外な展開に驚くこと間違いなし。あと、音楽が絶妙に良い。

ちなみに、レッドの声は、なんとアン・ハサウェイ。日本語吹き替えは、上野樹里さん、狼を加藤浩次さん。今回見返すにあたっては字幕版でしか見れていないのだが、子どものころに見た吹き替え、とても面白かった記憶。DVDで借りたら見れるかな、また見たい。
女の子だからといって簡単に狼に食べられてしまうわけではないし、狼だからというだけで疑うのはナンセンス、大男が突然現れたのにも理由があり、おばあさんだからといってずっと編み物をしているわけではない。「You can’t judge a book by its cover.(本の価値は表紙では判断できない)」ということわざから始まるこの作品。物語も、人も、一目見るだけでは分からない。そして、この作品で、四人の証言から誤解や謎が解けていくように、誰か一人の証言だけでは真相には辿り着けないのだ。

我々人間はなにかとカテゴライズして、物事を決めつけがちだが、そこに真実はない。日本人だから勤勉で真面目?女だから話が長い?男だから理論的?それ、本当にそうだと思ってるの?

一人一人と向き合い、重要な真実を見落とさなかった名探偵ニッキー・フリッパーズを見習わなければならないね。個人を無視して勝手に決めつけた「カテゴリー(性別、国、人種、仕事、学歴、性的指向、宗教等)へのイメージ」は、差別につながる。差別には立ち向かい、差別する人にはそれは間違っていると指摘しなければいけない。でも、それで終わりではない。自分の中に、差別の引き金になるような“決めつけ”は無いだろうか?誰かを軽んじたり、馬鹿にしたり、決めつけを真実だと妄信して誰かを傷つけていないだろうか。考えて改めていかないといけない。

統計学などでカテゴリーごとに数字や傾向を見ることはあるが、それは誰かの性格を決めつけて馬鹿にするための道具ではない。そして数字を扱うのも、人間だからね。本当にそのグラフあってる?縦軸と横軸の設定や図の見せ方で、いくらでも印象操作できるんだから。それをわかった上で、たくさんの情報を見聞きして、自分の頭で考えていこう。

ちなみにこの作品で一番好きなキャラは、探偵ニッキー・フリッパーズの愛犬です。全然出てこないけどさりげなく良い仕事してるんだよね。探して見てね。

さて、この指輪の制作動画の再生回数が100もいかなくなりました。見てくれてる人ありがとう☆もっとたくさん見てもらえるように頑張りますので、皆さんももしよろしければ広めてください。
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モチーフ:頭巾をなびかせるレッド、山とロープウェイ、赤ずきんの物語の本、大男の斧、キャロットケーキとマフィン、レッドが持っていたかご、秘伝のレシピ、レッドの自転車、トゥイッチーのカメラ、テープレコーダー、コーヒー、ダイナマイト、シュニッツェル(串カツ)、バンジョー
音楽: Todd Edwards「Great Big World」 オルゴールver. Cover
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みねこ美根 Twitter
https://twitter.com/me_chat_3ne

▼ホームページ
https://powerpop.co.jp/minekomine/
みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2019年1月リリースの配信EP『心火を従えて愈々』で楽曲のクオリティの高さ、世界観が注目を集め始める。同年8月に下北沢GARDENで初のワンマンライヴを開催し、座席チケット、立見チケットともに完売。20年はサウンドプロデュースを手がける誠屋の小名川高弘氏とともに制作した「水面へ」「僕らは飛べるようにできてる」「くわの実」「傷跡」を配信リリース。みねこ美根 オフィシャルHP

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