AIがR&Bの真髄と
その潜在能力の高さを見せた
佳作『ORIGINAL A.I.』

新しい時代の
“ボーイ・ミーツ・ガール”

リリックは、少し大袈裟な言い方になるかもしれないが、ユーミンや椎名林檎がそうであったように、“AI以前/AI後”に分かれるのではないか──半ば本気でそう思うような、凛としてカッコ良い女性像が描かれているように感じる。

《うまくいってたハズなのに/どこで間違ってたんだろう/忙し過ぎたのがいけなかったの?/そっちだって女の事/追いかけてたでしょ!/最終宣告は言わせて/Get the hell out of my life!》(M1「最終宣告」)。


《タイプじゃないし 眼中なかったし/だいたいアイツには 彼女がいたし/でも最近の私は どうかしちゃってる/口開けばいつも キミの事ばかり》《PLAYBOY 何様のつもりなの/PLAYBOY そろそろ卒業したら/PLAYBOY 気もたせといて随分じゃない/いい加減に目を覚まして My PLAYBOY》(M6「PLAYBOY(feat.DABO)」)。

《幸せそうなカップル ラブラブでうらやましー/ドキドキさせてくれる奴 なかなかいないし》《探しに行こうよ Girl friend/とびっきりのCuty, sexy, pretty boy/待ってるだけ? そんなのダメ!/狙いをさだめて I wanna make him mine tonight》《『どんなタイプがいい?』/『男らしいのがいー』/『けど…アツくるしいのはパスしたいネー』/Yeah, yeah, yeah, yeah/ここらでキメとけ!R u ready? Let's go》(M7「Girls’Talk」)。

M4「Thank U」などは普遍的な恋愛観かもしれないし(その点ではM8「2 Face」もそうかもしれないし)、M10「LIFE」やM11「My Friend」では恋愛模様ですらない、さらに普遍的な感情が描かれているものの、全体的にはやはり恋愛ものが多い。しかし、それは旧態依然ではないというか、過去を知る者にとっては時代の変化を感じざるを得ない内容ではないかと思う。そこに単純な“ボーイ・ミーツ・ガール”が感じられないのである。M7での《とびっきりのboy》が分かりやすいだろう。この時代より少し前なら、Cutyもsexyもprettyもboyに付ける形容詞ではなかったように思われる。だからと言って、すなわちこのM7、ひいては『ORIGINAL A.I.』がジャストその分岐点だと言うわけではなかろうが、恋愛ソングにおいても男女の関係がフラットになったことを示すものではあろう。単にリリックがそうだというだけでなく、M6において、DABOのようにドスの効いたラップを迎えながらも、《何様のつもりなの》や《いい加減に目を覚まして》といった台詞が彼にまったく気おくれしていない印象で、歌詞中の《PLAYBOY》にも負けない説得力があるのは、AIの迫力あるヴォーカルがあってのことは言うまでもなかろう。『ORIGINAL A.I.』は、タイトルがカッコ良いだけでなく、その中身が何よりもカッコ良アルバムなのであった。

TEXT:帆苅智之

アルバム『ORIGINAL A.I.』2003年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.最終宣告
    • 2.2HOT(feat.SPHERE of INFLUENCE)
    • 3.Summer Time
    • 4.Thank U
    • 5.PARADISE
    • 6.PLAYBOY(feat.DABO)
    • 7.Girls’Talk
    • 8.2 Face
    • 9.言ノ音
    • 10.LIFE
    • 11.My Friend
    • 12.LAST WORDS(feat.JOE BUDDEN)
『ORIGINAL A.I.』('03)/AI

OKMusic編集部

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