今こそ訊く! [Alexandros]とは何な
のか?【メンバー全員インタビュー・
前編】

デビュー10周年を迎えた[Alexandros]の初のベストアルバム『Where’ s My History?』。シングル曲のみならず、ライブの定番曲やファンからの人気の高い曲もたっぷり入った2枚組全33曲。[Alexandros]が歩んできた栄光と苦難の道のりがはっきりと伝わる選曲となっている。

日本語と英語が入り混じり、ロック、メタル、ヒップホップ、ジャズ、歌謡曲、ダンスといった実に多様なサウンドのハイブリッドである楽曲群。華のあるルックスのイメージが強いバンドだが、その内実は、高い演奏力と構築力に裏打ちされたとても骨太なバンドであることがよくわかる。
「世界一のバンドになる」という唯一無二の目標を抱き、会社員との二足の草鞋でデビューを目指した日々があり、バンド名の改名を余儀なくされたこともあった。そして2021年3月、11年間苦楽をともにしたドラム・庄村聡泰が局所性ジストニアという難病により勇退するという、多くの困難と向き合い続けてきた[Alexandros]。初のベスト盤リリースを機に、改めて[Alexandros]とはどんなバンドなのか?ということを、いくつかのトピックをあげてメンバー4人に語ってもらった。こんなにもフィジカルもメンタルもタフなバンドはなかなかいない。
トピック(1)セルフプロデュースに徹している
■エッセンシャルな方向性は自分たちで作らないとアーティストって呼べないんじゃないかな
――ベスト盤を機に、改めて[Alexandros]とは何なのか?というのを訊いていきたいと思います。まず、ごく一部の楽曲を除き、基本的には自分たちのセルフプロデュースでずっとやってきていて。事務所に入ってプロとしてデビューする時点で「誰と組む?」みたいな話になるバンドも多いわけですが、そういうことにはならなかったんですか?
川上洋平(Vo・G):プロデュースを誰かにお願いしたのは、7枚目のアルバム『Sleepless in Brooklyn』の頃まではないですね。全部自分たちで曲の方向性、バンドの方向性とかも考えてて。事務所からも最初から何も言われなかったし。ひょっとしてその予算がないのかなとか最初は思ってました(笑)。
磯部寛之(B・Cho):そういうものだと思ってたよね。
川上:もしくは、自分たちはまだそこまでのレベルじゃないのかなって(笑)。でも、多分事務所的にも「この人たちはいらないんだろうな」って判断だったんだと。今になって思うのは、自分たちで作ったバンドだし、自分たちで作ってる曲だから、最後までケツ拭くのは自分たちの責任でしょっていうのはある。操り人形になりたくないじゃないですか。もちろん周りのスタッフに意見を聞くことはあるけど、エッセンシャルな方向性は自分たちで作らないとアーティストって呼べないんじゃないかなって思ってるんです。だから、蔦谷(好位置)さんや小林(武史)さんやアレックス(・アルディ)にプロデュースをお願いした時も、既に自分たちが確立されている状態があった上で「どうやって作っていく?」っていうコプロデューシングって形で。
磯部:そう、だからコラボみたいな感じでしたよね。こういう曲があって、この部分に色をちょっとつけてくださいっていう。自分たちの色がないところから、色をつけてくださいっていうのとは違う。
――だからこそベストアルバムは、本当に雑多なサウンドアプローチで溢れかえってますよね。そのハイブリッドさが一貫してるのが[Alexandros]ならではだなと。
川上:4人でゼロから作ってるので、スタジオに他に人もいないし、余計なものが入ってないっていうのはありますね。だからこそ曲を見直した時に、あまりにも迷ってたり、すごくはみ出してたり、よくわからなくなってやってる感も自分たちでわかるし。それも含めて楽しめてる。それでできあがったものが自分たちの答えなわけだから、後悔はないんですよね。
川上洋平
――ファーストアルバムとセカンドアルバムは、アマチュア時代のストック曲を中心に作られていて。それがなくなったタイミングのサードでこの4人で1から作ることと向き合ったそうですが、そこでどういう変化が起きたんですか?
川上:やっぱりそれ以降はメンバーから引き出してくることも多くなりましたね。特にサトヤスは加入したばっかだったから、サトヤスってものをどう活かすのかっていうのもあって。サトヤスからもいろんなことを教わったし。ライブハウスが似合うバンドではあったけど、もっとでかいステージに行くためにはどういう曲を作ったらいいかっていうのは、サトヤスが加わったことでより具体的に見えてきた。だからほんと全員がプロデューサー的なバンドだと思いますよ。サトヤスもヒロもまーくんもどんどん意見を言ってくれて補い合ってるから。
――そういう積み重ねが去年リリースしたリモートアルバム『Bedroom Joule』でのメンバーそれぞれがリアレンジを手掛けるという手法にも繋がっていて。
川上:そう、それは10年やってきた賜物ですよね。他のメンバーの意見で、「え、それはないでしょう?」っていうのもあまりないんですよね。やっぱりそこはみんなが近いところにいるから。たまに「何それ?」って意見があったとしても、意外と良かったりするし。そこがこのバンドのおもしろいところで。みんながあまりひとつの場所でとどまる感じがない。

磯部寛之
――そして、衣装も基本的にセルフスタイリングで。スタイリストが付くって話もなかったんですか?

川上:なかったですね。5、6年それでやってったら、結局自分たちで持ってるもので揃えたほうが合うんですよ。たまに雑誌の企画でスタイリストさんが付くこともあるけど、着せられてる感が出るんですよね(笑)。それに、自分たちが培ってきたものがあるから、スタイリストさんにも臆することなく意見を言えるんです。「僕はこっちの方が合うと思うんで、こっちのコートが着たいです」とか。例えばこれまでブランドで言うと、Yohji Yamamotoさんとコラボしたり、俺個人でPRADAさんの企画に参加したけど、そういう時も自分のカラーがちゃんと出せてるなって自負があるのは、そうやって経験を積んできたからだと思います。だって『Mステ』も自分たちの服で出てますからね。それでその次の日、同じ服で外を出歩いてるわけだから。それこそ音楽誌の表紙だってそうだし。やっぱり音楽にも通じるスタンスだと思うんですよね。着せられてるものを見せられてもお客さんも嫌だし、自分たちでも嫌だしね。
――白井さん、スタイリストが付いたほうが楽なのにって思ったことは?
白井眞輝(G):最初はめっちゃ思いましたよ(笑)。元々「俺らはセルフスタイリングでやっていくのがスタイルだ!」とか強い気持ちがあったわけじゃなくて、インディーズの時からそうだったからそのままの流れで。でもどこかで、「メジャー行ったらスタイリストが付く話になるのかな」って思ってたんですけど、自然となかったです(笑)。
川上:どっかで「それが君たちの強みだから」とか言われて、「そうなのかな?」とか思ってきたのもある(笑)。基本はライブで楽器持ってる時の衣装として考えてるから、例えばテレビとかだと自分たちではあまり把握していない映り方もあったりするから、そこで仲良くしてもらってるスタイリストさんに助言をもらうことはありますけど。うちらは基本黒が多いけど、ここでは白を着た方がいいって意見をもらったり。色については自分たちではあまり発想がなかったり。ライブとはまた違うところでのそういう助言は必要だなって。でもそれもやっぱり、自分たちのスタイルがあってこそ成り立つもので。自分たちが何もないまま着てる服はやっぱり似合わないと思うし。例えばメジャーに行ったからって首にスカーフ巻いたりして、着せられてる感っていうのは嫌だったので(笑)。
――それがいつの間にかバンドのひとつの強みになりましたね。
川上:裏話をすると、だからこそうちら店の人やプレスの人とも仲良くなるんですよね。服が好きだし、何着たら似合うかもだんだんわかってきて、そういう職業の人とも対等に話ができるようになった。音楽もそうで、エンンジニアさんや楽器さんにも「こういう音を出したいんです」ってちゃんと意志を持って伝えないと、やっぱり人に着せられた音になっちゃうと思うんですよね。
白井眞輝
■こういう音楽を鳴らしたいって思ったら、自ずとじゃあこういう服だよなって考える
――サトヤスさんは元々ショップで働いてましたけど、そういう面でも[Alexandros]のひとつ重要な役割を担ったんじゃないかと。
庄村聡泰(Dr):確かにその経験が活きましたよね。ドラムだけじゃなくてそこも持ち込めたかなと。スキニージーンズって単語自体を持ち込んだというか(笑)。
川上:サトヤスが入るタイミングでスキニーパンツ革命がありましたね。別名、血が止まる革命(笑)。その頃、僕たちが対バンしてたa flood of circleとかがスキニー履いてたんですよね。それにも影響されたけど、でも誰よりもサトヤスは着こなしてるなって思った。それでうちらも頑張って履いてみたら、なんか様になったっていうか。そうやってサトヤスから派生して、それぞれの個性が生まれてった感じはありましたね。言ってしまえば、最初はサトヤスがスタイリストだったかもしれないです。
庄村:でもバンドの見た目ってすごく重要だと思うし。音がかっこいいんだったら、やっぱり画もかっこいい方が良いし。元々僕はビジュアル系が大好きだったから、見た目でもアピールしたい、むしろ見た目で音が絶対かっこいいと思わせてくれるくらいがいいと思ってて。往年のロックバンドはそうだったと思うし。見た目に音が追いついたのか、音が見た目に追いついたのかは置いておいて、僕はそういうロックバンドが好きなので。そういうバンドが誘ってくれて、そういうバンドに入れて、そういうバンドであれてすごく良かったなって思うし。それで俺の好きな服の知識も活かせてすごく良かったなって思います。
――メンバーから加入が告げられた2010年3月の下北沢シェルターでの打ち上げで泣かれてましたよね。
庄村:はい、もう号泣でしたね(笑)。嬉しかったんで。
川上:懐かしい(笑)。やっぱり自分がミュージシャンとしてこういう音楽を鳴らしたいって思ったら、自ずとじゃあこういう服だよなって考えると思うんですよ。ギター選ぶのだけでもセンスって問われるし。そうやって、自分たちがやりたいことからどんどん派生して成り立ってるものなのかなって思いますね。
庄村聡泰
――皆さん、どんどんお洒落になっていきましたよね。
川上:なっていきましたね(笑)。白井君とかデビュー前は目もあてられなかったよね(笑)。パンタロン履いてて。
白井:あははは。金髪ロン毛でパンタロンだったんで。
川上:ヒッピー時代の人だったよね?(笑)。
白井:別のジャンルでしたね。
川上:でも今思うと、あれちょっと最近のCELINEっぽいよね(笑)。エディ・スリマンっぽい。
白井:一周周ってね(笑)。
川上:でもその頃は俺たちもどういうのが良いのかわからなかったから、「もうちょっと普通でもいいんじゃない?」くらい言う感じで(笑)。
白井:まあ、いたバンドの界隈が違ったっていうのがあるよね。僕はその頃池袋界隈のバンドだったんで。こっち([Alexandros])は渋谷下北界隈に見えるじゃないですか。
川上:まーくんもその時にやってたバンドの演出には沿ってたからね(笑)。
白井:最初のライブで上裸になった時、直感的に「あ、なんか違う」って思ったんですよ(笑)。このバンドで上裸になっちゃダメだって。前のバンドでは、3回に1回くらいは上裸でライブやってたんですけど。
川上洋平
庄村:俺は入ってからしばらく上裸だったけどね(笑)。
白井:確かに(笑)。
川上:人によるんですよ。サトヤスみたいなワイルドな人は上裸似合うんだけど、まーくんがやるとちょっと違う(笑)。見ちゃいけないものを見てるような感じというか。そこの合う/合わないはあった。でもサトヤスも、入る前と後では少し変わったよね。
磯部:確かにそうだね。
川上:ちょっとエレガントになった。
庄村:ああ。
白井:最初の方、もっと野性味があったよね。
川上:場末のバンドマンの雰囲気があったけど、そこからしゅっとしたっていうか。品が増した。
庄村:それは自分でもわかる。やっぱりみんなと行動を共にするようになって、「こっちの方が多分かっこよく映るんだろうな」っていうのがどんどん変わっていったのかもしれないですね。入った頃はザ・破天荒バンドマンみたいな振る舞いばっかりしてましたしね。フェスでSISTERJETのライブ中に客席の最前線で暴れ狂って、「いやー、楽しかった!!」って楽屋帰ったらマネージャーさんにめっちゃ怒られたり(笑)。
川上:え、そんなのあったっけ?
磯部:やってたやってた(笑)。ひとりで芝生にダイブしてた。
庄村:そうそうそう(笑)。
川上:それで俺とヒロが相談したの覚えてるわ。「あれ、注意したほうがいいよね? どう思う?」って。
庄村:あはははは。
磯部:「サトヤスはあれが楽しいんだと思うけど、どうしようか?」って。
川上:上裸で暴れてたね(笑)。その時うちら、もう27歳とかで。若かったら一緒に暴れてたかもしれないし、逆にすぐに注意してたかもしれないけど、言うのもためらうくらいのもう大人の年齢だから(笑)。だから俺も「あれが個性なのかもしれない」って思って。でも、マネージャーがめっちゃ怒ったんだよね。
庄村:そうそう。「演者としていかがなものか」って。「楽しむのを止めろって言ってるわけではない。ただ誰よりも暴れるのはさすがに違うぞ、サトヤス!」って。それで「すいませんでした!」って(笑)。
川上:でもそれも、その時の環境の問題でもあったよね。
磯部:時期とタイミングだよね。今だったら別に気にしなかったかもしれない。これから売れていこうとしていて、自分たちのバンド像を世の中に植えつけるための自己プロデュースをしてるタイミングだったから、あの行動はやっぱ違ったわけで。
川上:だから何が正解かはわからないけど、その時のうちらが下した結論はそうだった。そういうひとつひとつのことが小さいようで意外とバンドにとって大事だったりするんだよね。でも割とその時の「なんか違うな」って感覚とか、それは好きだ/好きじゃないとか、結構いきあたりばったりで。その都度してきた判断に対して後悔はないけど、積み重なって今のうちらを作ってるのは間違いない。
磯部:しかし懐かしいな(笑)。
※3/12(金)12時公開のインタビュー後編では、知られざる4人暮らしの真相、そして、今ぶつかっている過去最大の壁に迫ります!
取材・文=小松香里
撮影=岩澤高雄(The VOICE) ヘア&メイク=坂手マキ(vicca)

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