ゴダイゴの初期傑作
『DEAD END』に見る
汎用性の高いメロディーと
充実のアレンジ力

ミッキー吉野のアレンジの妙味

また、本作も全編英語詞で、そのタケカワのメロディーと英語との相性が絶妙なのである。個人的にはM6、つまり「IMAGES」が白眉だと思う。流れるような言葉の乗り方がメロディーの抑揚を損ねていないばかりか、旋律のふくよかさを助長しているかのようである。件のヒット曲、全編英語詞の「Monkey Magic」以外も、「ガンダーラ」も「ビューティフル・ネーム」も「銀河鉄道999」も、サビは全て英語である。この辺はゴダイゴの最大の特徴であるメロディーの良さと、歌詞とのマッチングの絶妙さとをちゃんと汲み取った結果であっただろう。そうしたこともまた『DEAD END』で確認できるところである。

それでは、タケカワのメロディー以外にゴダイゴには魅力がなかったのかと言ったら、もちろんそんなことはない。そのサウンドの多彩さというか、縦横無尽さと言ったものが、高レベルで発揮されていることが本作からもうかがえる。ディズニー映画の劇伴のようなM1から始まって、ブギー、ソウルと続き、前述したようにM6でプログレ、M7でファンクと、バラエティーに富んだサウンド、バンドアンサンブルを聴ける。M8「A FACE IN THE CROWD(孤独な面影)」を“柔らかくも力強いメロディーライン”と書いたが、サウンドはややスリリングな印象がある。とりわけキーボードが不穏な雰囲気を醸し出しており、歌の主旋律だけのイメージでは語ることができない複雑な世界観がそこにあるように思う。“吉野メロディーはブラックミュージックのフィーリングが強い”と書いたが、M10が若干ゴスペルチックなのはその辺の関係があったのかもしれない。いずれにしても、どの楽曲も編曲担当のミッキー吉野が大車輪の活躍をしていることが分かる。ニコイチのM4やM6もアレンジの妙味があったのだろう。個人的にはキーボードがやや前に出すぎかも…と思わないこともないけれど、それにしてもシンセによってそれまで他になかったサウンドを作ろうとした結果だったと考えることができるし、好意的に受け取れる。本作は[終わりの見えない社会状況をテーマにしたアルバムである。そのため全アルバム中、最も暗く渾沌としており、ロック色も最も強い]と言われており、それはリーダーである吉野が強く意識したものであったようだが、実際そういう手触りになっているのだから、事の良し悪しはともかくとして、その試みが成功したと言えるであろう([]はWikipediaからの引用)。

また、この時すでにゴダイゴは映画やドラマの音楽も手掛けていたわけで、そのキャリアも十分であったが、『DEAD END』の充実っぷりからもさまざまなサウンドを司るに足るバンドであったことはよく分かる。『西遊記』のスタッフもその辺を見抜いたのだろうか。実際のところは分からないが、『DEAD END』に宿るメロディー、サウンドからは、バンドのポテンシャルを充分にうかがい知ることができたと思う。“勝因”はばっちりあったと言えるし、“勝ちに不思議の勝ちなし”なのであったのである。…ここまで書いて、音楽、エンタメ業界では“不思議な勝ち”なないことは何となく分かったが、とすると“不思議の負け”があるのかもしれない。それも調べてみたいところではあるが、それは別の講釈で──。

TEXT:帆苅智之

アルバム『DEAD END』1977年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.MILLIONS OF YEARS(時の落し子)
    • 2.IN THE CITY(イン・ザ・シティ)
    • 3.STOP & LOOK AROUND(サムの息子)
    • 4.DEAD END~LOVE FLOWERS PROPHECY(デッド・エンド〜ラヴ・フラワーズ・プロフェシー)
    • 5.THE LAST HOUR(ラスト・アワー)
    • 6.PANIC~IMAGES(パニック〜イメージ)
    • 7.UNDER UNDERGROUND(アンダー・アンダーグラウンド)
    • 8.A FACE IN THE CROWD(孤独な面影)
    • 9.(CRIME IS) THE SIGN OF THE TIMES(血塗られた街)
    • 10.MIKUNI(御国)
『DEAD END』('77)/ゴダイゴ

OKMusic編集部

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